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昨日ベストベンチャー100の記念式典に出席した。多くの若手の経営者と懇親させて頂いた。この一年は外交活動にも、それなりに注力して来たので、知り合いも多い。
懇親会の前に二つセミナーがあったので参加してみた。一つはIPOコンサルの会社で、市況についてのお話。もう一つは、企業のブランディングについてのお話。
IPOコンサルの会社はクライアントが現在750社ほどあり、IPOをさせた実績も多く持っている。ここの社長が話されていた内容をいくつかピックアップしたい。
上場後失速する企業を見ると、経営者が人変わりするケースが多いと話されていた。感覚的には六割以上の経営者は上場すると人が変わるとのこと。増長し、謙虚さを無くし、初志を忘れてしまう。本来、上場は手段に過ぎない。その後に達成したいロマンがあるから、手段として用いるのだ。達成したいロマンが無い、もしくは薄い中で金を追い、地位を追った上で運良く上場に至ったので変節してしまうのだろう。
人間が欲に流されることは難しくない。正当な欲ならば推奨するが、刹那的な金銭欲や物欲に流されては駄目だ。私も物欲も人並みにあるが、それに見合う仕事や所得を達成した結果、ついてくるものだ。
よく営業系の会社では、物欲や金銭欲を刺激しモチベーションをかけるマネージメントスタイルが推奨される。刹那的なパワーが要求される営業の世界で、モルヒネ的な効果を習うのであれば良いが本質的には正しくない。持続性もない。苦しい時はその物欲を諦めれば良いので、いざという時にも逃げられる。
時計であったり、車であったり、遊興費であったりするのだろうが、その欲求と事業は直結しない。それは個人が満たされる為の欲求である。もし経営者としてビジネスの前線に立つなら、自分の欲と会社の発展や、メンバーの幸せが合致するのが望ましい。物欲が最優先では、営業マン止まりの価値観に過ぎない。
自分の思想を育て、自分の哲学を育み、事業自体の達成を自分のモチベーションにしなければいけない。ビジネスの世界でリーダーシップを取るなら、あらゆる欲求の上位の組織の勝利、自組織の勝利によってもたらされる社会的な貢献を欲としなければ駄目だ。この欲は、関わる全ての者達を幸せにする。
このスタンスが確率されていれば、上場ごときで人変わりするとは思えない。上場もしていない会社の経営者が言うのもなんだが、私は変節しない自信がある。変節する意味が論理的に考えて見あたらない。本来、上場などは人生において従だ。主は自分の人間としてのあり方だ。
そのIPOコンサルの方が語られていた内容で、半分は営業トークなのだろうが真理をついた話があった。
今の市況やJ-SOX対応などのコストを考えると、IPOのメリットは減っている。多くの会社が上場準備を止めるか延期するかの判断を下している。しかし、その時期だからこそ逆張りで、IPOの道に進んだらどうか。
IPO云々は横に置いたとしても、基本的にこれは正しい。
私自身、この二十年ベンチャー街道をひたすら走り続けてきた。逆張らなければ、表舞台に浮上できないのがベンチャー。既存の巨大勢力は、現状の中で安定と収益が保証されている。しかし、社会の前提が変われば、その勢力は維持出来ない。我々の様な後発の小勢力が社会の表舞台に飛び出す為には、潮目が変わる必要がある。世の中が激変し、混乱が生じ、新しい安定を社会が求める時に、未来を示すのがベンチャーの役割だ。
多くのベンチャー企業にお勤めの方や、ベンチャー企業家に訴えたい。相手が大手企業だろうが、上場企業だろうが、自社を卑下する必要はない。大手に入社出来ないから、ベンチャーに流れ着いたという様な精神では駄目だ。また、そんな経緯が例えあったとしても、所詮過去の事だ。忘却すれば良い。ベンチャーは大手の下位にあるのではない。社会における役割が違うだけだ。既存の社会を否定し、未来の社会構造を作る力はベンチャーにしかない。その役割を自覚し、誇りを持って事業に邁進して欲しい。
私自身が無力な中にも、誇りを持ち、仲間達を率いてリーダーシップを取るために得た結論であり、真実だ。逆にこの真実がなければ、大手に就職していただろう。
逆張りは私の価値観、生き方として私の中にとけ込んでいる。
ただし、逆張りはしばらくの間は厳しい時期が続く。最初から儲かってしょうがなければ、それは逆張りではない。厳しい時期を工夫や、組織の結束で乗り切り、潮目が変わった時に一気に伸び上がるのが逆張りの醍醐味だ。この工夫や組織力の強化が逆張りの前提となる。これが出来ない企業に逆張りの中で生き抜くのは無理だ。
逆境や、不況に恐れを抱く必要はない。恐れるのは信頼できる仲間や、結束できる組織が成立していない自社に持つべきだ。常に問題は内にある。外部の問題は急激に発展できるか、ゆっくりしか発展しないかの差くらいのものだ。生き残る残れないの問題は全て自社の内部にある。
強靱な組織をもって、逆張りに挑みたい。逆張りに挑み次世代のリーディングカンパニーとして日本社会を牽引したい。これは私の欲だ。
ベンチャー企業家は天の邪鬼な一面を持つべきだ。時代が変わる事を期待し、時流を見続けるべきだ。逆張りには不遜さが必要だ。今の安定した社会を否定するわけだから、既存の安定した人達にとってはいい迷惑だ。しかし、好む好まないに関わらず、かつてない早さで世界は変動している。その中で日本だけが、同じ姿でいる訳にはいかない。
戦争もないすばらしい形態だからと言って、鎖国のまま発展も混乱もない安定した状態を維持することが許されなかった幕末の様に、一国に閉じこもり変わらないという事は現在でも許されない。世界規模で様々な圧力がかかり、しのぎを削る現代社会においてはなおさらだ。
日本人が世界に誇るDNAは不変で良い。そのDNAをいかに使い、経済戦を戦い抜き、世界に貢献するかは戦略や変化が必要だ。経営も同じだ。
その変化を司る役割を我々ベンチャーで担おう。その気概を持って、日々のビジネスに当たろうではないか。