| 日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
| 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 |
| 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 |
| 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 |
| 29 | 30 | 31 |
先日、7月度社員総会が開催された。今回はメンバーから今後取り組みたい新規事業の発表が2件あった。総会において自分の動きを報告すると同時に、一緒に新規事業に取り組む仲間を募るのである。
当然、ある程度収益が見えるまでは自主的な活動になる。それでも、一事業を立ち上げる為に一緒に動かないかというスタンスで同胞を集めるのだ。
基本的に得意分野の技術を使い新しいビジネスを作り上げるのが、弊社のメンバーに私が要求しているサブゴールなので、新規事業の提案は私の所に頻繁に持ち込まれる。
正直未熟な提案がほとんどで、突っ込みどころ満載ではある。
しかしながら、自分の過去を振り返ってみる。事業をやり始めた頃の自分のアイディアなんて、赤面するほど稚拙であるし、それで儲かると思っていた。そんな稚拙な企画を温めていた自分ですら、小なりとも経営に携わる様になっている。それを考えると今いるメンバーの未来は極めて明るい。少なくとも私以上のビジネスマンとして成長するはずだ。
私の仕事はメンバーの企画をつぶすことではない。今の自分の能力であらを探す気もない。当然、新しい事業を成功させるのは生半可ではないので、決意と実行力を図る意味で、一度は叩きのめす必要もある。その上で自分の事業に執着し形に出来るかで、事業家精神が試される。
成否は正直やってみないと分からない。事業はアイディアが良いから成功するわけではない。確かに、秀逸な企画はあるし、それによって優位性も確保出来る。しかし、いずれアイディアは模倣されるし、それをベースにもっと上手くやる奴も出てくる。
大事なのは自分が確信したビジネスモデルに執着心を持って、形になるまでやり抜く力だ。前回の項でも書いたが、「何をやるか」よりも「誰がやるか」がビジネスの成否には大きく関わる。同じ様にソフトハウスを立ち上げたとしても、伸びる会社もあれば頭打ちの会社もある。業種に罪があるわけではなく、執行者の違いがあるだけだ。
多くの投資家もビジネスモデルに出資するのではないだろう。そのビジネスモデルに取り組む経営者に出資するはずだ。これを理解せず、起業を夢見る人間も多い。
我々もインドを中心としたオフショア開発を進めているが成算があると考えている。多くの会社が失敗したモデルや考え方をトレースすることなく、我々独自の取り組みとして推進している。インドに罪がある訳ではなく、そのモデルを進めていた関係者のスタンスややり方に問題が有ったのだと考えている。彼らでは駄目だが、我々なら出来るという根拠を、今はいくつも積み重ねている。これは以前「フュージョン・エンジニア」という項で少し触れたので、ここでは割愛する。
話を戻す。
私が若いメンバーのビジネスアイディアを聞く時に心がけているのは、常に自分が執行者としてその案を形にするにはどうするかイメージすることだ。第三者として聞いているとやはり粗が目立つ。しかし、それは今の私の経営においても、経験豊富な事業家の方々から言わせれば「青い」となるだろうし、粗があるのと同じだ。
それでも会社は成立するし、それなりの競争力を現実社会の中で実現出来ている。
よって、その企画を推進するメンバーの一人としてビジネスを構想する様にしている。アイディアの段階で絶対に駄目なものなどない。一見ショボい企画でも、営業活動において想像を絶する動きが出来たり、サービス提供の段階であり得ないほどの気配りをすれば、競争力のあるモデルにもなる。
だから、公序良俗などに問題がなければ、基本的には許可する。会社としてイニシャルコストをかけ、人員を投入し取り組むかどうかは、主体者の姿勢に関わるので、しばらくは静観させてもらう。損得だけではなく、どうしても実現したい事であるなら、最終的にはゴーだ。その判断は主体者の行動や成果によって計られる。当然、責務が重くのしかかる。
こんな状態なので、SVTの内側には表面化していない企画が数多く蠢いている。近い将来、メンバー達がビジネスを実現する実力を有し、これらが事業化され表舞台に浮上する日を今から楽しみにしている。
その為に私が出来るのはメンバーを鍛え上げる事と、SVTという一種のビジネスインフラをより強力に仕上げていくことだ。メンバー全員が自らの理想を形のする為の最強の武器としてSVT作り上げて行きたい。
よく、経営者が優秀なベンチャーが、一定以上の規模になると伸び悩むという話を聞く。その時の為に、人員を確保したり、組織変革を図ったりというコンサルティングをする会社もある。
しかし、SVTにおいてはその心配が無いように感じる。事実、才能的にはどうみても私より優れた人材が数多くいる。どちらかというと、私がいらなくなるんじゃないかという心配の方が有りそうだ。それはそれで、人材を育成するという私のミッションが達成されたという事なので、嬉しい限りだ。
SVTは一気に成長するはずだ。それは、私によってではなく二段ロケットの二段目のエンジンが十分そろい優秀だからだ。更に三段目も手ぐすね引いて待っているようだ。
我々はエリートを集めている訳ではない。巨大なバックボーンが有るわけでもない。未来に対する強力な意志と覚悟を武器に、息つく暇なくビジネスを進めていく所存だ。
本日から二日間、博多天神で会社説明会を開催する。SVTの採用に対する基本スタンスは理念やビジョンに対する共鳴なので、必ず私が直接行ってお話をする。
情報技術がこれだけ発達した時代ではあるが、直接会わなければ伝わらないこともある。内容だけ伝えるなら、HPに掲載すれば良いのだが、共に仕事をすると言う人生の重大事項を決めるには、「何が話されたか」よりも「誰が話したか」が重要になる。
弊社には私に負けず劣らず理想に対する膨大な情熱を有するメンバーが多い。それぞれの経験によるレベルはあるとしても、強い想いはひけをとらない。恐らく10人のメンバーに聞けば、10通りのSVT像が得られるのだろうが、その柱たる意志、揺らぎの無い意志を伝えるのは、発起者である私の義務だ。
「誰が話したか」とは、私に会長という立場があるので、ありがたがって欲しい訳ではない。大事なのは全メンバーが常に基準とする、会社の理念、会社の理想を揺らぎなく持っている人間が、その思いの丈をあるがままに伝える事だ。この場合の「誰・・・」とは立場のある人ではなく、その理想が本気かどうかの信頼性を確かめられる人のことだ。良いビジョンや理念を掲げていても、それが本気なのかどうかの判断は信頼度で決まる。これはそれを提唱する人間に直接合わないと分からない。だから、私を見てもらい、私の話を聞いてもらい、信頼するに足ると思えば、我々の理想を受け入れてくれればよい。口先だと思えばノーを出せば良い。
話は逸れるが、会社における役職はその性能において役割分担をしているだけであって、偉い偉くないというものではない。会社を良くしたい、会社を伸ばしたいというスタンスの上では皆平等だ。
SVTでは私の呼ばれ方は様々だ。「会長」と呼ぶメンバーもいれば、「篠田さん」と呼ぶ人もいる。この辺りに対しては無頓着なので、好みに任せている。何故無頓着なのかといえば、変な権威付けをして、その上に既得権者があぐらをかく様な組織にしたくないからだ。私は私自身の人格と性能によってリーダーシップを取る。この部分が駄目ならメンバーが去るか、別の人間が会社を統べるようになる。
多くの人と共同しビジネスを進めるために、周囲が信頼する人格を行動や発言によって示さなければいけない。また、戦場においてトップが無能な事は、それ自体が罪悪だ。
この事は私のみならず、SVTの全リーダーに要求している。
よって、弊社の取締役も大体「さん付け」で呼ばれている。PMも「さん付け」だ。別にフランクな会社を演出している訳ではない。その様なメンバーに媚びを売るようなアプローチも軟弱で嫌いだ。ただ、自然に今の関係が出来て、我々らしさに落ち着いているので良い感じではある。
話を戻す。
我々の理想は、技術立国日本を支える新しいエンジニア像を確立することだ。作業者として低所得で、重労働な現在のエンジニアのあり方を変えなければ、ハイテクを支える日本の最重要分野で人材が枯渇する。それは同時に日本の国力の低下を意味し、豊かで世界に貢献できる日本の消滅を招く。
インドにも中国にも優秀な人材は山ほどいる。インド人のプログラミング能力は驚愕の一言につきる。また、中国のエンジニアの大多数は日本語の読み書きが出来る。日本語を話せる人材も多い。母国語以外の言語を駆使し普通に開発をしている。当然技術力も一定水準にある。その努力や執着心の量はほとんどの日本人エンジニアの及ぶところではない。
これらの人材と作業力で戦って日本人の優位性を立証できる人がいるだろうか?水が高所から低所に流れる様に、我々が取り組んできた仕事は海外に流出する。
日本のエンジニアが彼らと一線を画するには、彼らと違う土俵で戦う必要がある。日本のエンジニアは作業者ではなく、ビジネスの上流に位置し、マーケティングからアカウンティングまで加味して、新しいビジネスをマネージしていかなければならない。そして、そのビジネスを具現化する為に、海外の優秀な仲間と連携をしていくのだ。ボーダレス化が進む次の世代において、日本が現状の国力を持ち続けるには、日本でしか出来ない、日本が圧倒的に強い分野が必要なのだ。
何人もの外国人のエンジニアや経営者にお会いして、また、日本の過去の歴史から勘案しても、製品をコンセプトから考え高品質に仕上げる所まで煮詰めるポジションなら世界をリードしていけるとの結論に達した。その為には日本のエンジニアが諸外国のエンジニアと同じように作業力を競ってはならない。30歳近辺を境にビジネスを起案し作り上げる仕事にシフトしなければならないのだ。
この道は決して楽ではない。今までの技術習得の上にビジネススキルの習得を乗せなければいけないからだ。しかし、これを覚悟して歩みを進めなければ、将来にははるかに厳しい現実が待っている。強い決意と、しぶとい努力によって一人ずつこのエンジニア像を実現して欲しい。
これがSVTの基本的なスタンスだ。その為に取り組んでいる日本発の全く新しい組織制度や、海外と連携したビジネスモデルなどもあるが、あくまでもその根本はエンジニアの革新、業界の革新を実現するということだ。
我々がやらなければ日本の未来はない。そくらいの意気込みで自分の人生を仕事につ費やさなければ生きている価値がない。結果、成功するか失敗するか、そこまでの貢献が社会に出来るかは、100年後に聞いて欲しい。多分私はこの世にいないが・・・。
この様な基本的な方針に共鳴して頂き、自分のビジョンと一致し進めるなら共に頑張ろうというのが、面接におけるシンプルな内容である。
SVTのメンバーは利害によって結ばれた仲間ではない。ビジネスはプロフィットをコミットしながら進めなければいけないのがルールだが、その世界において利害を超えてつながっているので他社に真似出来ない強さがあるのだと思う。まあ、正当に取れる金は各人ガッツリと稼いでもらう。これは否定するものではく、私自信も公言できる収入は最大限に取りたい。
よく、弊社のメンバーの増え具合を聞き及んで、「どうやったらそんなに採用できるんですか?」と同業界の経営者に尋ねられる。これに関しては業界の仲間に対して無償でアドバイスもする。最初は皆あまり理解できない。採用手段という技を聞きたがるからだ。我々は技によって増殖した組織ではない。理念の共有によって成長した組織なのだ。だから、他者が外形だけ真似して同じ様な結果を期待するのは不可能だ。
答えは自分たちの仕事に意志を込めろという事になる。自分たちの実現する未来に誇りを持てと言う事になる。自分たちしか出来ない使命を自らのビジネスの中に見いだせということになるのだ。だから、なかなか答えづらいし、理解してもらうのも難しいが、このまま伝えさせて頂く。
今回は基本的な話になったが、ベースなので繰り返し述べたい。これが変わってもおかしな話なので、必然的に繰り返し述べてしまう。
再三言うがこの様な暑苦しい企業である。青天井の自由と、ビジネスの緊張感と極限まで味わえる環境ではあるが、気軽に入社されても困る。
自分の人生を変えなければならないと、決意した方は是非SVTの門をたたいて欲しい。現状のエンジニアの未来像や、業界のあり方に疑問を持つ方がいらっしゃれば、共に改革を実現していこう。
昔は交渉事に行く時はかなりの緊張感があった。最近はあまり妙なプレッシャーはない。
交渉でプレッシャーを感じるのは、何か不条理に高い要求をねじ込もうとするからだろう。しかし、その交渉が成功したとしても、あまり長い目で見てメリットはない。子供口喧嘩とは違うので、単純な刹那的勝利に意味はない。
国内外を問わず交渉及び交渉に対する指示を出すことは立場上多い。その時に何を基準に指示を出すかと言えば、こちらの提案がフェアかどうかだろう。逆に先方がアンフェアであり、それを押し通すのであれば交渉が破談しても良いと思っている。だから、プレッシャーを感じる必要はないのだ。
良い取引なので破談しないように・・・・
もっと大きな利益を相手から取りたい・・・
この様な下心をもって交渉に望むと態度が卑屈なるし、相手側もこれを感じ取って高飛車に出るか、胡散臭いと感じるかどちらかである。
我々が信じるフェアさを貫いて、破談になるパートナーとは手を組む必要はない。また、相手から必用以上に暴利を貪る必要もない。心の中に曇りのない状態で堂々とつきあった方が後々に得るものは間違いなく大きい。
また、上手くごまかした様なネゴを繰り返していくと、その行為は自分の雰囲気や性格に反映される。人間は案外不器用に出来ていて、上手くごまかし続けることは相当難しい。
ただ単にフェアであればよい。そんな境地で行けば、正しいスタンスが見えてくる。フェアさを追求して自社が不利益なら、そもそもそのビジネスに取り組むべきではないのだ。正しいスタンスのままに交渉を進めれば良いので、プレッシャーはいらないのだ。
何が正しいかの価値観を自分の中に作らなければ、この境地には至らない。これは独りよがりの思いこみでは駄目だ。自分を天秤として善し悪しを考えるには、かなりの経験と努力が必要だ。この正しさの価値観が間違っていると多くの人の信頼は得られないのだ。
今はSVTでの細かい打ち合わせは各チームのリーダーが煮詰めている。最終的に契約条件やパートナーシップのスタンスを固める事だけは私が関わるようにしている。いずれこの部分も極力委譲していきたい。
海外のパートナーとはストレートな話になる事が多い。やはり、言語の違いなどもあるのでお互いの意志を伝え合うには多少の強い言葉は必用だ。しかし、フェアであるものには世界共通で反論が出来ない。また、反論する必要もない。だから、いつも良い合意でパートナーとは先へ進めている。当然ビジネスの世界なので、もくろみ通り行かない時もある。それはそれで、信頼があればそこから再スタートすればよい。大事なのは常にごまかさずフェアで相手と対面する事だろう。
始末に悪いのは、相手の能力が足りない時や、純粋に相手が合意点を探していない時だ。
能力が足りない場合は、こちらの真意や提案を理解して頂けない。また、最終的には双方のモチベーションが交渉後の作業には必要になるのに、それを理解し大局的に話を進めることが出来ないので、自分の面子や立場を守る事に必死になる交渉担当者もいる。これが窓口だと余計な手間がかかる。
旧来の下請け関係みたいな形をイメージし、仕事を出す時に横柄にしたり、チヤホヤしてもらわないと違和感を持つ人がいる。この様な人は大体レストランなどのサービス業のスタッフに高飛車に接する。金を払う方が偉いというスタンスなのだろうが、その前に人間として正しいあり方があるはずだ。相手が反論出来ない立場にいるとめっぽう強い。
この様な担当者が窓口では良い仕事が出来るわけ無い。この様な担当者しかいないのに、へりくだって仕事を受ける先があるとしたら、上手く騙して金を取ろうという業者だけだ。少なくとも付加価値の高い仕事をしようと決意して来るパートナーは近づかない。よって、我々はこの様なクライアントからの依頼であれば断固として却下する。
だから私はお金を払う時も、頂く時も相手はパートナーだと思い接している。海外のパートナーも決して下請けではない。共に発展し、共に喜ぶ仲間だ。仲間だから、お互いの成功の為には忌憚無く話す。そして、お互いに豊かな未来を掴み共に幸せになりたいと本気で思っている。
特に最初にこのスタンスをはっきりしておかないと、パートナーも我々との接し方を間違ってしまう。出来ないことは出来ないと言うし、相手にして欲し事もストレートに伝える。この辺りの対応で相手の誠意や性質は分かる。
とは言っても、交渉事は有利に進めたいという気持ちがあるかもしれない。その場合は、フェアに交渉を優位に進める手だてが一つある。それは長い時間をかけて、正しい仕込みをすることだ。これをやられたら誰も反論や批判が出来ない。
例えば、電車が遅れて遅刻した人がいるとする。「しょうがないじゃないですか、電車が遅れたんだから・・・」と言い訳する彼を反論の余地無く指導するには、自分自身が例えば5年間無遅刻で会社に来るしかない。電車が遅れても遅刻しないように始業の30分前会社に着続けていれば、その事実が交渉材料として圧倒的になる。
自分がやるべき、またはやってきた義務のレベルの高さが交渉材料として最大の要素なのだ。
その意味ではフェアな主張かどうかは絶対的ではない。彼が言えばフェアだが、別の人間が言ったらフェアでないこともある。フェアさは交渉相手との関係構築の状態によって、変化する。
例えば社内において、会社に多大なる利益を入れている人が言えばフェアだが新入社員が発言したらアンフェアな事もある。
私は常にフェアでいたいと思う。また、常に自分の正しいと思っていることを社内外にて主張したい。常にフェアでいるために日々の時間を使い自分の姿を作り込まなければならない。多くの義務を背負い、多くの成果を出して初めて、私が思い描いたフェアさを主張できる。
最期に読者の皆様にメッセージ。
何年もの歳月をかけて、自分のフェアさを主張できる背景を作り込め。相手が無能なら、トーク一本でごまかしも出来るが、それも時限的だ。優秀な相手に不動の主張を通す手はこれしかない。逆に俺もこの仕込みをした人間を前にして反論は出来ない。この仕込みは万能で不変だ。これが出来た時に君たちは自由に主張し、自分に未来を選べる、そんな大きな翼を手にしているはずだ。
目先の楽さや、利益にとらわれず、未来にフェアさを貫き通せる自分を作り上げて欲しい。
ベトナムにある某日本企業の工場を見学させて頂いた。本来の目的はその工場にある生産管理のシステムを見させて頂き今後のビジネスにつなげることだった。SVTにはERP関連の開発に従事して来たアナリストもいて、技術的には強い分野だ。
その工場は徹底的に製造の工程が煮詰められ、400人からの工員が私語ひとつ交わすことなく、粛々と作業をしていた。マン・マネージメントにも独自の工夫が多く施されている。この規律により確保された生産性が一朝一夕ではないことは一見して明らかだ。
実際、ベトナムに進出した時期も早く、日系企業用に整備された工業団地からも踏み出して、独自でベトナムの土地を買い入れ、工場を建て人員の教育を行ったという。
私自身、実体のあるものが大好きだ。完成された姿の裏に秘められた多くの人達の勇気や努力を感じ取った時に心が動く。
このベトナムの工場を見た時に、私は「美しい」と思った。
実際、ベトナムに進出して収益性を確保出来なかった企業もあれば、すでに撤退した企業も多い。多分、社内外からの批判や抵抗も形ができる過程では多くあったのではないかと推測する。それらを受け止め、時には受け流し、今の工場の姿を作り上げたのだろう。その結晶として、収益を上げ、効率的に動いている工場を見て「美しい」と言わず何と言えば良いのだ。
我々も海外にビジネスを広げ、システムの分野を基盤に歩みを進めている。しかし、一番大事なのは海外とかシステムとかと言う事よりも、どの分野でも良い、それが経理だろうが総務だろうが営業だろうが、何でも良い、この「美しさ」を実現することだろうと思う。
誰が見ても理屈抜きに信頼せざるを得ない「美しさ」を各々の分野において目指すべきだ。元々、私もIT一本で来たわけではない。様々な事業分野に踏み込んだが、この美しさに近づいたものは一定の成果が出ているように思う。
世の中には様々のビジネスがある。ITもあれば飲食もあり、金融もある。植木屋もあれば、アパレルもある。世の中にあるビジネスに尊卑はない。全てが社会に必要なので、そこに存在している。ただし、それぞれの分野において、どこまで意志を込め磨き上げたかの「美しさ」の違いはある。
これはSVTのメンバーへのメッセージだ。
君たちの立っているフィールドは様々だ。システム開発の分野も各々違うし、営業もいれば経理もいる。SVTにとっても各々が必要だから、そこにその仕事で存在している。それに尊卑はない。
大事なのは自分の目の前にある仕事をどこまで「美しく」作り上げるかだろう。業務が変われれば、職種が変われば、環境が変われば君たちは輝くのでない。横にスライドして目の前の存在から逃避しているうちは、君たちは決して輝かない。
今自分が直面している事から決して逃げず、努力や情熱をその裏側に込めて美しく作り上げるのだ。膨大な努力は常に裏側においておけばよい。焦らずとも、必要な分だけは伝わっている。
そもそも努力など自分で主張するものではない。自分は常に最善を尽くしていればよい。それが頑張っているかどうかは、他人が見て判断するものだ。自分にとって大事なのは頑張っているかどうかではない。努力しているかどうかではない。成果のみだ。
他者が真似できない強さは、膨大な情熱と努力によって生み出された「美しさ」だ。これを作り上げれば、個人も法人も常に競合他社に怯える必要がない。卑屈にならなくても良いし、他人をうらやんだり嫉妬したりすることもない。
私自身振り返ると、多少不遜なところがある。これが人格的に良いのか悪いのかは分からない。バランスを欠いたらあまり良い性質ではない。バランスが取れていれば、良性の自信と個性となるだろう。
何故不遜なのかと言えば、私しか出来ない事があると自覚しているからだ。20年間のビジネス人生において、作り上げた技術や感性があり、それを武器に常に事業を作りコントロールしてきたと自負している。だから、他人の評価も気にしないし、即断即決で事業を進めることが出来る。
その分、共同経営者的な立場の人間や、時にはクライアントからも不遜と感じられる時があるかもしれない。謙虚であろうと常に意識しているだけに、他者がこの不遜さを感じ取った時に、もしかしたら警戒感もしくは不快感を抱くかもしれない。まあ、評価は任せる。
話を戻す。
SVTはSVTのミッションがあり、この事業分野に進んでいる。他社が羨望と憧憬を抱くように我々のビジネスを仕上げていきたい。そして、SVTが社会の中でミッションがあるように、SVTの中で各々しか背負えないミッションがあるはずだ。それは、上司が与えてくれるものではない。自分の意志で背負わなければ、君たちが満たされるような自分の居場所はどこにも現れない。
今目の前にある仕事の延長線上に、君たちが美しく仕上げるべきビジネスがあるはずだ。イメージで言えば、新しい事業や業務の革新は発想で他から来るようなものではない。今あるものを丹念に磨き上げ作り上げる姿が正しい。横から持ってこれるなら、誰でも真似出来るし、導入できる。丹念に磨き上げた玉は、他社が真似したくても同じ様な歳月がかかる。そこに競争優位が生まれるのだ。
各プロジェクトチームが、各部門が、お互いに美しく感じる玉を磨き上げていこう。それが本物の強さであり、その集合体が企業価値なのだろう。
日本を発ち、無事ベトナムの地に降り立った。気温は38度だが、ねっとりと全身にまとわりつくような湿気が独特だ。雨期の間はこのままの気候が続くらしい。
ここは首都ハノイ。南北に細長く伸びているベトナムの北に位置する。中国との国境にもほど近い。冬は10度を切るらしいので、寒暖の差は激しい。都心部を少し離れると、一面に水田がある。ベトナム全土がそうなのかもしれないが、豊潤な穀倉地帯である。
現地の人間に聞いてみると治安は南アジアの国々の中では特に良いとのこと。確かに、犯罪が身近にあるような緊張感は感じない。ただし、狭い道路をおびただしい数のバイクが走っているので、気を抜くとひかれそうになる。その意味では危険だ。
食べ物は比較的日本人に合う様だ。香草さえ気にならなければ、特に食べられないものはない。インドでは2日目くらいから常に胃が重くなるが、ベトナムなら一月くらいは保つかもしれない。ただし、ワニやカタツムリを食べさせる店もあり、昔ながらの文化では犬や猫も食べる様なので、地域によっては気をつけた方が良い。一応、ワニとカタツムリは美味しく頂いた。犬と猫は、自宅に飼っているのでちょっと・・・。
ハノイから車で二時間ほど走ると沿岸部の町ハイフォンに着く。ハノイからハイフォンまでの間は延々と水田風景が続くが、途中から巨大な工場群が目につく。日本でも有名なメーカーは大抵進出しているのではないかと思う。途中の道でライチを10キロほど買ってもらい、つまみながら行く。日本では凍っているライチをよく見るが、熟し切った新鮮なライチはそれだけで贅沢だ。10キロで300円なり。
道々で通る橋はほとんど日本のODAで造られているらしい。道もしかりだ。数千億円のODAがすでにベトナムに投入されている。その分、日本に対する感情も良いということだ。更に道路や鉄度を日本資本によって建設する計画もあるらしい。
場所はハノイの南西らしいが、ベトナム初のITパークの建設も予定されているようだ。現在では、ベトナムのIT産業は主力マーケットとして日本を狙っている。ただし、2006年のデータであるが、最大手のFPTでも社員数は2000人程度であり、年商でも19億円規模だという。メインクライアントは日立ソフトウェアエンジニアリング。まだまだ、大した規模ではない。ただし、3年で8.6倍と爆発的に成長している。
現状、私が受けた印象では規模、成長速度なども数年前の中国に近い。ただし、言語的には中国語の方が日本語に対応しやすいので優位性がある。一方、ベトナムに関しては中国よりも、組織に対する帰属意識が高く、上手く作用すれば信頼と品質において勝利できるかもしれない。民族的な日本との融和性をより高く感じた。
結局、コストだけの勝負では何度も言っているように、ビジネスモデルが成功するほど破綻に向かう。実際、ベトナムが注目を浴びている最大の理由は、中国の人件費を中心としたコストの高騰からだ。それだけ中国との連携は進んだとも言えるし、ベトナムも数年で同じ様な状態になる。
その国独自の付加価値を確立しなければ、一過性な繁栄で終わる。私が関わっているベトナムのパートナーは、ベトナム国内でもトップクラスの頭脳が集まるハノイ工科大学の卒業生で構成されている。プロダクトやオフィスの雰囲気なども見させてもらったが、ただ単に製造をするというよりもアカデミックな匂いもあり、ユニークなサービスを生み出す力を感じる。
ただし、優秀な頭脳があり、開発能力があればビジネスの世界は成功できるわけではない。彼らが企業として羽ばたくには、クライアントからお金を頂く為に越えなければいけない壁がまだ多くあるだろう。
実際、研究者が起業し成功する例の方が少ない。前回杭州に行った時も、高い技術力を持った、大学教授が率いた一団は何年経ってもビジネスにならず、パートナーの企業の方だけが爆発的に伸びたという話も聞いた。今は技術的に高度な仕事があると、その教授の会社に流しているらしい。その大学教授も大学からの収入もあるので、その程度で細々と経営して、それなりに満足しているとのことだ。
高い技術をお金に換えるためには、マーケティングの力やビジネスモデルを構築する力が必要だ。それを長期に運営する為にはマネージメントの力や将来の戦略が必要だ。また、社内のメンバーが安心かつ情熱を持てる様な事業自体が必要だ。それらをイメージし運営してビジネスを構築する能力と言える。
この能力を生み出し、ビジネスを形にするには執着心が必要なのだ。上記の杭州の大学教授には、恵まれた才能の為か執着心が欠如していたのだと思う。
事業には熱い思い入れが必要だ。時に「背水の陣」であったり、時に「無謀な挑戦」であったり、熱に侵されて動いてしまう勢いが必要だ。上手く道筋をデザインできれば、その通りに動く訳ではない。競合は山ほどいるし、市況も変わる。それらに対応して道を切り開くのは強力なエネルギーなのだろう。
社会主義国家であるベトナムの企業が、オペレーションや国の援助でなく自立的に世界と戦える様になるにはまだ時間がかかるのかもしれない。完全に自己責任、自己資本においてリスクをとり挑戦する中で真の起業家魂みたいなものが醸造される。そう言う意味での起業家はまだまだ足りないのではないかと思う。
その道を歩む企業群が生まれればベトナムは世界に踏み出せるのだろう。それは一時的な中国の代わりではなく、ベトナム独自の付加価値を武器にということだ。ベトナムは日本に近い部分も多く、組織での戦いに優位性が有るように感じる。組織にロイヤリティーを持ち、目先の利益で転職を繰り返さない企業文化が出来上がれば中国やインドと一線を画せる。
本当に価値のあるものはやはり長い時間の中でしか生み出されない。本当の価値を生み出そうと思ったら、強力な組織を全員の意志で作り上げ、長期の戦いで勝てる体力を持つしかない。そもそも日本はその独自性によって強さを保ってきた。ベトナムもこの部分はアジアの中で可能な国家の一つではないだろうか。
いずれにしろ、大きな可能性を感じる国だ。若い奴らの好奇心やチャレンジャースピリットも他国と同様に高い。微力ではあるが、中国、ベトナム、インド、その他のアジア諸国の若者達に起業家魂を注ぎ込みたい。技術に優れ、情熱を持ち、リスクに挑める若者達が世界をリードして事業を進める姿を実現させたい。
近未来に、先ずSVTの社内に各国の優秀な技術者が集い、英語環境によって開発を進める疑似ITパークを作りたい。その規模を広げ、日本市場がアジアと強力なパートナーシップを組むための日本独自のITパークへと進めようと思う。
これは私が儲けたい訳ではないので、誰かがやれるならやってもらってかまわない。他の企業がやろうが、国がやろうが我々より早く実現するなら応援は惜しまない。しかし、この構想を実現する為には情熱や信頼が必要だ。熱をアジアに伝播し、民族や国家を越えた連携を実現しなければならない。それには私を捨て、ビジョンに殉じる人間が必要だ。その上で、利益を生み出す事から逃げず、ビジネスモデルとして仕上げる力が必要だ。通常のエンジニアにも無理だ。逆に経営者にも無理だ。ボランティア団体にも無理だ。使命に燃え、ビジネスを愛し、技術を愛し、その上で利よりも理想を愛する人間ではないと実現は出来ないだろう。
我々はまだまだ未熟だ。足りないものばかりだ。だからこそチャレンジャーでいられるのだ。心意気で言わせてもらえれば「やはり我々がやるしかない」となる。
最期に幕末に越後長岡藩の家老だった河井継之介の辞世の言葉を、ブログを読まれている皆さんに送りたい。
「瓦全は意気ある男子の恥ずべき所、よろしく公論を百年の後に任せて玉砕せんのみ」(記憶に頼っているので多少違ったらごめんなさい)
勝てるかどうか、自分が正しかったかどうかの判断は未来にまかせよう。今の我々に出来るのは、自らの正しさを信じ、自らの正しさに殉じることのみである。
本日から取りかかり中のビジネスを進める為にベトナムに行く。今は行きがけの成田空港で執筆中だ。横で海外事業部の山田がコツコツ仕事をしている。真面目な奴なので時間があれば、仕事をしている。場所はスターバックス。
ベトナムについても今日以降書きたいが、先週訪問していた杭州についてもう少し書いておきたい。
実はこのベトナムのパートナーと杭州のパートナーとは大きな関連性がある。以前、ソフトバンクの孫社長がタイムマシーン経営という話をよくしていた。IT先進国のアメリカで、流行ったモデルを日本に持ってくれば、あたかも未来から来たように事業の市場性が分かり、成功できるというのだ。事実、この様な切り口で成功したモデルも多い。ヤフーもそもそもはアメリカで普及し日本に上陸している。
このタイムマシーンは別に日本とアメリカの間にだけしか作用しない訳ではない。当然、日本と中国、中国とベトナムの間でも条件さえそろえば成立する。
中国と連携したオフショア開発に興味を持っている日本企業は多い。若干話題先行の感があり、実際は失敗したケースも多く、拒否感を抱いている企業もある。そんな中で会社が近所であることからお付き合いが始まった中国のパートナーは巨大資本や国など大きなバックボーンが無い中で、オフショア開発を成功させている希有な存在でもある。
先方の社長もグローバルかつオープンな姿勢の方なので、相通ずるものも多く現在のお付き合いが始まっている。よって、今回の訪問に関してはあらゆる部分を見せて頂いたし、滞在中は社長がずっと付きっきりで各部門の説明もしてくれた。日本の某大手メーカーと合弁で作っている会社の幹部にも紹介して頂いた。
先方からの単純な仕事を投げ合う取引業者ではなく、パートナーとして新しいビジネスを作ろうじゃないかというメッセージを強く感じ、嬉しい限りだ。私自身も単純な開発の請負関係だけを海外に作るのでは満足出来ない。ステップとしては必要だが、従来にないモデルを追いたい。そのスタンスが共有できるので喜んでいるのだ。
話は戻るが、数少ない日本のオフショア開発先として成功した杭州パートナーのノウハウはやはり経験によって積み重ねたリアルな力を持っている。この分野では中国でも屈指のノウハウを有しており、先方の社長自身も、このノウハウは確立されており、他にも移植可能だと断言されていた。
今回訪問するベトナムはまだまだITの分野では新興国だ。しかし、5年前の中国を考えれば、現在のベトナムと同じ様なIT体力しか無かったはずだ。ソフトベンダーで最大手でも40億円くらいだったのもわずか数年前の話だ。
そして中国の人件費が上がり始め、性質的にも日本と融和制が高いと目されているベトナムは、日本の連携相手としても重要である。
このベトナムに、わずか数年で杭州対日オフショア開発ナンバーワン企業を独自に創り上げた、パートナーのノウハウを一気に注入出来れば、他社に先んじて爆発的にベトナムのパートナーを発展させることが可能なのだと感じている。
ここに日本と中国で成功したモデルをベトナムに持ち込むというタイムマシーン経営が成立する。中国で行われているオフショア開発ですら失敗例が多い中で、ノウハウを確立したモデルをベトナムに移植できるのであれば、市場競争力としては群を抜く。更にSVTがコンサルテーション及び上流部において中心的役割を担えれば更にビジネスモデルは進む。
また世界中の企業からシステム開発を請け負って発展したインドの優秀なメンバーに上流行程において参画してもらい、分析提案に力を注いでもらう。そして、その製造に関してはインド、中国、ベトナム、日本からコストと品質において適切な体制を選択する。このモデルを大手企業が巨額の資本を投入して実現するのではなく、各国のエネルギッシュなベンチャーが、信頼と情熱を武器に創り上げていく姿は痛快だろうと妄想してしまう。各国に信頼にたる仲間を得た現在は、論理的には全て実現可能だ。
他国と連携したオフショア開発の最大の問題点は実は言語ではない。お互いのモチベーションや、進んで融和をはかる好奇心やエネルギーだ。その結果、双方の認知の違いが埋まり、イメージ通りの成果が実現できるのだ。その点から考えてもオフショア開発はベンチャーが向いている。
各パートナーの意志が第一だが、可能であれば日本、中国、ベトナム、インドをつないだグローバルかつ未来につながるビジネスモデルを実現したい。案はいくつかある。走りながら煮詰めていきたい。
杭州のパートナーの特殊な機能を挙げればいくつもある。人材の採用から研修までのノウハウも秀逸だ。また、中国と日本の認知差を埋め顧客満足度を上げるノウハウも素晴らしい。更に、国と日本の大手メーカーの間に立ち、両社を動かしながら、杭州IT産業の基盤を創り上げてきた取り組みもなかなか出来る事ではない。何よりも幹部数人ともお会いしたが、従来の中国のイメージを変えるくらい謙虚でチャレンジャブルな、性質的に良いメンバーがそろっている。日本の多くの企業が無くしてしまったロマンを本気で信じて狙っている。そんな、いい大人達がそこにいた。当然、私もその点ではひけをとらない。
数年前は田んぼしか無かった場所が、今は高層ビルが建ち並ぶITパークと化している。実際にそこに入居している企業は2年程度家賃が無料になるし、税的な優遇も受けられる。インドのビッグ3のITベンダーも来ているし、日系企業も入居している。日本版ITパークの実現を目論む身としては、肌で感じて良かったと思う。
また、改めて民主国家ではない中国の強みを感じた。国策としてビジネスインフラを次々と作る姿に、日本の現在の政府では実現できない強みがある。日本なら世論の調整や、予算の分配など多くの手順が必要だ。ただし、いずれは日本の様な体制になるはずなので、脅威ではない。日本も官僚主導体制で戦後の立て直しを図った訳だし、爆発的に経済が伸びる一時期には必要なことだ。
アジアと日本の未来について単純な持論が一つある。アメリカと日本の関係を元に今後のアジアと日本の関係を述べたい。
戦後の日本の発展は決して自国の力だけで実現したわけではない。他国、特にアメリカが敗戦国である日本を保護し、現在の繁栄の礎を築いてくれた事は間違いない。日本市場を保護し、国内の企業が外部の脅威にさらされず事業を営める時期があり、現在の経済力を作り上げられたのだ。
この様なアメリカの政策のおかげで日本は繁栄した。それでアメリカが損をしたかと言えば、全く逆である。アメリカが双子の赤字をかかえ苦しんでいる時に、大量の米国債を買い取り、アメリカの財政を支えたのは日本だ。日本から搾取をせず、対等の経済力まで育て上げたから、その経済力をもって支え合えたのだ。もし、日本が搾取され弱い国力しかなければアメリカを支える事など不可能だ。
日本が海外を見る時に間違っていると感じるのは、他国の企業を下請けしてとらえ、安く使いまわしてやろうという姿勢だ。前にも述べたが、他国を安く使うという安易な発想は必ず壊れるビジネスモデルであるばかりか、本当の信頼を醸造しない。他国を日本と同じ様な経済的な発展、所得水準まで引き上げるお手伝いをし、共に豊かになろうという連携が必要だし、いずれに日本に最も大きなリターンが実現するのもその道しかない。
アメリカが日本を援助したように、日本もアジアとフェアに連携し、同等の豊かさを実現させたい。それを国や大企業に任せるのではなく、ベンチャー企業として、ベンチャー企業だからこそ、実現したいのだ。
最後になるが、杭州のパートナー企業の社長にアメリカと日本の関係の話をした時に一言付け加えて頂いた逸話を載せたい。
曰く、「もう一つ付け加えるなら、日本は発展によりアメリカ社会に緊張感をもたらしたという貢献があるよ。半導体や自動車産業において日本に追い越され、アメリカの社会や産業界に危機感と緊張感がなければ、現在世界をリードしているIT産業はアメリカから生まれなかっただろう。OSもマイクロソフトが主流にならず、例えばトロンとかが世界標準になった可能性も十分あった。前時代の産業では勝負出来ない現実があり、アメリカに圧力がかかり、その結果、底力のあったアメリカは次世代を担う産業を作り出せたのだ。」(概略を書いているので、ニュアンスが違う部分があったらご容赦願いたい)
日本と中国の関係もしかり。日本とインドの関係もしかり。彼らは決して脅威ではない。我々がより発展するためのパートナーだ。彼らを脅威と感じる人がいるとしたら、それは自分自身が現状に満足し、未来への挑戦と努力を放棄しているからだ。全力で自己を錬磨し、新しい分野にチャレンジしているのなら、あなたは他国も他社も脅威に感じる必要はない。全ては大事なパートナーとして、様々な形であなたに力を貸してくれるはずだ。
私自身はそう考え、オープンにフェアに全世界の仲間達とより大きな繁栄と感動を追い続けたい。