会長ブログ(株式会社ヘッドウォータース代表取締役:篠田庸介)

May 2012

    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

2008年01月31日 17:23

不動を極める

最近新聞のサブプライムローンの話題で新聞の紙面は賑わっている。私自身、投資には一切興味がなく、経営的な影響が出るには、タイムラグがあるので今のところ大勢に影響はない。

いつの時代でも厳しい要因はある。それが、株価の下落であったり、円高だったりと状況に応じて中身は違う。しかし、何もかも良い状態である期間の方が奇跡であり短いと言う事実を認識すべきである。

だから、その問題で世界が趨勢が決まるという取り上げ方は間違っている。大手の金融機関などは数千億円単位の損失を出していると言う事だが、恐らく各社が独自で何とかするだろうし、数行が破綻したとしても、それに代わる企業が市場を担い世の中に大した影響はない。

何かしらのマイナス要因は常にあり、それに柔軟かつスピーディーに対応し経営を続けるのが、経営者の力量であり、組織の力だ。

飲み会の風景事実、円が八十円台になっても、日経平均が七千円台になっても、健全な経営を実行していた企業は耐え抜いて、その後の発展を掴んだ訳だし、日本経済も崩壊していない。案外、企業も国家もしぶとい。

何が起こるか分からない昨今であるが、起こったことに一喜一憂する事はナンセンスだ。それが経営環境の中では当たり前であり、混乱の中から何かを拾い伸び上がるのが、強い企業のあり方だ。

この覚悟があれば、いちいち動揺せずにすむ。混乱は能力ある存在にとっては、喜ぶべき事であり、大きなチャンスに過ぎない。本来は心を躍らせなければいけない。

私が興味を持つのはもっと根の部分だ。

以前P・F・ドラッカー氏の著書「ネクスト・ソサイティー」を読んだ時に、今後の日本が直面する問題に対する記述があった。日本が迎える最大の問題点は「人口問題」だと氏は語る。人口の減少は、国内の労働力の減少、市場規模の減退に直結する。付加価値を世界に呈して食を得ている日本としては、これが死活問題であるという見解だ。

確かに一理ある。

生物の原則でもあるが民度が上がり、豊かさと安全さが進んだ先進国では、人口は減少の方向へ傾く。先進諸国の中で人口が増え続けているのは、アメリカくらいのものだろう。アメリカは未だに年間数万人単位の移民を受け入れている。当然、多民族国家であり、貧富の差もあり続けるアメリカにおいては、民度が平均的に上がらない。発展途上の野生を残しつつ、今の国家体制を創り上げているところが、米国の偉大さだ。

アメリカの強さは構造上、先進性と野生を混在させている所だ。資源や広大な領土にアドバンテージがあるのではなく、その独自の文化に強みがある。貿易赤字やサブプライムローンの問題など、今後も多数の問題が浮上するだろうが、根本的な強さが消えない以上、アメリカはしぶとく世界経済の中心に居座り続けるだろう。

この様に起きている事象よりも、その存在が持っている本質的な事に興味があるのだ。

日本の人口問題に話を戻す。

経済の戦いにおいて戦闘力の減少が危惧される日本。この戦力を補強する手段は多くない。
①海外からの移民を受け入れ労働資源を確保する。
②人的資源に頼らないビジネスモデルに特化する。
③今まで労働資源として認知されていなかった階層を人材市場に投入する。

この程度だろうか。

このうち①は、日本の文化としては難しいかもしれない。ある程度の移民は国際化の為にも良いとして、先進国として日本が有り続けるための手段としては、障壁が高い。知的階層の移民を促すなら、他国から入りやすい形に日本のインフラを構築し直さなければならない。無理ではないが、不退転の決意でその道を選択しなければ駄目だ。

②はオートメーション化を進めると言うことだが、現在のアドバンテージがあるとしても、根本的に人が減っては、その技術を進める体力も無くなる。いずれはこの道も成立しなくなるのではないか。

③は、言うなれば奇兵隊だ。しかし、一番現実的ではある。冷静に日本の労働市場を見た場合、「女性」と「高齢者」が隠れた最大戦力であろう。しかし、この奇兵隊を実現するためには、女性が育児をしながら仕事に関われる土台の整備、中高年が生涯現役として、戦い続けられる土台の整備が必要だ。

これは、国にお願いするとか、法律を決めれば良いと言う簡単な話ではない。当然、女性にも今まで以上に努力し、社会に居続ける決意が必要だし、高齢者の方も昔のようなリタイアを求めず、生涯社会に関わり社会を背負う気概が必要だ。

一番難しいのは、法律や企業の制度的な問題ではない。国、企業、個人の意識を革新する事だ。国を挙げて、何かしらの形を目指せば、国際社会で勝ち残る事はさほど難しくないだろう。

飲み会の風景HWSで、エンジニアがビジネスマンへと革新していく道を作っている。これは、人口問題に対する我々の一つの答だ。多くのエンジニア達が40歳前後で社会的な地位を無くしていく様では、日本は世界と戦えない。それまでの経験を基に40代も50代もビジネスの前線で戦うビジネスマンへとエンジニア昇華させなければ、付加価値の高い戦力を日本が確保することは不可能だ。

私が常に興味があるのは、目前で起こっている事象ではない。その事象の背後にある本質だ。

日本の株価が七千円台だろうが、二万円を突破しようが、どうでも良い。日本の本来の強さは何で、向こう百年日本が何を志向し国を作れば良いのかに興味があるのだ。

経営に置き換えて考える。

現状の収益を確保するのは、現在の組織の強さやビジネスモデルの強さだ。柔軟な強さがあれば、市場の変化は関係ない。我々が目指すのは、時代がどちらに揺れようが、対応し理想を進め続ける強い組織だ。

色々、市況に合わせ、方法は変えていく。それは手段なので、いちいち一喜一憂はしない。延々と作り込むべきは企業のカルチャーだ。そのカルチャーを実現する人的資源の構築だ。このカルチャーが実現する組織の強さが企業の本質なのだと思う。だから、どの様なカルチャーを持つ組織にするか、HWSのカルチャーはどうあるべきかには誇りをかけている。


リーダーの仕事とは、少しずつ昇華していくのだろう。創業期は目先の対応に奔走し、利益の確保を最優先とする。少し余裕が出れば数年先の事業を創る仕事がメインとなる。更に進めば、本道を見極め、その組織が進む道を「手段」ではなく、「本質」の部分で間違えないようにするのがリーダーの仕事だと感じる。HWSのリーダー達もこの順番でリーダーしての課題を体感することになるだろう。

HWSはまだまだヒヨッコなので、本来なら目先の利益に私が奔走する規模だろう。しかし、あえて私自身のフェーズを上げ、メンバー達のフェーズも上げざるを得ない様に動いた結果が今の組織である。

高速で人材育成する為の力業ではあるが、現状成功している。案外、上のフェーズの仕事も、やってみれば何とかなるものだ。やることよって、手に出来る経験と自信を早期に身につけることが重要だ。

読者の皆さんが、就職先や国家自体を考える時に、目先の事にとらわれず、本質的に正しいことを追われる事を期待する。ひとつ、確かな事は、本質を追えば後悔はない。土地が上がる下がる、株価が上がる下がる、為替がどうこうと言うことに振り回されるから、動揺もするし、後悔もするのだ。

本質を見極め、それを基準に自分の動きを決めていけば、少なくとも自分の人生をまっすぐに生き抜けるはずだ。本質を真っ直ぐ見れば、不動の心は容易く手に入るはずなのだ。