会長ブログ(株式会社ヘッドウォータース代表取締役:篠田庸介)

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2007年12月28日 12:41

焦燥

今年も後僅かで終わろうとしている。チャレンジの連続の中で、無事に年末を迎えられるだけでもメンバーに感謝だ。

今年一年は社名も変わり、新体制も導入された。PMの裁量権も増え、理想の形へと一歩ずつ近づいている。全力で進む分、歪みも生じているが優秀なメンバー達が包容し進化へとつなげている。

歪みが生じないような穏やかな進化は我々にとって敗北だ。歪まなければ駄目だ。全力で進んでいる者を基準にすると、大多数のメンバーは歪みを感じるはずだ。正しいのは全力で進んでいる者だ。

今年一年でかなりのメンバーがHWSに集結した。単純に人数を増やすつもりが無いので、厳選されたメンバー達は個性的で面白い。

面接はかなりの人数を私が行う。経営者として入社前に、いくつか約束をしたいからだ。入社される方に約束をしてもらうのではない。先にすべきは、私が会社のあり方をコミットする形での約束だ。

HWSが何を目指し、何を変えないのか。一貫すべきものは何か。それを確約し、信頼して頂き入社して頂く。また、せっかくの縁でお会いした方でもあるし、同業界を進む同胞でもあるので、人生の先輩として何かしら与えられる物は与えて帰ってもらうようにしている。これは入社云々とは別次元の話だ。

時代背景を説き、エンジニアとして目指すべき姿を説く。また、将来に備え何をすべきかを説く。世界の中の日本を説き、エンジニアのミッションを説く。

面接に来たほとんどエンジニアは共感して頂ける。また、これを機に自分の仕事や将来像に対して深く考えて頂ける。思考停止の中で作業に没頭する時期も必要だが、それだけでは生き残れない。

HWSにほとんどのエンジニアは共感して頂けるが、最終的に入社に至る人と至らない人がいる。いくつか要因はあるが、その中の一つに「焦燥感」がある。

焦燥感の有無がHWSへの入社を最終的に左右する。転職者は色々な会社の面接を受ける。しかし、HWSと他社を比べて、相対的に判断する人はいない。他のソフトハウスと全く違う会社なので、一般のソフトベンダーを選ぶなら、そもそもHWSには来ない。逆にHWSに惹かれる人は、一般のソフトハウスを志向しない。

HWSを志向し、HWSのビジョンに共鳴したにも関わらずスタートで出来ない人は、今までの環境を一気に変えるだけの衝動が持てないのだろう。必要であると分かっていることを行動に移せるのなら、一夜漬けでテストに向かう人はいない。前もって準備をするはずだ。分かっているが、相応の衝動が無い限り、人は行動に移せないのだ。

行動に突き動かす衝動は「希望」よりも「危機感」の方が強い。何かを成し遂げる為に努力出来る人間は、精神的にかなり成熟している。だいたいは危機感や焦燥感によって、行動に移る。

テスト勉強をするにしても、他人より大きく先んずる為にはやらない。他人において行かれないため、遅れていると言う焦燥感などで容易に人は動く。人より何倍もの所得を得るための努力はなかなか出来ない。しかし、人並み以下になりたくないという焦燥感により、大多数の人は一定の努力をする。

HWSの扉を叩く人は現状に危機感を持っている人だ。エンジニアとして20代30代を過ごし、40代を向かえた時に、社会に自分の居場所が無いのではという焦燥感を持っている人だ。または、自分が本来描いていたビジネスマン像にこのままではたどり着けないのではないかという焦燥感を抱いている人間だ。

現状より、ちょっと待遇を良くしたい。楽をして、今より割の良い職場に行きたいと思う人は、HWSには来ない。間違って面接の場まで来ても、HWSに受け入れられることはない。

普段は朧気だった焦燥感が、面接において明らかになった時に、その為の一歩を踏み出せるか、今のぬるま湯から抜けさせるかは本人の資質による。焦燥感の質やレベルによるのだろう。

人生に対して他力本願を排除し、未来を自力で保証しようと決めたエンジニアはヘッドウォータースのコンセプトに乗るしかない。自分の未来に正面から向かい、真摯に考えた時に日本のエンジニア達に対する現状の社会的扱いを受け入れる事は不可能だ。

真摯な姿勢から産まれる良質の焦燥感があれば、何かしら行動に移さなければならない。今の職場では行動が制限され、焦燥感が消せないなら、新しい環境を探すしかないが、多くの会社は五十歩百歩だ。明確に違う環境を探すなら、HWSしかない。(やや言い過ぎかと思うが八割は意気込みと言うことで・・・)

焦燥感が無い者はHWSに来てもそれなりの動きしかしないだろう。環境を変えても本人の姿勢が根本的に進化しない限り、未来も変わらない。あまりに焦っている人間には「落ち着け」とアドバイスするが、ほとんどの社会人に私がアドバイスをするとしたら「焦れ」だろう。

日本が右肩上がりに経済成長を続けた時代はもうとっくに終わっている。多額の負債を抱え、カントリーリスクも内包した日本において、人並みの性能とキャリアで安穏とした日々を送っているサラリーマンへのアドバイスは「焦れ」という事しかない。その性能と社会的ポジションで、どうやって生き抜くつもりなのか。自分の代わりがいくらでもいるのに、現在飯が食えている理由は、市況が良いからに過ぎない。市況が10年も20年も安定であり続けるのは奇跡に近い。奇跡を前提に、自分の現状のキャリアで納得し、それなりの努力しかしない社会人へのアドバイスは、やはり「焦りなさい」しかないだろう。

だから私は面接において過去の経歴よりも、この焦燥感を求める。焦燥感から来るエネルギーを求める。同時に、夢やロマンを追及し努力できる成熟したエネルギーも期待している。

現在の私も常に焦燥感に駆られている。

理想とのギャップを埋め、事業を推進しなければという焦燥感。自分の性能に対する未熟さを責める焦燥感。今居るメンバーをビジネスマンとして完成させなければという焦燥感。

良い具合に己の背中を冷たくする焦燥感を多く持っている。これも事業の醍醐味だし、この冷たさが生きていることを感じさせてくれる。

現実社会で多くの人に影響を与え、多くの人を巻き込んでロマンを追及する人間には相応の責任がかかる。その責任を正しく感じ取れる人間ならば、この焦燥感からは生涯逃げられない。

私も野望がある。私個人が幸せになりたい、豊かになりたいという野心はすでに無い。それは自分の性能をそこそこ発揮すれば自然と手に入る。私の野望は、HWSが提唱する理想を実現し、HWSのメンバーは当然として、全世界の多くの人々を幸せにすることだ。一種の芸術家の様な仕事なので、理想を形にする事自体が野望であり、その後に来る富や名声はおまけだ。

この野望が生み出す熱と、野望を追う人間が背負うべき焦燥感が生み出す冷気に駆られながら、来年も全速力で生き抜けるつもりだ。その速度に乗り、共に歩める仲間と来年も多く出会いたい。

HWSのメンバーも一年間お疲れ様。(と言っても最期まで現場で戦っているメンバーも多いが・・・)

来年は更に、HWSというみんなで持ち上げている箱を振り回し、我々しか実現できない組織を作り、我々しか実現出来ない事業を進めていこう。