会長ブログ(株式会社ヘッドウォータース代表取締役:篠田庸介)

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2009年02月24日 14:23

良性循環

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世の中には、現場の事が気になってしょうがない社長がいる。基本的に真面目な性格ゆえだろうから、仕事に飽きて業務をサボる経営者よりは良い。しかし、社員が何十人と増えて行っても、全ての業務を自分が把握し指示を出さなければ安心出来ないのなら、組織の成長は止まる。

経営者は会社全体の事象を把握しているので、通常判断材料をメンバー達より多く持っている。また、経験もメンバーに比べて豊かな場合が多いので、自己の判断とメンバー達の判断とのギャップなどに当初ストレスを感じる。もっと上手いやり方、もっと的確な選択があると思い、社員に一々指示を出したくなる。それが続くと社員も正しい判断を考えるより、社長に怒られない判断を考えるように習慣づけられる。

当然、メンバーの成長もなく、組織の成熟も実現されない。

そこまで気を配ってストレスをためて指示を出しても、実のところ成果は大して変わらない。メンバー一人一人が自分の意志で責任感を持って動いた方が、多少の間違いはあっても成果に執着するのでパフォーマンスは高くなる。

未来のメンバーの成長を考え、組織の発展を考えれば思い切って任せてしまった方が実入りは大きい。

090223_b.jpgしかしながら、細かく指示を出してしまったり、実務的なタスクを部下に渡せない経営者の気持ちも分からないではない。最終的に会社が傾き、破産するのも経営上多くの連帯保証をしている社長のみだし、これを配慮して自分を守ってくれる人間は自分しかいないと言う強迫観念に縛られる事も心理的にはあるだろう。ある意味、現実でもある。

特に現在の市況下では、社員に任せられないとばかりに成果にかかわらず、全てに口を出したい経営者の心理も分かる。ただし、口を出したから業績が上がるわけではない。厳しくなって経営者があたふたしては、上がる成果も上がらない。率先垂範して、背中を見せるのは大事だが、不安に駆られて右往左往することは区別しなければならない。


話しは少しとぶが、この間の日曜日に弊社のサテライト・オフィスに行くと09年の新卒達が10年の新卒の内定者研修について議論を交わしていた。今年の経験を踏まえて会社に入社する前の人間が、未来の自分達の後輩の育成について熱く議論を交わしている。冷静に考えると異様な光景だが、これがHWSの文化だ。

HWSの現メンバーすら知らないところで、HWSの未来の為に汗を流している仲間がいる。

先日、営業の人間がどうしてもクライアントの為に対応したい案件があり、社内でメンバー達に協力を呼びかけた所、面白い開発や楽な開発ではないが、会社の為なら何とかしましょうと言うことで、多数のメンバーが対応を志願してくれた。自分の好き嫌いや、大変さなどを横に置いて、仲間と連携する姿がHWSには普通にある。

クライアント先で弊社の関わりの無い部分でサーバーの不具合が生じた。関係ないと言えば無いのだろうが、出来ることは対応しようと言うことで、スキルマッチする社内のエンジニアに担当者が協力要請をしたところ、対象となる全メンバーから協力のリアクションがあった。最終的には自分が受け持っているプロジェクトが忙しいので、時間が空けられないはずのメンバーが夜の7時過ぎに駆けつけ、数時間で全てを解決したとの事だ。

ちなみに全メンバーは自分の業務を抱えているので、それをこなした上での協力となる。文字通り身を挺して、仲間のため、組織の為に動いているのだ。

多少手前味噌の話しに聞こえるかもしれない。しかし、不況下で組織をあげて生き残るというのはこういう事なのだろう。

見えない所で頑張っている仲間がいる。たまたま情報として知り得た件以外にも見えないところで様々な尽力があるはずだ。一つ一つのメンバーの頑張りは知りたいが、知らなかったとしても恐らく英知を尽くし、全勢力を持って各所で仲間達が戦っているだろうことは想像に難くない。これには絶対的な信頼を持てる。

これらは、全ては私を含めた役員や事業部長の指示ではない。各メンバーが組織において一番必要な事は何か、自分がどう動けばHWSとして正しいのかを考えて動いたのだ。

経営者が一々指示を出したら、こんな動きは出来ないはずだ。私が予想する以上、私が指示する以上の動きを、メンバー達が自己判断で行っている。

強い組織は、経営者が見ていないところで当たり前の様にファインプレーをする。このファインプレーは細かい指示からは生まれない。前線で身体を張って戦う各人の姿勢からしか生まれない。

これだけ機動的に、適切に動かれては現場を常に監視して口を挟む必要がなくなる。無くなった分だけ、経営者は組織の未来を創るべく動けば良い。

組織には良性循環か悪性循環か、どちらかのサイクルしかない。

経営者が不安に駆られ、カリカリとしてながら社員の行動をチェックしていては、良性循環は作られない。

090223_c.jpgメンバーを信じるから任せる。その信に応えようと頑張り、見えないところでファインプレーが生まれる。それを伝え聞き、リーダーは更に大きな裁量権をメンバーに付与する。メンバー達も仲間の見えない所の頑張りを信じ、仲間達に負けぬよう自分の成果に執着する。

見えない所の仲間の頑張りを信じられるかが、組織の熟成具合を計る一つの指針となろう。

良い組織の中には、見えない所でサボる奴はいない。見えない所の仲間の頑張りを思い描き、自分のモチベーションにする奴らがいる。

こうして良性の循環は生まれるのだ。

不況下では、組織の真の力が試される。この様に発言する経営者は多いが、言うほど簡単な話ではない。昨今になってそんな話をし始めたとしても、メンバー達は聞く耳を持たない。試されているのは、今のパフォーマンスではない。この市況になる何年も前から、どの様な組織を作り、どの様な文化を組み上げたのかが問われているのだ。試されているのは過去の歳月をどう使ったかだ。今の空元気を試されているのではない。

よく組織の文化は大きくなると薄まるという。強い目的意識や、自組織に対するロイヤリティーも規模と同時に希薄なると聞く。

HWSはこの常識に真っ向から対抗したい。本来、組織の文化は規模が大きくなればなるほど、強く深くなる。仲間達の見えない頑張りを信じるなら巨大組織の方が、より自分のモチベーションは高まるはずだ。多くの仲間の期待を感じ、多くの仲間との連携を志向するなら、一人一人のモチベーションや動きの質は規模が大きくなるほどに高まるはずだ。

今ある良性のサイクルは、規模が大きくなるほどに拍車がかかり、強い力をうむはずなのだ。

多くの方が、無理だと否定する未来に挑みたい。HWSの課題は組織が大きくなったときに今の体質を維持できるかだという提言をよく頂く。極めて常識的で真っ当なアドバイスだ。組織を研究し、組織をよく研究し、作り続けてきた私も当然この事は理解している。その上で世界中の組織が実現できない非常識な良性循環をHWSにおいて実現したいのだ。