会長ブログ(株式会社ヘッドウォータース代表取締役:篠田庸介)

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2007年10月31日 12:11

ガラパゴス

世の中には時流にのったビジネスというものがある。私のビジネス人生も20年になろうとしているが、色々な流行があった。

それは携帯電話であったり、インターネットビジネスであったり、昨今では人材ビジネスだったりする。ヘッドハンティング、人材紹介、採用媒体、社員研修などの営業電話は日に何本も入る。

時流の発祥は、新しい商品分野が出てきたり、既存にあった業種が市況により活性化したり様々だ。

時流の一番先端に居る企業は、その波にのり多く儲け、中途から時流の波に乗り入れた企業は、気の利いた者からそれなりに儲ける。例外も当然あるが、こんな流れを20年の間に何度も体験した。

時流の波の末期に参入した者は、そのうま味を享受することなく、厳しさだけを背負い沈没していく。「景気の良い業界のはずなのに・・・」となる。学生さんが就職する企業を選ぶ時も、未熟さ故に儲かっていそうな業界を選ぶ。儲かっていそうなイメージを選ぶ。結果、就職して社会に出た頃には、「こんなはずでは・・・」となる。こうなってしまった学生の失敗は、情報が遅いという事ではなく、「得」や「利」を追い、生き方に芯が無かったことだが、それに気がつく人は少ない。

今のオフィスに移る前は新宿のNSビルにいた。数階下には、今話題になっている某英会話教室のオフィスが入っていた。時期になると膨大な数のリクルート活動中の学生が集まっていた。学生の人気など、微塵もあてにならない。彼らは極めて未熟だからだ。

HWSが現在歩みを進めている業界も、極めて好調だ。経営力がさほど問われず、いくつかのポイントさえ抑えれば、業績は右肩上がりとなる。しかし、これは経営力の問題ではなく、あくまでも市況だ。HWSも業績を上げ続けているが、実力と定義するのは早い。

実力が試されるには、恐らく五年程度の歳月が必要となる。その頃に優勝劣敗と言う資本主義のルールの下に、実力が明らかになるはずだ。何故なら市況の悪化に伴い、本当の力が求められるからだ。

私の経営に対する信念の一つに「時流を追わず」と言う事がある。儲かりそうなもの、誰もが手を出すものには興味がない。上手く利益を出したいと言う気持ちが無いので、「儲かりそう」と言うのは、事業として進む基準にならない。

利益は上手く出すのではなく、本質的に価値のある事業、価値のある企業を作り、正しく出せば良い。時流は乗るものではなく、起こすものでありたい。別に時流に逆らう訳ではないが、興味はない。自分が燃える仕事で、儲け、価値を生み、時流を作れば良いのだ。

私自身は器用な方ではない。上手く、時流に乗って大儲けしたくても、そんな才能はない。私が出来るのは木訥に自分の信念に殉じることだ。

このスタンスが根底にあるために、HWSは独自の進化を辿っている。

私が時流や流行のいい加減さを実感したのは二十代の頃だ。携帯電話の販売などが流行り、証券会社を退職して携帯の販売をやっているような人種があふれかえっていた。儲かるという話題が先行し、事実大儲けした先行者もいた。しかし、それを目指した大多数は借金だけ抱え倒れていった。儲けを追っては、時流の先端には立てない事を悟った。

私が学生だった頃は、バブル経済の最盛期でもあり、世界中で日本式経営がもてはやされていた。最高のスタイルである日本式経営を、世界中の企業が学ぶべきだという風潮だった。年功序列や終身雇用は、日本の強さを作る根源であり、素晴らしいものだという扱いだった。しかし、バブルが崩壊しアメリカ経済が復興すると、日本式経営は全否定され、能力主義や個人主義を日本のあらゆる企業が崇拝し導入するようになった。僅か10年の間に起こったことだ。世間の評論や、通説がいい加減であることを理解した。世間は状態が良い方をもてはやすだけだ。

昔は最新の経営理論なども追い、そのたぐいの本もよく読んだ。今はほとんどの経営論的な新刊は、コンサルティングファームの営業ツールだと悟り、また自社にメリットをもたらせない事も悟り追わなくなった。

今、興味があるのはHWSの信念の下に、ひたすら尖って行く事だ。我々独自の進化を積み重ね、他にない集団を作り上げることだ。

立場上、色々な会合に参加するが、弊社のスタイルや組織のあり方を聞くと、ほとんどの方が驚愕する。特にIT業界において、弊社の様な会社を見たことがないと言われる。

多くのSIerとは一線を画した、特殊な人材が集まってきている。そして、特殊な文化を醸造しつつある。ただ単に企業を拡大する気もない。特殊であることは希少価値があると言うことだ。それがお客様のメリットに進めばオンリーワンとして絶対的な存在になれる。

IT業界のガラパゴス諸島よろしく、独自の進化を辿っている。特殊な進化をし過ぎて倒れるかどうかはこうご期待。

よって、基本的に我々はディスカウント合戦のたたき合いの世界に進まない。独自の価値により、多くの利益をクライアントに与える存在を目指す。

我々が追うのは時流に乗ることではなく、時流を作ることだ。わき目をふらず、信念ある道を進む事によって、時流が我々の後ろから追いかけて来る様な未来を作るつもりだ。一見、効率的でなくても良い。一見、不器用でも良い。一見、馬鹿にされるような異分子でもよい。

今を改革し、時代の流れを作るのは、そう言う奴らなのだと思う。

上手く儲けたいなら、事業などやらない。拡大など目指さない。つかみたいロマンがあるから、身体も張るし、リスクを冒して事業の領域に踏み込むのだ。

社屋から見える東京タワー最期になるが、絶対的な安定は衆に烏合してつかめるものではない。安定するには希少価値がいる。人材も企業もそうだが、希少価値がない存在は、市況に安定が左右される。ダイヤモンドも堅くて屈折率が高くきれいだから値段が高い訳ではない。埋蔵量が少ないから値段が高いのだ。本質的な価値にプラスして、希少価値がなければ安定も安心も掴めない。

美味しそうな仕事を追って、現在小銭が稼げても、それはかりそめの安定に過ぎない。どうせ安定がないのなら、真の安定を狙ったらどうか。

真の安定を狙うなら、希少価値を手に入れなければならない。希少価値を手に入れるには、人の後を追わず独自の道を歩み、独自のキャリアを積まなければならない。その独自の道を歩んでも、確固たる価値が成立するまでには時間がかかる。その時間を耐えるには、自分が生涯をかけて取り組む意味をその方向に見いださなければならないのだ。

だから、我々はひたすら己のロマンを追えば良い。市況に流されず、目先の利を追わず、人生をかける仕事を定め取り組めばよい。そして、独自の進化を遂げ、多くの企業から信頼され愛される存在となれば良いのだ。