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私はメンバー達に常日頃「起業家たれ」と言っている。
ここで言う起業家とは職種や状態の事ではない。起業家という生き方を選べと指導している。では、起業とはなんなのか、この項では述べたい。
シンプルに言ってしまえば、起業家とは既存の常識に戦いを挑み新しい価値を創造する存在である。会社を出した人、法的な見地からの独立をしただけの人を私の中では起業家と呼ばない。
よって、別に独立しろと言っている訳でもない。
常識を覆す存在。既存の価値に戦いを挑む存在。道無き道を進み、新たな道を作り上げる存在が起業家だ。
よって、起業家はサラリーマンの中にもいる。公務員の中にもいる。政治家の中にも、スポーツの世界にもいる。
例えば、野球界に目を向けてみる。近年、メジャーに挑戦する選手が増えている。イチローや松井の活躍なども毎週楽しみにしている。今年はイチローも首位打者が狙えそうな位置にいるので、頑張ってもらいたい。
好きな野球選手は多々いるが、最も尊敬できる選手はと聞かれれば、「野茂投手」と答える。
彼の野球選手としての実力は、メジャーでの二度のノーヒットノーランを挙げるまでもなく明らかだ。しかし、私が彼を尊敬しているのは時速150キロを超える速球を投げるからでも、消えるほどの切れ味のするどいフォークを持っているからでもない。彼の価値はその生き方にある。
彼がアメリカに渡るまでは、日本の最高峰とも言われる投手が最盛期にメジャーに本格的に挑戦した例はない。当然、メジャーで成功を収めた日本人選手もいない。彼は日本において、巨額の所得と地位や名声が保証されていた。メジャーに挑戦する必要は、物理的にはない。
その全てを捨てて、一野球人として自分の実力を、日本野球界の実力を試す為にメジャーに挑戦したのだ。それが簡単で無いことは、彼の前に何十年もの間、その様な選手が一人もいなかったことでも明らかだ。
結果、彼はメジャーにおいて成功し、彼が作った道を通って、イチローや松井や松坂が渡米した。よって、野茂とその他の日本人メジャーリーガーとは、本質的な価値が全く違う。
起業とはこの様なものだ。
勝負事なので成否は後に訪れる。その成否を無視して前例の無い物に挑戦し、新しい道を作り上げる。これが起業家という生き方だ。
イギリスにおけるサッチャー元首相なども起業家かもしれない。日本の官僚界にも起業家が生まれてくれたらと願う。当然、ビジネスの世界にも多くの起業家はいる。今までに無かった新しいビジネスを作り上げた人、業界の常識を改革した起業家など数え切れない。
私自身も死ぬまで起業家として、一生を終えたい。大きな会社が出来たから、会社が上場したから、などで一息つく気は毛頭無い。自分の才能を、自分のエネルギーを、自分の人生を使い切って一生を終わりたい。その為には起業し続けなければならない。成否はあまり考えていない。世の中が求める仕事を作り上げられれば成功しているだろう。
SVTでは、現状のIT業界にある種の戦いを挑んでいる。別に他社と抗争関係に有るわけではない。私と長くお付き合いのある方は、耳にタコだと思うが、何度でも言わせて頂く。SVTは、エンジニアのキャリアパスを革新する集団だと決めている。エンジニアが作業員として安い生涯所得と、低い地位で疲弊するまで使われる現状のIT業界では、日本は世界と戦う力を失う。技術立国日本において、エンジニアがマネージメントサイドに入り、技術に執着と愛情を持ち、経営をリードしなければ、日本が世界と戦う為のベースが消えてしまう。
これを実現するために、企業もエンジニアもスタンスを変えなければいけない。企業はエンジニアを金儲けの道具として使い回してはならない。同時にエンジニアも、技術だけの世界に逃げ込んで、若い内に有る程度の所得があるからと言って、その他の努力からも逃避してはならない。
両者が歩み寄り、新しいエンジニアのキャリアパスを作り上げ、日本の花形として技術者が名乗りを上げられる社会を作りたい。日本は世界に技術以外に売る物がない。目先の話ではなく、長期の視点に立った場合、この技術的なベース、それを担う人間的なベースが必要だ。
地味ではあるが、我々が革新するのはエンジニアという職業だ。これには長い時間と多くの仲間の努力が必要だ。しかし、誰かが道を作らなければ、松井もイチローも生まれない。彼らの才能は日本の中だけで輝きで終わる。
私も一生起業家として生きる。だから、君たちも起業家として自分を作り上げてくれ。
それが、私の社内メンバーに対する要求だ。一足飛びに自分の性能を上げるためには、今ある自分のキャリアに頼っては駄目だ。それでは過去の自分から抜け出せない。起業家という生き方は君たちが短期に成長する唯一の手段でもある。
君たちが社会の中で自分の価値を上げようと思った時に、人と区別化できる要素は挑戦の中からしか生まれない。人間の才能なんて、所詮五十歩百歩だ。出口の能力の部分で抜きんでたければ、人が歩めない道を、勇気を持って進むしかない。君たちが将来、安心し誇りを持ち、多くの人に希少だと言われ、楽しく生き抜くためにも起業家という生き方をお勧めしたい。
SVTにおいて導入されているあらゆる制度も、他社の方に話すと驚かれる。メンバーを信頼しているということもあるが、必要とあれば他社が出来ない様な道を進んでいなければ、起業家ではない。
「今まで誰もやったことがない」「こんなに沢山のリスクがある」は私にとって制止する言葉にはならない。それがどうしても世の中にとって、我々にとって必要な事なら、勇気を持って断行するのみだ。
SVTのメンバーに対しても要求したい。常に起業家として、自分の業務、戦略に取り組んで欲しい。既存の焼き直しは確かに、安定した利益を保証する。しかし、それだけをなぞっていては、いずれじり貧になる。何よりも自分の人生が燃え上がらない。
自分が起業しているかどうかを簡単に確認する手段がある。
起業とは、言い換えれば「戦う事」だ。
自分が起業家として生きているか知りたければ、何かと戦っているかどうか考えてみればよい。業界と、競合と、仲間と、常識と、自分が戦っていれば、君たちは起業の最中だ。そのストレスやプレッシャーが無い中で、順調に業務をこなしているだけでは、サラリーマンとしては合格だが、起業家ではない。
戦いから逃げたい奴は、誰かの陰に隠れていれば良い。それはそれで生き方だ。相手が大手企業だろうが、国だろうが必要とあれば喧嘩を売れる潔さがあれば、人生は自由に生きられるはずだ。
君たちには無限に伸びて欲しい。だから、君たちには起業家として生きる道を選んで欲しい。生き方なので、強制する権利は誰にもない。選べるのは常に自分だけだ。
SVTにおいて、私が実現したいのは燃え上がる起業家達の集団なのだ。