会長ブログ(株式会社ヘッドウォータース代表取締役:篠田庸介)

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2009年01月29日 17:30

紙一重

ソニーの営業損益が2000億円程度の黒字から、1000億円を越える赤字へと転落する見通しとなった。その理由や経済の話しは、誰かに任せるとして、私自身が自分の胸に刻み込んだのは「紙一重」と言うことだ。

ソニーが予算を発表する背景には、何十人ものアナリストがいる。日本が誇る頭脳を集め予測しても、何千億円という差異が出る。このことの善し悪しは、もはや問うまい。示された事実は、何人も未来を予測出来ない言うことだ。

当然、今期が始まった時には、何千億円もの黒字の可能性もあったのだろう。それが様々な要因の読み違えで赤字に変化した。両方の可能性があり、どちらにも転ぶ。その微妙さから、紙一重を意識したのだ。

私が経営の世界を目指し、大学を辞めたのが二十歳の頃だ。仕事を始めた当時は営業の世界で厳しい経験をつんだ。共にビジネスの世界を歩んだ多くの仲間達は、志し半ばで去った。私より明らかに才能に恵まれた人間も、途中で起業の道を諦め田舎へ引っ込んだりした。

飯も食えず、将来も保証されない中で何故自分は生き残って、志しを追えているのか考える時がある。雑誌などの取材で、その理由を聞かれる時もある。綺麗に答えるなら、「夢が・・・、精神力が・・・、座右の銘が・・・・」などの理由付けをした方が良いのだろう。

本音で言うなら、「たまたまです・・・」と言うところか。

現在は志もあり哲学もある。当時の私にはその様なものはほとんどない。苦しい時に、正しい方向に精神を持っていく術は全く無かった。生き残ったのは、たまたまだ。

人生は多くの選択の結果作られる。朝、30分早く起きるか布団の中で丸まっているかも選択だ。仕事を後5分集中して行うか、手を抜くかも選択だ。その30分、その5分の集大成が現在の自分だ。

日々の選択の中で、自分の人生はどちらにも転ぶ。誇りを持ち、やり甲斐を感じる仕事に取り組めるのもいくつもの選択をした結果だ。才能の差や、環境の差はあるだろうが、紙一重の選択の差で現在に至ったことは間違いない。

紙一重の差で、未来は大きく変わるのだ。

自社を見てみる。

現在、それなりに業績を出している。「このご時世に立派ですね」とも言われる。これに対する私の答は「紙一重です」しかない。今のHWSの組織なら、更に経営環境が悪化しても余裕で生き残る自信はある。生き残るのに苦労はないが、高い業績を上げ続けられるかと問われれば、「紙一重で勝利を掴めば可能でしょう」となる。

今の業績の良さも、組織の強さも気を抜けば一瞬で消える。常にリスクを意識し、良い時も奢らず悪い時も腐らずいれば、永遠に発展出来る。

私の名前は「庸介」と言う。

「中庸」から一字を取り命名された。庸の自には、恒常的という意味がある。

以前は中庸とは、バランス感の取れた姿の事を指すと単純に思っていた。どちらかと言うと、平凡な人間をイメージする名前だとも思った。私の両親も、志しの低い名前をつけたものだと感じた時もあった。

事業の世界に進み二十年の歳月が経った。良い時も悪い時もあった。全てを投げ出して逃げたい時もあった。それなりの成果を出し、自分の実力を過信した時もあった。人生の起伏を若輩ながらいくつか通り抜けた今、中庸の意味は少し変わった。

人間がもたらす成否は常に紙一重だ。その紙一重を理解し、苦しい時はいずれ昇る日を信じ、勝ち誇れる時期には、その陰に潜むリスクを感じ、いつも心を平常に保つ。この境地を中庸と指すのだと思う。両親の期待した中庸へ、今は少しだけ近づいた。

好業績も紙一重で転落する。市況の悪さも紙一重で反転する。それが人の世の常であり事実だ。紙一重を人の意志によって良い側に導くところに自分の価値がある。それを実現する為には自分の心のあり方を中庸に保たなければならない。

多くのエンジニア、多くの経営者に伝えたい。君達の勝利は紙一重の所にある。腐らず、奢らず、己の夢に向かって欲しい。今は見えない紙一重を通した向こう側の世界を目指して、ひたすら歩み続けて欲しい。

2009年01月25日 17:28

エンジニア達へ

マイクロソフトやソニーの様な巨人達も人員削減に着手している。そんな中、下を向いていては、社内の士気も上がらないので、半分空元気も含めて「ピンチはチャンス」と叫ぶ中小企業の経営者も少なくない。しかし、精神論だけでは、余程の感化力をもってしても社内を鼓舞することも難しいだろう。

私がビジネスの世界に足を踏み入れて、早二十年になる。バブル後の不況に続き、昨今の市況は二度目の底を感じる。前回の記憶があるので、この情勢でも不安がない。戦後五十年の間で積み上げられた社会基盤が崩れたバブル崩壊に比べれば、前回の不況からの期間も短い今回は、各企業とも経験を積んでおり、対応は早い。

前回も日本中にレイオフの嵐が吹き荒れた。終身雇用、年功序列に微塵の疑いも無かった中、経済的混乱に陥った前回は、レイオフなども上手く出来ず対処が遅れたり、後手に回ってじわじわ人を切っていった企業もあった。

しかし、リストラ断行した後にいくつかのきっかけを得て生き残った企業群は好業績を上げ、見事復活を果たした。凋落するコンペティターを他所に再生したマーケットのニーズを一手に引き受け、最高益を上げ続けた企業も少なくない。

最近のSI業界では、千名程度のエンジニアを抱えるSIerが、四月から三百名も人員が行き場所も無く、浮いてしまう様な話も聞いた。各社とも三月でプロジェクトを終了したエンジニアが社内に帰って来る。次の開発が無くコストだけを生み出すメンバーを多く抱えた企業は、キャッシュが費えた時点で倒れるだろう。今年度の成績では、来期の資金調達が難しい企業も多いはずだ。

ちなみ弊社は今のところ、今期は過去最高の成績で終わる見込み。売上、利益とも過去最高だ。不況といわれる中、戦い抜いたHWSのメンバーを誇りに思う。現状のHWSのパフォーマンスは、経営者の力ではない。各現場で、精神を削り、誇りをかけて成果を出した仲間達の力だ。クライアントとコミュニケーションを密にし、他社のエンジニアが潰れていく中、結束し現場を立て直したメンバーもいる。営業もこなし、開発もこなし、開発環境全般に影響を与えた、HWS全メンバーの集大成が今期の成績なのだろう。更にシビアな市況となる四月以降でも、この仲間達となら平常心で戦いに迎える。

一方、日本国内では、四月の段階で社内失業者も含めて数千数万というエンジニアが浮く。企業数も減り、エンジニア自体の絶対数も減り続けるだろう。

狭まった市場を日本中のSIerが取り合い、この戦いに敗れた企業は社会からの退場を余儀なくされる。結果、企業数もエンジニア数も減り生き残った者のみが次の世代に進む。

自国を冷静に見たときに、未来の国際的な競争力はまだ担保されていないが、短期の経済的な復興に関しては微塵の疑問も抱いていない。資本力、技術力、多額の貯蓄を抱えた潜在的なマーケットパワー。どれを取っても世界の最高峰であり、今まで以上の好況を近い将来に迎えるはずだ。今の日本が復活できないとしたら、世界中のどの国も再生されることはない。

経済が立ち直れば、各企業は競争力を確保するために、こぞって設備投資に入る。IT投資も爆発的に増える。しかし、その時すでに日本は、エンジニアもSIerも大量に失った後だ。生き残ったエンジニア達に資金もビジネスも集中する。エンジニア達はビッグチャンスをつかみ飛躍する事も可能だ。そこまで生き残り、虎視眈々と組織を鍛え作りこんで来た中小SIer達は、大手に迫る拡大も実現できるだろう。

同胞たる日本中のエンジニア、日本中のSIer経営者に伝えたい。

不況だと言われる昨今、下を向いてうなだれる必要はない。必ず市況は反転する。不況を利して、その時まで自組織を強靭に作りこんでおくのだ。数年前以上に、濡れ手に粟の好況の中で、群を抜き伸び上がる準備を一つずつしていこう。

先ずは生き残れ。組織を挙げて生き残れ。

今は個の利益など捨ててしまえ。組織を使い、組織の仲間と連携し、全員の力で生き残れ。それは決してネガティブな行為ではない。かつて無かったほど、トラブルにも強く創意工夫も出来る組織、パフォーマンスの高さもタフさも有した組織を作りこむためのクリエイティブな挑戦だ。

守るのではない。金は使わないが、攻撃的に自組織の変革実現に向けて戦うのだ。

エンジニア達よ。君達が取り組んでいる「技術」は、日本が世界に勝つためのコアだ。君達の力によってこの国は未来も豊かさを確保し、世界から必要とされるのだ。今の仕事に誇りを持て。今の不安や苦しさに追われ、この誇り高き仕事から逃げてはいけない。

多くの同胞達よ。今はひたすら生き延びよう。攻撃的に生き抜こう。

現在の市況によって育まれた組織の強さと、近未来に来る有利な市況を武器に、業界の構造すら変革し、ITを日本の中軸産業として、世界に打って出よう。
 
この項は精神論の項ではない。来るべき未来の事実を示し、我々がどの様な態度で望むべきかを書いた。

2009年01月22日 14:48

ルールブレイカー

先日、某大手企業の本部長とお話する機会があった。巨大組織を土壌として育たれたのに奇跡的に強いベンチャー志向を持っている。ある意味異彩の人だ。巨大組織側の人間としてのエゴもなく、自社を官僚的な組織から脱却させるべく奮闘されている様子はなかなか見事だ。組織の事を真剣に考えれば当然のスタンスではある。

その様な状況故に、HWSの取り組みに対しても強い興味を持って頂いている。僭越ながら、少しでもお役に立てばと、HWSのスタンスについて全力で話させて頂いた。組織の成り立ちに違いが有りすぎるので、どこまで参考になるかは不明だが、その方の取り組みの一助となれば幸いである。

某雑誌にて、元ソニーの社長である出井氏が、大企業とベンチャーの優位性の違いを語っていた。大企業は巨大な資本力があり、ベンチャーには既存にとらわれない自由がある。ベンチャーが巨大企業に担えない役割があるとしたら、「ルールブレイカー」であろうという内容だった。大企業は様々な新しい技術も有しているが、既存のルールを壊して、新しい文化を作るには、硬直化した組織が邪魔をしてダイナミックに動けないというものだ。出井氏の取り組みとしてベンチャーのアグレッシブさを大企業の資本力と結びつけ世界と
戦える企業が生まれる枠組みを作りたいと言っていた。

大きく共感するが、我々はまだ若いので、先ずはプレーヤーとして前線を突っ走るのが役割であろう。

不況の時代は、既存の枠組みが壊れる。世はルールブレーカーを待望する。巨大組織の中では育まれない文化や制度を作り上げ、新しいビジネスを世に送り出せるベンチャーが待ち望んだ時代が来たともいえる。肥え太った日本マーケットの中で、大手の端っこのおこぼれを食べるだけの小企業なら危機は増すばかりだが、新しいルール作りを狙う真のベンチャーにとっては好機だと言えよう。

HWSが狙うのも目先の利益ではない。ルールブレイクであり、ルールクリエイトだ。これを徹底し、ベンチャーとして強いモチベーションと結束力を有する組織を実現するなら、多くの大手企業が学ぶべき未来をHWSが示せるかもしれない。安定した時代なら、このようなポジションを狙うことは難しかったはずだ。何よりも巨大組織はHWSなど見向きもしなかっただろう。

また、最近はHWSに近いビジョンを掲げる中小SIerも目にする。安直に真似できる道ではないが、業界が変わっていく上で私が望んだ流れでもあるので、多くの企業は是非取り組んで欲しい。

過去の正義だったルールも時代が変われば誤りとなる。その過渡期が来ている。

巨大組織は我々から組織の有るべき姿、組織の強さを学び、小企業は我々からビジョンの必要性や、ベンチャーの優位性を学ぶ。

新時代のフラッグシップとしてHWSが日本経済に存立する未来を実現しよう。新しい枠組みの先駆者として、疾走し続けよう。

2009年01月21日 11:31

リーダーを目指す方々へ

毎年、この時期は事業部長の立候補が相次ぐ。事業部を作る時に各候補は自力でメンバーを集めなければならない。年度末を基点することが、一番スムーズではある。よって、先日、月一の経営会議終了後に、事業部長立候補者からの事業計画が発表された。

既存の事業部長から2/3以上の賛成を得られなければ、今回は落選となる。事業部長になると最低給料もそれなりに上げなければならないので、その金額を取る資格があるかも含めてシビアに見られる。

今回の立候補者は六名。

それぞれ、立候補するだけあって個性がある。事業計画には、来期の収益予想も添付しなければならないので、現時点で自分の事業部に参画してくれるメンバーを確保している。皆、それなりに人望はある。

プレゼンだけ上手くても事業部長にはなれない。過去の言動も逐一チェックされる。柱となるクライアントを開拓した実績はあるか?現場でのリーダーシップはどうか?収益に対する執着心はあるか?など、今までの動きがプレゼンの内容以上に見られる。前線の指揮官は口だけでは駄目だと言うことだ。最後だけ上手く取り繕ってもごまかしは効かない。

過去の成果をベースに未来が計られる。未来を計る上で最低三つの責任を背負う覚悟があるかを見る。

● 収益に対する責任
● メンバーの将来に対する責任
● ヘッドウォータースのビジョンに対する責任

最低でも、この三つを理解し背負う覚悟が無い人間は、ヘッドウォータースにおいて管理職たる資格がない。

自分の想いを形にしたい。その為の裁量権が欲しい。これも間違いではない。しかし、組織を使い部下を持ち、その想いも満たす為には、自己実現と責任の両方を背負い前進しなければ駄目だ。

多くのエンジニアは収益に対する認識が甘い。先輩達も含めて現場の作業員として、誰かが収益の責任を背負う下で、作業をこなすキャリアばかり積んでいくので、危機に対する感覚は未成熟なままだ。

プロジェクトの狭間で会社に利益を入れていない時に、その認識を持つことも必要だが、そもそも普段から志しが低い。例えば給与五十万円取っている人間が、月額九十万円会社に売上を上げたとする。エンジニア的には満足感を持っているが、ビジネスパーソンとしては下の下だ。月給五十万円の人間が売上で九十万円いれても、現実的な利益は二十万円以下だろう。その粗利益の中で会社の運営コストを回すので、実質の貢献度は微々たるものだ。それでも、多くのエンジニアは自分のレベルが低いと気が付かず、満足してしまう。

月間にその程度の利益しか貢献出来ない営業マンがいたら、早晩クビが飛ぶ。エンジニアは社員ではなく、商品として扱われているから、それで許されるのだ。私はHWSのメンバーをエンジニアである前に、仲間であり、弟子であり、商品ではなく人間だとして付き合いたいので、その程度の利益を出した状態で許さない。

人月に依存しない収益を求めるし、その為のリーダーシップを発揮することを求める。これが出来ないエンジニアを現状のまま許すことはない。甘くしてメンバー達が未来に幸せを掴む事もないだろう。クライアントも開拓し、技術を利した新しいビジネスの構築も要求する。

よって、多くの仲間達の目標であるべき事業部長には、更にシビアに収益に対する責任を求める。個人としての収益の認識もそうだが、リーダーであればチーム全体の収益に対して責任を持ち、シビアさを受け入れ、メンバー達をマネージしなければならない。

死んでも達成する。身体を張ってでも、コミットした収益を死守する。それが、自分の思い描いたビジネスモデルを追うことよりも優先できる人間でなければ、リーダーとしての職務に就く資格はない。収益をコミットできないが、やりたいビジネスがある人間はメンバーとして自分を買ってくれるリーダーの下で頑張ればよい。事業部長にはなれない。

この覚悟が最初の条件だ。

次にメンバーに対する責任がある。

ヘッドウォータースの事業部長は、一時的な要員を得てチームを編成する感覚でその任に就くことは許されない。メンバー一人一人の未来を考え、その為には自己犠牲も厭わず、業務と育成に当たらなければならない。真のリーダーとはそう言う存在だ。上手く、配属されたメンバーに指示を出す事など、簡単だ。そのレベルで優秀な管理職面をする人間がいたら片腹痛い。

事業とは長期の戦いだ。短期であれば、組織力よりも勢いが力を持つ。長期の戦いで継続的に勝利する為に強い組織が必要なのだ。組織力を強化する為には、志を共有する仲間が必要だ。その仲間を集め、深いところで志を共有するには相応の時間が必要だ。一人一人の将来を考え、責任を持って育成の任に当たらなければならない。今のプロジェクトを成功させる要員として、仲間を商品の様に扱うことはHWSでは許されない。

道徳的な意味ではなく、最強の組織を形成し、我々のミッションを達成するためには必要なスタンスだ。

最後にHWSのビジョンに対する責任について書きたい。

私がメンバー採用の為の面接時に最も時間差を割いて語るのは、HWSが達成しなければならないミッションだ。そのミッションを達成する為に、HWSは設立され、そのミッションに向かってHWSは進む。HWSの正義はこのミッションにある。

HWSに入社する最大の条件はこのミッションへの共鳴だ。これが無くして、HWSにいることは許されない。この前提の中で積みあげられた組織なので、当然のごとくミッション達成を第一としてビジネスに取り組む責務が全メンバーにある。

特に事業部長には、HWSのリーダーとして、めげず曲がらず、このミッションを追う責務がある。

多くの事業部制を導入した企業は、セクショナリズムの横行によって、本来持っている企業のパフォーマンスを出せないという問題を抱える。企業力の最大化よりも、事業部の利益や、やりやすさが優先してしまうのだ。これでは、何のために事業部制を布いたのか分からない。

第一義はHWSのミッション達成だ。この為に編成されたのが各事業部だ。個人の為に各事業部が在るわけではない。組織が勝利し、組織が発展する中で自らの想いも成し遂げるのが順番だ。どちらもおろそかにしてはならないが、責務を第一にするなら優先すべきは組織のミッションだ。

仲間に対する筋や責任を全う出来ない人間が、個人の大それた目標を成し遂げられる訳がない。高次で考えるなら、組織の勝利と個人の想いを成す事は全く一致する。テンポラリーで見れば、利益が相反することもあるが一定の期間で考えれば必ず一致する。それを踏まえた上で、経験則から語らせてもらえるなら、一時的な局面で優先すべきは組織人としての責務だ。自分の想いではない。

これらが理解できる成熟度が事業部長には求められる。リーダーとしてもビジネスパーソンとしても、成熟しなくてはならない。無理矢理でも自分を成熟させ、一歩上に上がる覚悟が出来た人間からリーダーとして、事業部長としてその道を歩めばよい。

今年も新しい事業部長が誕生するだろう。事業部長になるに至らなかったメンバーも、自己を錬磨して次のチャンスを狙って欲しい。人生の戦いは長期戦だ。自分さえ腐らなければ、必ず報われる時がくる。そもそも論で言えば、一度二度のチャレンジで腐る人間はリーダーになる資格が元々無かったのだ。

人生における成長は定常的ではない。下降や停滞を乗り越え、爆発的に成長が来る。スポーツでも仕事でも一緒だ。右肩上がりに、一歩ずつ評価され成長が実感できるなら楽なものだ。かけている労力や時間に相反して成果が得られない時期もある。そこで腐らず、自分を信じ、仲間を信じ前進するのだ。企業経営も同じだ。努力しても会社が成長しない時もあろう。同じ様に腐らず、自らの正義と成長を信じて実務に邁進するのみだ。

不況が謳われる今こそ、本物が試される時だ。同時に自らを本物として育て上げる時期でもある。多くの若者には、強い覚悟と情熱を持ってビジネス道を歩んで欲しい。自ら決意しリーダーシップを示して欲しい。

2009年01月14日 11:07

組織の守護者たれ

090114_a.jpg東京ビックサイトにて開催されたマイナビ主催の就職EXPOに参加した。合同説会への参加は、本年度はこれで最後の予定。前回と同様に八回の講演を行ったが、全講演立ち見も相当数いて、満員御礼で終了した。席数の関係上、トータルでも三百数十名程度しか、参加頂けなかったので残念だ。

マイクのボリュームを業者の設定どおりにしておいたら、会場の反対側にある出口まで声が届いていたらしく、クレームが来て、基準より数段ボリュームを小さく落とされたり、帰り際に某有名週刊誌の取材を受けたりといくつかのアクシデントもあった。

何故かリピーターもいて、二回以上参加していた学生も数名見受けられた。就職活動の方向性を見出した為か、涙ぐんで帰っていく学生もいた。

毎年言うが、話を聞いてくれた学生のほとんどは、お互いのニーズによって入社には至らないだろうから、採用活動というよりは、学生たちを正しいスタンスで社会へ向かわせるための啓蒙活動と位置づけ、全力で話させていただいた。その気持ちが学生諸君にも届いたのだろうと思う。

この項では、講演で学生達に伝えた内容のひとつを取り上げたい。

090114_d.jpg合同説明会の会場を見学して回ると、業種によって人気の有無が明確に分かれている。JTBなどの、コンスタントに人気のある企業は当然だが、今年人気があるのは食品関係。バブル崩壊後も同じ傾向があったのだが、学生の浅い社会観の中で導かれる結論は時代が変わっても大して進歩しない。経済状況が悪くなっても、人間は飯を食うので、その分野は無くならないという事らしい。幼稚な思考は子供なので、しょうがないだろう。警視庁も出展していたが、これもかなり人気だった。親方日の丸は、不況下には常に人を惹きつける。自力で生きる自信も経験も無い無力な人間としては、当然の選択だろう。自分を守ってくれる強い存在を探して多くの学生たちの迷走は続く。

一方、人気が低迷しているのは、現在の市況を受けて不動産・建設関係。我々が起つITのフィールドも不人気業種だ。頼るに足る存在として、現状は認めてもらっていないらしい。まあ、学生の人気などいつの時代もあてにならないので、どうでも良い。

守ってもらう為に、守ってくれる企業、将来を保障してくれる企業を探すのが就職だと思っている学生は少なくないだろう。これも一つの選択なので、あえて否定はしない。ただし、私自身はと問われれば、死んでも誰かに依存し、誰かに生命線を握られ生きる道を進む気にはならない。

誰にも守ってほしくないし、誰にも未来を保障して欲しくもない。

どうせなら、誰かを守りたい。多くの人が幸せに過ごせる社会を実現する為の一助となりたい。その方が私自身は満たされるし、強いエネルギーが沸く。

090114_b.jpg経営上の本質論で言えば、依存心を持って会社に入社するのは間違っている。依存心を持った人間が高い生産性を上げる事は少なく、組織の弱体化につながる。組織がメンバーに対して求めているのは、依存ではなく貢献だ。貢献と依存のバランスが一線を越えて崩れれば、組織は破綻へと向かう。よって、理想で言えば全メンバーが貢献を是として、実務に当たる姿を求めたい。

HWSでは会社をよく見せて、採用を進めようという気が無い。それよりもありのままのHWSを話して、覚悟を持って入社させたい。甘い話は一切しない。美味しそうな条件や待遇を鼻っ面にぶら下げて人を集める気は一切無い。それでも真実を求め、厳しさを受け入れられる優秀な人材は自然と集まる。

説明会では私が誠意を持って伝えたのは、「君たちを守る気が私にはない」と言うこと。

逆に「君たちが会社を守れ。君たちが会社のミッションを守れ。」と要求した。その気の無い奴は他の企業、依存させてくれる企業を選べと語った。

そもそも企業を含めたあらゆる組織は何かを成し遂げるために生まれ、何かを成し遂げるために存在する。雇用が企業の最大の使命だという意見もある。これも一つ考え方、社会的役割としては否定しないが、組織の本質を考えれば正しくない。

組織の存在理由は、その組織が成し遂げるべきミッションだ。そのミッションを達成するために、メンバーを集め組織は形成される。ミッションよりメンバーが優先されては本末転倒だ。

存在理由が無くなった、なすべき事が無くなった企業が社会から退場しても誰も困らない。雇用は一瞬消えるが、誰かがいずれミッションのある組織を作り、適切な雇用を創出する。自社が雇用を支えなければいけないと思うのは、一種のエゴである場合も少なくない。フェアに雇用を支えるなら最高だが、雇用を守るためにアンフェアに税金が使われる事に価値はない。別に不適切な支援をしてわざわざ会社を支えなくても、社会にはしなやか蘇生力があり、自然と正しい形を成す。

090114_c.jpg本来は、ミッションを完遂する為にメンバーが集う。より強い組織をつくり、より高いパフォーマンスは実現する為には、組織に愛着を持った仲間集め育て、組織力を上げなければならない。その為にはメンバー達の成長、メンバー達の未来を本気で考え、彼らが生涯希望と安心を抱ける強さを自組織において実現しなければならない。個人に何らかのアクシデントが生じた時は、強力な組織を実現するに必要な仲間を全力で守らなければならない。それがミッションの達成にも最短の道なはずだ。結果的に雇用も守られるし、メンバー達も幸せになるだろう。

しかし、全メンバーの意識としては、最優先すべきは組織のミッションでなければならない。これを理解しない人間が組織にいると、組織のバランスや基礎が崩れる。組織は少しずつ力を失う。

だから、あえて入社前に学生達には、HWSの前提について話す。

誰かに守ってもらうよう軟弱な社会人を目指すな。HWSのビジョンを達成するために貢献せよ。リーダーとして仲間守り、仲間に貢献できる人材を、自分がなるべき最低ラインとして考えよ。自分の身は、この後十年の間にハードワークを積み重ね、高い性能と実績を武器に勝手に守られる状態を作れば良い。君達が意識して守るのは自分の身ではない。

自分の人生投じている自組織を守れ。自組織のミッションを守りぬけ。依存心捨て、組織に貢献せよ。

プロ野球の世界を見ても、一流の選手はチームへの貢献しか語らないではないか。自分の記録を狙ってチーム成績を二の次に考える人間などプロではない。自分のあらゆる技能はチームが優勝する為にあると、一流の選手ほどよく理解している。

090114_e.jpgチームに守ってもらおうと言う前提でプロ野球の世界に身を投じる人間もいない。自助意識は「プロ」の世界では常識だ。アマチュアの世界でのみ依存心が通用する。依存心を主張しても馬鹿にされないですむ。まわりの人間もアマチュアなので、アマチュア同士で傷口も舐めあえるのだろう。その価値観はプロの世界では一笑に付されて終わる。

社会に出る前の学生達にプロの価値観を要求するのは酷だという意見もあるかもしれない。私はそうは思わない。プロの価値観を受け入れ、プロを目指している高校生などスポーツの世界では五万といる。年齢の問題ではない。自覚の問題だ。自覚するなら早い方が良い。残りの人生を正しい価値観の中で真っ直ぐ進むことができる。

最後に

学生達、若き社会人達に伝える。

企業から何かを与えられることを期待するな。与えられることを求めているうちは、いつまでも二流のままだ。本当に優秀な人間は、自分の蓄えた力を使い組織に何かを与えたいと思うものだ。組織に対する貢献度が自分の価値だし、自分が組織に守られるとしたら、守る人間は一体誰なのだという疑問に気がつくはずだ。守る側の人間が一人ずつ減れば、いつかは組織を支えきれなくなる。各人は、自分が依存すれば組織の大半が依存心を持つと自覚し、組織の牽引を狙わなければならない。

就職は貢献だ。就職は与えることだ。これが出来る一流のプロになれば、所得も待遇も思うがままだ。無能なうちによだれを垂れ流しながら、少しでも高い収入、少しでも高い地位など求めなくても、成長と同時に、全ては後から勝手についてくる。

組織を支える人間が増えれば、自然と日本も支えられるだろう。世界の経済状況とは関係なく、日本が強く成長する未来も実現できるだろう。全ては君達の意識、覚悟かかっている。

2009年01月08日 15:03

昨今の報道から

ニュースを見ていると、不況だと世間が叫ぶ中で粛々と最高益を更新している企業群もいるようだ。小売業を中心に、市況にあった製品を手がけている企業は業績を伸ばしている。

厳しいと言いながらも、国内市場にはそれだけの購買意欲があるらしい。私自身も欲しい製品が安くなっているので、年末から年始にかけてかなり財布のヒモを緩めた感がある。

こちら側にスポットを当てて、主たるニュースとして流せば、世間も明るくなりそうだが、話題として面白いのは常に不幸な話、暗い話だ。人が幸せになった話では、あまり世間の感心を引けないのだろう。

世の中は声が大きい方が目立つ。真実かどうかよりも、正しいかどうかよりも、声の大きさで雰囲気が決まってしまう場面はよくある。企業内でも同じ事が言える。

090108_a.jpg景況に関する報道を見れば分かるように、明るい話、前向きな話で人を惹き付けるのは難しい。聴衆に対する育成義務やマネージメントの責務を持たないマスコミは、人を惹き付ける事を優先し、悲壮感漂う話をインパクのある表現で伝えれば良いが、組織内でそれをやったら自滅が待っているだけだ。

組織はミッションを成し遂げる為にある。ミッションを成し遂げる為には、全員が前向きなモチベーションで事業に当たらなければならない。また、あらゆる言い訳を排除して、個人が自己成長せざるを得ないように追い込まなければならない。辛い話で人を惹き付けても、組織の目的から遠ざかるだけだ。

会社内で問題提議をする人間は、どこの組織にもそれなりにいる。問題提議する人間は切り口として、現状の問題を深刻に語る。自分が行う問題提議の重要性を固めたいのだろうが、立場によっては、組織をマネージする事を放棄したようにも見える。

組織の事を真剣に考えている人は、組織の問題も良く理解している。少なくても私は組織運営の経験は相当積んでいる。恐らく私以上に、その経験を積んだ人間も同年代では多くはあるまい。

自組織の問題など挙げようと思えば、一番多く挙げられるのは私だろう。他の多くの組織でも各リーダーは十分に自組織の弱点を理解し、それを改善したいと思っているはずだ。

ただし、責任感のあるリーダーは、組織を成長させる為の課題を明るく前向き表現しなければならない。組織のマイナス面を出す前に、その反対側にある組織のプラス面から話し、その強さを活かしながら弱点を克服するよう構成で話したり、「これは駄目だ」ではなく「こうしようと」という言い方で同じ内容を話したりする。

組織に強いエネルギー与え、メンバーを成長させる責任感から、様々な配慮の中で自己の発言を決める。社長でなくても、責任感あるリーダーなら、大なり小なり、この様な心配りを常に行うはずだ。

一方、多少賢くても組織人としてビジネスパーソンとして未成熟な人間は、「正しい事を言うのだから表現は関係ない」とばかりに、得意顔で組織の欠点を言う。周りが困った顔をすると、「皆さんは気が付かなかった思いますが・・・」「正しい事を言って何が悪いんですか・・・」と言う態度になる。

正しい事を言えば良いのなら、日本語もここまで発達しないだろう。正しいことを伝える表現の美しさや適切さを幾つもの選択肢の中から考えて伝えるので、言葉には力があり美しさがあるのだ。

しかしながら、冒頭で語った通り、暗い話やネガティブな話の方が強い吸引力を持つ。未来に対する責任、組織に対する責任を最初から考えないなら、表現はネガティブな方が人を惹き付けるのだ。

一回こっきりの営業で、ネガティブな表現を多用し、クライアントの感情を惹き付けるのは効果がある。クライアントに対してはマネージメント責任も、育成責任も負わないので、間違った手段ではない。

090108_b.jpgHWSでは、基本的にリーダーシップを取ることを全メンバーに要求している。リーダーになり、部下を持てば自然と育成や成果に対する責任感が生まれる。この責任感が本物なら、正しい配慮が育まれるはずだからだ。

この正しい責任感が無い人間が、大きな声で叫ぶネガティブな問題提議は人の感情に強いインパクトを与える。特にビジネスパーソンとして未成熟な人間、自分の芯を持っていない人間には、大きな影響を与える。

かつて、成果を出すという事に関しては二線級だが、声がでかい奴らが、ネガティブなテーマで未熟な者達を惹き付けて、脱落していった光景をよく見た。

私が二十代前半の頃にいた会社は、給与も完全歩合制だったので、飯が食えない奴らも多くいた。社員寮が一棟あったが、201号室はネガティブな人間が会社批判をするたまり場になっていた。203号室に住んでいた私も、よく誘われて201号室で安い焼酎を飲んでいたが、ネガティブな話は軽く聞き流し、馬鹿話だけに参加して飲んだものだ。

私以外の201号室に集まっていたメンバーは、早々に全員消えていった。彼らが消える頃に私の営業成績は飛躍的に上がり、トップセールスとなった。

201号室でリーダーシップを発揮していた人間は短期的には良い営業成績を出した事はあった。しかし、それが継続できなかったのは精神面も含めた実力が無かったからだろう。声は大きいので、不振の自分を正当化する意味でも弱い人間を集め、会社批判をし溜飲を下げたのだろう。

この様な事は何度か経験したが、いつ頃からか私人の発言と姿勢が常に前向きすぎて、ネガティブな言葉も人間も私に近づかなくなった。

HWSを設立した当時も、まだ何も成果が出ておらず、全てが絵に描いた餅だったので、愚痴を吐くエンジニアも多くいた。陰で会社批判をして盛り上がっていた様子も、色んな方面から私の耳に入ったが、未熟故と思い、捨てておいた。

その一方で、現在HWSの取締役である疋田は、愚痴を吐かないのは当然だが、私と同様にネガティブな人間が近づきがたい雰囲気を持っている。疋田に限らず、この雰囲気を身につけた人間以外は取締役としてベンチャー企業の経営の前進に位置する資格がない。

ネガティブな問題提議をしている者も、深層心理では自分がしている事に気が付いているので、正面を切っては批判的にはなれないのだ。必ず弱い者を探して、愚痴を吐く。(たまに気が付いてもいない例外もいる・・・)

「僕の所には色んな人が相談に来るんです」と言うリーダーがいる。色んな人が愚痴を吐きやすい、正しくないと分かっていることでも言いやすい、そんな対象はいる。正直な話、リーダーとしては失格だ。相談されやすい人間として喜んでいる場合ではない。自分の弱さ、不安定さを見透かされて、未熟な者が近づいて来ているだけだ。

090108_c.jpgショボイ事を言われないだけの正しさと強さを常に身にまとってこそリーダーだ。その上で、媚びず、阿らず、人心を掴んでこそリーダーだ。HWSでは、これを全メンバーに要求し続けたい。各人の未来の為にだ。

人望があると言うことと、舐められていることを混同してはいけない。

話を戻す。

最近の報道が我々に示してくれることは多くある。報道は誰かが意志を入れて世に出しているものなので、嘘ではないが加工はされている。その加工具合に報道各社の主張が見え隠れすれば面白い。

我々は盲信せず、多くの情報から、正しさを探れば良い。

昨今の報道を見ていて、感じることがいくつかあったので、思いつくままに書き殴ってしまった。まだまだ、書きたいことはあるが、私は経営者なので、プロフェッショナルな部分に関する事だけ少し述べさせていただいた。

多くの読者は、正しいこと、明るいことを正面から大きな声で発し貫き通す人間を目指して欲しい。安直に人を惹き付ける為の力が持てる、ダークサイドのリーダーシップに身を落とさず、何かを生み出せるリーダーとして自分を創り上げて欲しいと願っている。


2009年01月06日 17:33

平成二十一年 指針

平成21年も静かに幕を開けた。今年に入って最初の項なので、HWSの指針を示したい。

激動の時代に生き残るためのキーワードは二つある。

(1) 変化
(2) 組織戦

この二つに注力する必要がある。この二つについて語り、同時にHWSの指針を述べたい。

(1) 変化

090106_a.jpg世の中の生き残りをかけたあらゆる戦いは、規模の大小によって勝敗が決まるわけではない。規模で言えば、リーマンブラザースもエンロンも破綻しなかったはずだ。激動の時代に巨躯が必ずしもプラスにはたかないことは、過去の歴史が証明している。

規模が勝敗を決めないので、マイクロソフトも台頭出来たのだし、シンガポールという小国ながら高いGDPを誇る国家も生まれたのだ。

時代の境目で、多くの常識や価値観が崩れ時に、強さを発揮するのは変化への対応力だ。対応力という言葉は適切ではないかもしれない。どちらかというと、変化を示す「兆し」となる力が必要なのだろう。

ダーウィンの言葉を借りれば

「生き残る種というのは、最も強いものでもなければ、最も知能の高いものでもない。変わりゆく環境に最も適応できる種が生き残るのである。」

となる。

変化を考えると、一番難しいのは自分の過去を否定することだ。多かれ少なかれ、人は過去に成功体験を持つ。それにすがって現在のプライドを維持している。正しいバランス感の中で自信を持つことは素晴らしいが、このバランスが崩れ過去の成功経験の中に逃げ込む人も少なくない。

それは、大学受験で有名校に合格した事だったり、高校の部活でインターハイに行ったことだったりする。また、社会人になって、最初に営業成績で表彰された事や、大きな成果を出した事をずっと語り続ける場合もある。

また、市況が良い時期の、たまたまついていた時の成果を実力と思い込み、その時のスタイルを変えられない経営者も多い。市況が良かったので、たまたま儲かっていたのだが、その時に仕事もそこそこに遊び歩いていたスタイルが自分らしさだと思いこんでなおらない経営者も何人も見てきた。

エンジニアは特にこの病状が酷い。二十代、三十代に作業者として便利に使われる。作業者として大事にされるし、ここ数年は市況の良さから現実から乖離した待遇を得た者も多い。一回転職をする度に年収が五十万円ずつ上がっていくエンジニアも多く見た。ビジネスマンとしては極めて未成熟なエンジニアが自分の価値を間違って捉えて得意気になっている姿がかなり哀れではあった。

作業者としてチヤホヤされた過去を捨てない限り、エンジニアがビジネスの世界に踏み込めない。既存のエンジニア像を断腸の思いで否定しない限り、次世代に生き残る道はないのだ。

日本人の新しい姿が必要だ。懐古的に過去を賞賛して、昔の日本に戻る必要もない。日本人の良さや歴史は否定しないが、時間の流れは巻き戻せまい。過去の全てを飲み込んだ上で、新しい日本のビジネスマン像を打ち立て、世界で戦わなければならない。これは確定した事実だ。

発展途上国とも違う、欧米各国とも違う、日本人としての姿を確立し競争力を担保していなければならないのだ。

その為には成功した過去を一度は否定し捨てる覚悟が必要だ。エンジニアならば、開発スキルがあるのは当たり前であり、自分の価値にはならない。少なくても年齢を重ねてビジネスの世界に入る人間のコアとはならない。

090106_b.jpgよって、その過去に頼ることを止め、未来に新しいスキル、新しい姿を目指さなければならない。その時に、不安や上手く行かない時の不満なども去来するだろうが、かまわず新しい道を進まなければ駄目だ。

話を戻す。

企業もそうだ。過去に成功したビジネスモデルや、商材で飯を食い続けることは出来ない。例えば市況が変わらなかったとしても、変化しなければ組織のエネルギーは減退し、後発の企業に市場を奪われるのがオチだ。

激動の時代に変化しよと思わなくても良い。我々が持つべきは過去の成功を否定する勇気だ。その強靱な意志だ。

よって、HWSの09年の指針は、変化にチャレンジすることだ。今のところこの市況の中業績は伸び続けているが、変化しなければ近い将来活力を失う事は目に見えている。企業戦略も然り、各メンバーの意識も然り。去年までの仕事の焼き直しではなく、新たな領域へとチャレンジして欲しい。この市況なので、資金的には今年よりも苦しいだろう。そんな中だからこそ創意工夫が生まれ、新しいビジネスが見いだせるのだ。

(2) 組織戦

この件に関しては、多くの読者は耳タコだろう。何を今更と思うだろうが、何度でも語る。

全メンバーが「何としても自社を発展させたい。何としても自社を生き残らせたい。」と強く願う企業が破綻することはない。極論で言えば、自企業が生き残るためなら、半年でも一年でも無給、無休で前線に行く人間ばかりで構成されている企業を傾けるのは相当難しい。

上記は極論だが、全メンバーが収益にこだわり、自社の発展を目指せば市況は関係ないのだ。

しかし、それだけの事を行うためには当然思い入れが必要だ。その思い入れを各メンバーが持つためには、会社の明確なミッションが必要だ。そのミッションに誇りを持ち、成し遂げる価値を感じるからこそ、身体を張って仕事に没頭出来るのだ。

また、理想的なビジョンがあり、正しいルールが在ったとしても、メンバー達がビジネスマンとして未成熟であれば、適切な方向に自分の情熱を向けることが出来ない。未成熟な故に、成果にこだわるより仲間の批判に走ってみたり、自己の無力さを他人の責任に転嫁したりする社会人は実に多い。

情操教育と正しい文化の醸造がなければ、使命感も社内制度も何の力にもならない。

未熟な人間がよだれを流して羨望するのは、金銭や地位など即時的な訴求力のあるニンジンのみだ。

サッカーなどの団体競技を見ても分かるとおり、組織の連携は時に個人の資質を凌駕する。日本が戦後に飛躍的な発展を遂げたのも、終身雇用に代表される組織に帰属し組織に貢献する文化が地盤となっている。

個人の性能以上にレバレッジの効いた成果を、組織を形成することによって狙うことが出来るのだ。動物の世界でも、弱い者や厳しい環境に置かれた者は群れを作る。激動の時代に生き残るためには個人の手腕だけに頼ってはいけない。自分の牙は当然磨く。自分が牙を磨かなければ、組織の一翼を担おうとした時も、組織から必要とされない。

090106_c.jpg激動の時代は自らを鍛え、仲間を鍛え、強靱な組織を作るしかない。その組織しか達成できないミッションを目指し、誇りと信頼の中でビジネスに相対すればよい。

このために、HWSにおいて各メンバーに対する要求は、己の役割を定めよということ。自分が企業内で行う全ての行動は、HWSの文化にのっとり、何かしらの役割を背負うべものだ。組織内で行っているあらゆる作業に意味を付け、未来へつなげるのは自分の意志だ。自分が定めた目的意識だ。その意識した目的が自分の未来と組織の未来を創り上げるのだ。

HWSのメンバーに要求したい。意識して企業の一翼を担え。今自分が取り組んでいる業務をどのように未来につなげるか明確な意志を持て。

これを09年の指針としたい。

最後に

年明けから、大手航空会社が設備投資の予算を何千億円カットしたとか、日本最大手の金融機関が赤字に転落したとか、ニュースが流れている。

派遣切りが話題になり、大手企業から順番に守りの姿勢を明確にしている。

一方、業種にもよるがベンチャー企業には、まだそこまで暗い影が忍び寄っていない。空元気も含めて、「不況下にこそ、攻めまくる!」と意気込んでいる経営者も多い。心意気や良しだろう。ベンチャーが大手と同じように縮こまっても、元々守るべきものなどないのだ。

ではHWSのスタンスはいかに。

我々は縮こまりもしない。虚勢を張って、空元気も見せない。市況は正しく認識しよう。現実から目をそらしもしないが、現実を過大に捉えて怯えもしない。

我々は本質的に正しいことを平常心で推し進めるだけだ。

強い組織を作る。

絶えず変化に挑戦す。

どちらも、不況時も好況時も変わらずやる。変わらず平常心で取り組む。この時期に必要なのは、怯えでもなく、空元気でもなく、平常心なのだと定めビジネスに取り組んで行きたい。