会長ブログ(株式会社ヘッドウォータース代表取締役:篠田庸介)

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2008年11月26日 16:46

株式会社 東忠ヘッドウォータース

本日、(株)東忠ヘッドウォータースの記事が日経産業新聞に掲載された。

http://www.totyuheadwaters.com/

これは、(株)HWSと(株)東忠の両社によって戦略的に仕掛けられた合弁企業だ。

PHOTO(株)東忠は戦略的かつダイナミックな展開をする杭州を基点としたオフショア開発に十年にわたり取り組んできた企業だ。実績も厚く、日本企業から高い信頼も得ている。ハイスピードかつエキサイティングなHWSとの相性も良く、何よりも社長を中心に人間的に信頼が出来るメンバーがそろっている。国境を越えたビジネスを展開する時に必要なのは、細かい契約書ではない。信頼しよう、信頼に応えようという思い入れだ。

二年ほど前から、協業を模索して来た。単純に仕事を振り合うだけでは面白くないし、大した価値がない。最終的に合意したのが東忠ヘッドウォータースだ。


東忠ヘッドウォータースの存在意義について書きたい。

SI業界に限らず、あらゆる分野でイノベーションは起こる。新しい概念やインフラが世に出た後に、商品として成熟し飽和する。この飽和を打破する為のイノベーションが起こり、その分野は一歩上の領域へと上がる。

飲食業界なども、この二十年で眼を見張る変化を実現した。接客や店内の雰囲気作りにこだわり、メニューも工夫し、明確なコンセプトも打ち出し、業界全体で商品力は格段に上がった。今生き残っている店舗が二十年前に遡れば爆発的な人気を得るはずだ。

JavaだRubyだと言語について取り沙汰される事が多いが、SI業界の変革は構造改革によって起こるはずだ。ここの技術はツールに過ぎないので、時代と共に自然と代わる。これはイノベーションではない。SI業界のイノベーションは既存の業界構造の問題点を打破する事によって実現される。

現在、SI業界の大きな問題点は、「多段階下請構造」だろう。リスクヘッジの為に大手SIerも一定以上の人員を抱えられず、好況時には下請けの企業を開発に使う。これが多層化し、一つのプロジェクトを推進するのに無数の下請けから人を集めチームを編成する。結果、鍛えられた組織での開発ではなく寄せ集めのテンポラリーな集団での開発となるので、開発力もサービス力も上がらない。慢性的にSIの品質が向上せず、国際的競争力が生まれない理由はこの構造にある。

本来、エンドクライアントに配慮し、商品を作り込んでいくSIの世界は日本人の気質に合っている。システム開発は既存の製造業に並ぶ日本の主力産業になってもおかしくない。製造業において圧倒的な勝利を掴んだかつての日本の強さを、システム開発においても十分実現出来る素地はあるのだ。

PHOTOところがこの多段階下請構造がサービスの成熟、商品の進化を妨げている。色々なパッケージなどを仕掛ける企業は多いが、ツールだけでは真の顧客満足は得られない。総合的に顧客の収益を上げるデザインをして、初めて満足が得られるのがサービス業としてのSIだ。

良いサービス、良い商品を作り出すためには思い入れが無ければ駄目だ。とても刹那的に編成されたチームのその思い入れは持てない。多段階構造の中で現場のエンジニア達が継続的にサービス開発、製品開発に情熱を注げるはずがない。日本のSI業界全体のレベルアップが実現されない。

本来は育成し、鍛え上げられたチームによって連携を強化し、継続的にサービスの向上に当たっていく必要がある。これを実現する為には、業界構造をシンプルにし、全てのエンジニアがクライアントを見て開発をすることが必要だ。また、パートナーシップも強化し、開発チームは継続的に連携を取ることを前提としなければ駄目だ。恐らく中抜き的な役割の企業は業界的に排除されるはずだ。

近く業界の再編は起こる。製造業の世界では、一時期産業の空洞化が叫ばれた。事実、中国を中心にアジア諸国に生産拠点は移転した。失業率の上昇などが懸念されたが、国内でクオリティーの高い製造や、開発の上流部分を担うなどして競争力は維持されている。逆に日本側も危機感を得て、性能が向上した観もある。

SIの世界でも、日本のプログラマー諸兄と同じ作業を月給2~3万円で行う人員はアジアにごまんといる。日本語という問題さえ除けば作業内容は大して変わらない。いずれ一部の開発は海外へ流出する。それは決して悪い話ではなく、日本のエンジニア達が更なる上を目指すための契機となるはずだ。

SI業界全体が未来は進むための兆しとして東忠ヘッドウォータースが存在できるなら本望だ。日本にあるシステム開発の中で海外へ移転してよい案件は山ほどある。全てを海外に移す訳ではなく、日本でなければ対応できないものは国内に残せばよい。海外と連携が取れるものは海外に渡せば良いのだ。

現状の開発案件を分析し、日本側と海外側に切り分ける作業を東忠ヘッドウォータースでは行う。既に成功事例もある。


PHOTOSI業界の発展の為には、多段階下請構造を廃し、業界をシンプルする必要がある。日本に年商100億円を越えるSIerは70社以上あるが、各社は売上の30%前後を何百社という下請企業に委託しているはずだ。2~3名のエンジニアをパートナー企業から集めれば自然と口座は何百となる。前述したように、この様なチーム編成をしたところで業界全体は進歩しなければ誰も幸せにならない。

願わくば、我々に外注を使った開発案件全てを分析させて欲しい。日本側は付加価値の高い開発を継続的な強いチームで取り組んでいけば良い。そこにサービスや技術の進歩がある。他国に任せられる開発は他国へ振ればよい。そんな案件でも、産業が成熟していないアジア諸国にとっては、国を富ませ未来に繁栄するための良い材料になるはずだ。利害は一致する。

日本のSI業界は多重構造を止め、パートナーを絞り強固な関係の中でよりハイレベルな開発を目指すべきだ。事実、外注部分はコスト高の割に開発も難航し、多くのSIerの利益を圧迫しているはずだ。

各SIerは自企業の開発を精査し、プロパー及び選び抜いた数社のパートナーには重要な開発をさせていけばよい。それで自社のエンジニアを育て上げれば良い。我々は開発のサーベイのスキルや、他国との連携能力を磨く。技術を使ってビジネスを展開するスキルを磨く。また、コアパートナーの一社として情熱を込めて技術も磨く。お互いに損は無い。

当然、中小のSIer群も経験を積みビジネスの展開力が上がれば、多くのエンドクライアントから信頼も増し、自らが主導する開発も増えるだろう。

業界は再編されるべきだ。業界のあり方は進化すべきだ。それが無理ならシステムにおける先進国の地位を日本は保てない。現在のハイテク機器でソフトウェアが組み込まれない製品はない。金融、航空、物流などのあらゆるサービス業の要はシステムだ。システム開発で負けて、ハイテク立国としての日本の地位はない。

強い業界を創らなければ駄目だ。その一石を投じるのは、我々の様なベンチャーの役割だ。業界を変える起爆剤が必要だ。東忠ヘッドウォータースはその様な想いを込めてスタートした。