会長ブログ(株式会社ヘッドウォータース代表取締役:篠田庸介)

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2009年03月30日 17:37

明後日から社会人となる方々へ

photo
以前から書いているが、弊社では内定者に2010年新卒用の採用HPを作らせている。内定者を四チームに分け、四種類のHPを作成した。会社説明会参加者からの評価を集計し、一番得票の多いチームが勝者となる。

その結果、勝利したのはチーム「Pole to win」であった。

http://www.headwaters.co.jp/2010/poletowin/index.html

HWSでは勝者のみ、海外での研修が待っている。残りの3チームは国内での研修となる。二位のチームとは4票差だった。どこかであと少し頑張れば埋められた数字だったろうが、結果として4票の違いで大きな成果の違いが生まれた。

この研修において内定者達は多くを学んだ事だろう。技術的な補完もしたが、それ以上に教えたかったのはビジネスのあり方だ。

photoどんな分野においてもマーケットの規模は限界がある。新しく確立された分野では、初期段階では切り取り放題だが、いずれ飽和を迎える。マーケット規模は常に有限だ。

よって、勝ち負けは必ず生まれる。業界的に言っても様々なコンペがあるが、案件を奪取できるのは一社だけだ。僅差の二位は労力だけはかかるが何の収益も生まない。かと言ってコンペに参加しなければ、仕事が生まれる確率は0%だ。徒労も覚悟で行くしかない。

1票差だろうが4票差だろうが負けは負けだ。良いところまで頑張ったでは許されず、僅差でも勝つことが必要だ。そのルールを社会に出る前に身をもって教えておければと思い、今回の研修を作り上げた。頑張ったとか、良い事を言ったとかは自己満足だ。その主張の正しさを証明するのは成果だけだ。それ以外は主張をしても負け犬の遠吠えとなるだけだ。それがプロの世界の鉄則だ。

成果が全てであるという単純な心理を受け入れられない社会人は大多数ではないだろうか。技能とか、キャリアとかの前に基本的なスタンスがアマチュア過ぎる社会人の何と多いことか。プロ意識が社会のスタンダードであれば、派遣切りの話しもここまで話題にはならないだろうし、大手企業が倒産した時も従業員は被害者の様なコメントをしないだろう。プロなのだから、チームの敗北は自己の責任であると感じなければ駄目だ。

photoプロとして成果を出せないから、倒産するのだ。成果が出ないから雇用を守れないのだ。成果を出すのは、会社という箱ではない。会社を象る全メンバーの総力だ。その総力で敗北した時に、言い訳は必要ない。結果が全てだと知り、次の戦いに臨めば良い。敗北は恒久的なものではない。人生の戦いにおいて、心が折れなければ何度でも再戦は可能だ。再戦の後に勝利を掴めば良い。

昨日、10ヶ月に及ぶ内定者研修の打ち上げがあった。コンペの結果も発表された。勝利したチームは美酒に酔い、負けたチームは沈んだ。私は負けたチームの傷口にあえて塩を塗ってまわった。その痛みを彼らが忘れず、ビジネス界の正道を歩んでくれれば良い。言い訳は無視し、来年への臥薪嘗胆の決意だけは聞いた。

明後日から彼らのビジネスパーソンとしての一歩が始まる。否応なく、ビジネス界のルールへ身を浸さなければならない。HWSに来たからには他社の新卒と同等の成長で許すわけにはいかない。HWSはエンジニアの革新を体現する存在だ。彼らは、そのランドマークたる責務を背負いHWSに入社した。他社と同じエンジニアで終わっては、HWSに来た意味がない。成長させる為に近道はない。より大きな重責を新卒の時から背負わせ、ハードワークに追い込むしか育てる手はないのだ。

彼らも覚悟は出来ているようだ。覚悟があれば、人間は相当の事に耐えられる。今は未熟で無能だが、ギリギリの線を何度もくぐり抜ければ、いずれタフでしたたかなビジネスパーソンとなる。その時に対等の視点で、彼らと語り合えたらと心から願う。今回の研修の事も良い思い出話となり、我々の原点となれば何よりである。

2009年03月27日 17:35

不況(!?)を乗りきる奥義

以前にも書いたが、二月末の段階で社内に待機しているSEはゼロ人のHWS。業界的には厳しい市況という話しだが、社内にいると各所から前向きな報告ばかり。実際、クライアントからプロジェクト参画の延長依頼が来たり、四月から始まるプロジェクトの増員要請が来たりと人員が足りない状況だ。

あまりやっかまれても嫌なので、一応世間では「いやー、厳し目ですねぇ・・・」と言ってはいる。かと言って嘘もつけないので、現状については本当の事を話す。まあ、一年前に比べれば、選べる開発案件の数は減ったが、仕事が無いという状態ではない。

ポロリポロリと現状の話しをすると、「どうやって案件をとっているんですか?」「社長のコネですか?」「値段を下げているんですか?」と色々聞かれる。一々答えるのも面倒なので、本日は不況下でも仕事が取れる奥義を業界の皆様に公開したい。
(注)奥義??が期待はずれだったときに私へのクレームはご遠慮下さい。

ぶっちゃけ、コネとかお付き合いの延長とかで私が開発をとることはほとんど無い。HWSにおいては、営業は全てエンジニア達が行う。営業社員もほとんどいない。間接部門のコストもかからず、仕事も他社よりもとれるので効率的な体制ではある。

こう言っては何だが、パフォーマンスに自信があるので、料金も下げない。大体開発現場では他の同業者と比べても一番高めの料金設定だ。料金を下げずとも、メンバーのパフォーマンスや印象が良いので、仕事の依頼がある。

さて、それでは奥義の話しに入る。

先ほど、木村事業部長と何気なく会話をしていた。酒に飲まれると自分を見失う事で有名な事業部長だ。比較的無邪気に自分を見失うので、それほど有害ではない。酒を飲むと有害な事業部長は他に一名いる・・・。(とく○け事業部長)

笠原&野口木村事業部には、先日結婚したばかりの笠原というメンバーがいる。「ラーメン、ツケメン、僕笠原でーすっ!」と言うお寒い自己紹介で一斉を風靡した男だ。それ以来社内では誰も笠原と呼ばず、「おーい、ツケメン」と声をかけられている。恐らく本名を知る人は少ないだろう。先日結婚式に出席させてもらったが、笠原一族は全て同じノリだったので、「血筋か・・・」と合点がいった。

それはさておき、三月で終了のはずの彼の参画案件が延長になったという報告を受けた。

話しを聞いてみると、案件自体は終了したが、コストはかけてでも笠原には現場に留まってもらって、次のプロジェクトにも参画して欲しいという要請らしい。このご時世にありがたい話しだ。

いったい笠原のどこが、そこまでクライアント様にインパクを与えたのだろう。

高い技術力か?高度なプレゼンスキルか?またはマネージメントスキルか?寒いギャグか?

その開発現場に入ってまだ一ヶ月程度だ。積年の人間関係でつないだのでもない。彼が現場に残れた要員は、どうやら「挨拶の声が大きい」と言うことらしい。もう一つは「勤怠が良い」と言うことが決め手らしい。笠原からしてみれば当たり前の行為のはずだ。

確かに本社にいる時も大体私よりも早く出社していた。私も始業の一時間前には会社に来るが、毎日それより前には出社していた。勤怠の良さ間違いの無いところだ。

当たり前と言えば、当たり前の事ばかりだ。勤怠が良いのが本来偉いわけではない。普通だ。挨拶の声が大きいのも、現場の雰囲気などを慮れば当然だ。ところが、これが突出している事によって、仕事がこの時期でも来てしまうのだ。

実は奥義はない。あえて言うなら挨拶と勤怠か。

メンバー達のモチベーションやビジネスに当たるスタンスによって、仕事が次々に舞い込んで来ているのだ。

不況だ不況だと世間は言うが、SI業界に限れば、それは嘘だ。まあ象徴的な話ではあるが、大きな声で挨拶して仕事が途切れず取れる現実がある。当然、技術力や業務知識が最低限ないと駄目だ。しかし、技術力に一定の自信があっても仕事が取れないエンジニアが巷には溢れている。その技術力はノルマであって、他者と自己を区別化する決定打にはなっていない。

今が厳しいと言うよりも、今までが甘すぎたのだ。挨拶もろくに出来ない三流社会人でも仕事が取れたことが間違いだ。勤怠が悪い、出来損ないの社会人でも仕事があったこと自体が間違っている。

社会人として自活能力が無い出来損ないのエンジニア達を、目先の利益の為にチヤホヤしたつけを各企業は払っているだけなのだ。

大きな声と勤怠で仕事が取れる業界を不況と呼んだら罰が当たる。優秀な企業が勝ち残るのではない。基準にも満たない未熟な企業が勝手に落ちていくだけだ。真の優秀さが問われる厳しい時代はこれから来る。現状で不況を感じている企業が生き残れる未来はない。もし、現状で厳しいなら、外部要因は考えず自社のエンジニア達を死ぬ気で教育し直さなければ駄目だ。

経営は常に時限的だ。勤怠も挨拶も身だしなみもビジネスマンとして十分なレベルに社内のエンジニア達を仕上げるのが先かキャッシュアウトが先か、各企業は時間との戦いになる。この平均レベルに達しないメンバーを抱えて次世代も生き残ろうと思う事が、そもそも甘すぎるのだ。

先ずは自社のメンバーを本気で締め上げ、鍛え直す事をお勧めする。甘さを払拭し、生命力を与えるべきだ。これは大人の義務だ。大人か子供かは、年齢の多寡の問題ではない。ビジネスパーソンとして成熟出来ていなければ、何歳でも子供だ。この子供を大人へ教育し、未来を作る義務が雇用した企業にはあるはずだ。

繰り返す。業界は不況ではない。ファインプレーを繰り返さないと生き残れない状況ではない。マイナスをゼロにするだけで、次々に仕事が舞い込む甘い環境だ。これをベースに自社を顧みることだ。

現場のメンバー達は大変な思いをして、仕事を取り開発をこなしているが、これは不況だからではない。価値のあるビジネスとはそもそもがそう言うものだ。

日本のIT業界を底上げするには良い時代が来た。今まで許されていたビジネスパーソンとしの甘さを日本中のエンジニア達が自覚するには最高の時代となった。アジア各国でも優秀なエンジニア達が育っている。ハイテク立国としての日本をIT方面から支える使命がSE達にはある。そこそこの努力で身につけた業務経験と技術力にあぐらをかかず、ビジネスパーソンとして将来を生き抜き、自らの使命を果たすべく成長を目指すのだ。

その成長の為の最後のチャンスが今の市況だと知り、根底から自らを造り直す覚悟をSE達には持って欲しい。

エンジニア達よ、同業のビジネスパーソン諸兄よ。この時代から本物とは何かを学び、共に未来の繁栄を目指そうではないか。

2009年03月25日 11:43

結束の時

会社説明会
WBCは最後まで盛り上がり、楽しませてもらった。決勝は両国とも持てる全てをぶつけ合い、最後まで緩みのない好ゲームだった。野球人気に再度火が付きそうだ。

試合後の選手達の会見を見ていて気がついた事がある。プロ中のプロである代表選手達が語るのは、全て心理の事ばかりだ。技術的な事や戦略について語る人間はいない。プレッシャーにどう耐えたか、緊張を余儀なくされる場面で、どうやって結果につなげたかなどの内面的な話しに終始している。また、仲間達の信頼や期待など、人の精神や心理についての回答がほとんどだった。

経済の動きも心理と連動する。日本のGDPが500兆円超に対して、日本人の総貯蓄額は1400兆円にものぼる。この内、100兆円でも国民が消費すれば日本経済は普通に二桁成長を、この局面でも実現出来る。

日本にはまだ成長し続ける余力はある。それを阻んでいるのは人間の心理だ。

不況と言われる現在、各企業に問われているのも、この心理の様に思う。業績やビジネスモデルは、いくら現場を鼓舞したところで一朝一夕に変わるものではない。世界的な経済の流れ、外部要因は一企業が変えられるものでもない。制御できるのは企業内の心理くらいだ。

危機下では、多くの人は不安にさらされる。イチローほどの人間でも、追い詰められれば心が折れそうになる。あれだけの重責を常に背負い、努力を続けた人でも場面によっては心が折れそうになるのだ。ましてや普通に生きてきた普通の社会人は、普通に不安な心理よって自分の行動や人生すら流されていく。

業績が良ければ仲が良かったチームも、業績の悪化に伴い瓦解する。組織に不安が蔓延し、不安がヒステリックな感情を生み、正常だった頃の人間関係を壊す。意識して克己しなければ、この不安な心理に呑まれてしまう。

今こそ問われているのはチームの結束だ。

組織は本来危機に立ち向かうためにある。個の力では乗りきれない危機に立ち向かうためにある。好況時の成長には、組織力よりも一時的な勢いや、蛮勇が力を発揮する。しかしながら、危機は勇気やノリで乗りきることは出来ない。

仲間への信頼や、それまでの時間で熟成させた組織の文化、組織への愛着などが結束を生む。その結束によって、個の力を越えた組織力を生み危機に立ち向かう力を得るのだ。

個が不安にさらされている今だからこそ、多くのビジネスマンへの提言がある。

今こそ、個を捨てよ。個の不安を無視せよ。チームに貢献し、仲間に貢献せよ。全メンバーが、このスタンスで動くならば、そのチームが敗北することはない。瓦解することもない。次の希望の時期に向かって最高のスタートが切れよう。

日本のビジネスフィールドで活躍する多くの同胞に言いたい。

この時期に転職活動などしている場合ではない。今いる組織を何としても勝たせるのだ。多くのベンチャー企業の中軸を担っている方々にも言いたい。ネズミがタイタニックから逃げるがごとく自社から撤退している場合ではない。退路を用意して、薄っぺらい仕事をしている場合ではない。今こそビジネスパーソンの意地を見せ、火事場に踏みとどまり仲間を助けよ。組織を助けよ。

そこまでしても、社長が不抜けている、社長の能力に問題があるなら、社長を切れ。企業にとって大事なのは社長ではない。その企業のミッションと、仲間達の未来だ。その覚悟を持って、自企業に留まり結束し、危機を乗り切るのだ。

これが出来なければ、ビジネスマンとして一線を越えることは出来ない。リーダーとして一線を越えた人間になることは出来ないよ。

秀吉も調略や媚びだけに頼って出世した訳でもあるまい。金ヶ崎の撤退戦において、命をかけてしんがりを志願し九死に一生を得た事によって、信長の信頼も仲間からの信頼も得たのだろう。金ヶ崎の話しは象徴的だが、秀吉は自分の命を種銭にして成果を積みあげ続けたはずだ。苦しい時に逃げず、重責を背負い、組織に貢献した時間があり、初めて彼は天下人となれたのだ。

繰り返し言う。優良な組織と、烏合の衆の違いはこの時期の心理によって決まる。また、多くのビジネスマンの度量と組織人としての成熟も、この時期の心理によって作られる。

苦境の時こそ結束せよ。逃げ道を断て。克己せよ。組織の勝利を最優先させよ。

苦しい時に組織を見捨ててさまよう者に、ビジネスパーソンとしての未来はない。リーダーとして、必要な人格を得ることもない。

HWSでは、現状主要人物の脱落者は皆無だ。業績が悪くないのも全メンバーが退路など考えていないからだ。退路が無いから自企業を勝たせる事に没頭できるのだ。全員の力を集結できるから不況下で成果が生まれ、その成果が更に全員に組織への希望と信頼を与える。良性循環へと入るのだ。

個の性能を誇るのは三流の証しだ。WBCでチームが負けても個人の成績が良かったからと主張する場が読めない馬鹿が一人でもいただろうか。彼らはプロ意識をもった集団だ。個の技能には誇りを持っているだろうが、その個の技能を使って組織を勝たせる事が自分の価値だと理解しているのだ。だから、筋違いの発言はしない。

三月から決算の締まる六月くらいにかけて倒産する企業も増えるはずだ。倒産しないまでも、苦況に立つ会社は多くあるはずだ。その中で二つの姿へと各企業は分かれていくだろう。

組織への愛着もなく、各々の自己保身の為に空中分解していく企業。苦境こそ結束と知り、強固な組織力を醸造する企業。

我々はミッション達成の為にも後者の道をひた走っていきたい。

2009年03月23日 09:49

敬虔たる仏教の国へ(2)


ミャンマーから帰国した。国情もあるし、パートナーとの関係もあるので、この項は書ける範囲の内容にととどめたい。また、多分に私の主観が混じることを予めご了承頂きたい。

蓮の実の露天商ミャンマーにて、JETROの方とお話させて頂いたところ、現在ミャンマーに進出している日系企業は約50社。その内、日本人が常駐している企業が30社ほどだという。サイクロンや暴動などもあり、多くの日系企業は撤退した。これはミャンマーの市場やパートナーとしての可能性とはまったく関係がない。最悪の場合に誰かが責任を取らなければならないので、事なかれ主義のサラリーマン達の判断では、撤退とならざるを得ないということだ。

我々のフィールドであるITに関して言えば、インフラの整備は致命的に遅れている。停電も頻繁に起こるし、ネットの通信速度もあまり速くない。

しかし、これらの問題は現在発展している中国でもベトナムでも近年まで整備されていなかったはずだ。外国の企業が進出し、国際的な援助があれば、ある程度までは自然と整備される。現状での作業を考えると致命的だが、ビジネスという観点から見ればさほど問題ではない。

私がその国の民度を計る時には、道徳心を見る。車は規則にのっとり整然と走っているか。道路はきれいか。割り込みをするなどルール違反を平気で行う文化かどうか。これらが表す民度の高さがなければ、作業の品質は一定以上に上がらない。日本が求めるレベルの作業力を提供できない。

その意味では、アジア諸国は総じて基準に満たない。リソースとして期待するにはかなりの教育と管理が必要だ。シンガポールなどは良いが、その分経済は強く、コストも高いので当然オフショア開発の拠点にはならない。ミャンマーはと言うと、予想外にクリーンで整然としている。クラクションを鳴らしながら、無理な運転を行うドライバーもあまり見受けられないし、街も比較的きれいだ。川の様に流れる無秩序なバイクの群もない。

接した若者達は、総じて控えめで遠慮深い印象を受ける。当然、若者らしいバイタリティはあるし、向上心も高いのでエネルギー値が低いのではない。そのバイタリティを内包しつつ、普段は極めておとなしい印象を受ける。控えめなスタイルが美徳される文化があるのかもしれない。陳腐な言い回しになってしまうが、「昔の日本」はこんな感じだったのではと思ってしまう。


各所でヒアリングをすると、結構親日だという。日本語も人気があり、大学の外国語学部でも日本語学科はかなりの人気らしい。日本語を勉強しているエンジニアに、日本に来たら行きたいところはあるかと聞いたところ、「鎌倉」だという。この辺りは仏教国らしい。

結論で言えば、人材の質としては高い可能性を感じる。それは個別の話ではなく、国民性としてだ。現状は外資が撤退しているので、優秀な人材は採り放題だ。どこの国でも上澄みの3%程度を採用できるなら極めて優秀だ。今のミャンマーなら、その層の採用が可能だろう。

訪問させて頂いたパートナー企業には現在100名を超えるミャンマー人社員がいる。皆、大学を卒業して間もないので、当然業務経歴は浅い。経験値とスキルレベルはそれなりだが、地頭の良さは相当なものだ。その地域で最も優秀な層を採用しているし、高い向上心を皆が有している。

ほぼ全員のメンバーが日本語検定3級以上を一年以内に取得する。二年あれば、日本語検定2級以上に合格する。実際メンバーの中で1/4は日本語検定2級以上だ。数名のメンバーとお昼を一緒に食べたが、日本語でのコミュニケーションには全く問題がない。ちなみに英語の発音もきれいで日本人にも聞き取りやすい。

また、12名ほどのメンバーに自分をアピールするプレゼンテーションをしてもらった。スキルレベルや経歴、未来像などを語っていた。その為に必要な努力も覚悟しているようだ。たいていのメンバーは日本語スキルと英語のスキルはビジネスレベルまで上げる意欲だ。当然、技術方面の意欲も極めて高い。国の現状からか基盤系の技術が思ったよりも人気だ。今後に需要が多いと読んでいるのだろう。

パートナー企業の教育もあるのだろうが、自然な発言として「恩返し」的な話もする。国に対する恩返し、親に対しての恩返し、日本に対する恩返しなどを普通に語っていた。日本のエンジニアで、自企業に対する報恩を本気で考える者がどれだけいるだろうか。国に対して恩義を意識する者がどれだけいるだろうか。たとえ最初はアピールだったとしても、行動と発言を繰り返していけば、いずれ本物になる。

海外との連携は初期段階では特に「思い入れ」が必要だ。そうそう上手く行く事ばかりではない。損得で考えれば撤退すべきだと判断する場面を何度もむかえる。その中でビジネスに執着し続ける為には良くも悪くも「思い入れ」必要なのだ。恩義や感謝、信頼や友情などの、思い入れがあり執着心が生まれる。執着心が工夫を生み、成長を生む。その過程を経て初めて競争力のあるビジネスが仕上がるのだ。

この意味でもミャンマーは非常に面白い。

これ以上書くと長いので、結論。

ミャンマーの人的資源は、極めて高いポテンシャルがある。繰り返すが個々のポテンシャルの話ではなく、国民性、国家としての可能性があるという事だ。日本の強さを輸出し、教育するというHWSのアジア戦略上、強いアライアンスが期待できる。現状のパフォーマンスというよりも、時間をかけて育てる事に魅力を感じる。

ただし、ミャンマーという国自体が、ビジネスを展開するフィールドになるためには時間がかかる。現在の軍政がスムーズに民政へと移行できるかがカギだ。

軍政への制裁として人道支援意外のODAは欧米および日本からは入らない。当然、外資が進出するにも様々な規制がかかる。インターナショナルバンクも無いので、送金も換金も出来ない。現状では、ミャンマー国内での大規模なビジネス展開は極めて難しい。

民政へとスムーズに移行されれば、一気にODAが流れ込み、外資の進出も増える。内需も拡大し市場として価値も出る。当然、リソースとしても使いやすさが格段に上がる。優秀なミャンマー人は多くの経験を積み、国家的な自力も順次上がるだろう。

2010年に国民総選挙があるという。これによって、理屈の上では民主化される。これをターニングポイントにミャンマー経済が一気に上昇する可能性は十分にある。その時に地場に根付いていた企業は、熟した果実を摘み取れるかもしれない。

現地では軍政に対しての批判は案外少ない。特に知的階層は、軍政の意義も理解しているように感じる。ミャンマーの国家的な憂慮はスー・チーさんの問題ではない。ミャンマーには7管と7州がある。7管とはビルマ人の直轄地域である。7州は少数民族がそれぞれ運営する地域だ。ミャンマーの最大の問題は、この7州をどう統治するかにある。未だに、地域によっては紛争が続いている。この状態を一つの箍にはめて、国家として成立させる為には、現実的な手段として軍政しかないだろうという結論だ。もっとも、管区にいた私はビルマ側の主張を強く感じるだけなので、少数民族側の地域には「独立」や「民主化」への強い意志があるのだろう。政治の問題なので、これ以上のコメントは避ける。

当事者でない私は良いも悪いも言えない。ただ事業家として、この状態の中に未来があるかどうかを判断し、必要なら動くのみだ。

前述したが、全ての物事は良い悪いで明確に分けることは出来ない。ミャンマーが良いか悪いかという議論もナンセンスだ。現状を理解し、事業家の感性に従い、必要なら動くだけだ。良い面も悪い面もある。それらの要素に自分達が投入できる「自力」を加えてビジネスを構想する。構想した結果、そこにロマンがあれば進む。HWSのビジョンに通ずる道があれば進む。ベトナムへの進出を決めるにも二年の時間を要した。中国との合弁企業を立ち上げるにも二年の時間を要した。感情や反射だけで事業を動かすことは無い。感情や意欲が正しく熟成するのを待つのだ。熟成の後に、決意の一歩があるかもしれない。結末は、神のみぞ知るところだ。

2009年03月20日 16:05

芸術品の様に

社員総会
ミャンマーから帰国して、年度末の山積した決裁に忙殺されている。週末に突入して、やっとブログを書く時間が取れた。

HWSの年度末は内部の動きが激しい。全メンバーは来期に所属する事業部を決めなければならないので、希望先の事業部長とのミーティングを必要となるし、各チームが抱えるプロジェクトも佳境をむかえる。新卒の採用も大詰めだし、今月は中途の新入社員も三名ほどいる。

事業部長はメンバーの査定も行うし、来期の予算立ても必要となる。当然、最優先は現場の実務となる。またHWSの制度も毎年ブラッシュアップを続けているので、それらもこの時期に話し合われている。ベトナムの方もスタートしたばかりなので、チェックが必要だ。

幸い業績は悪くないので、助かっている。また、事業部長の成長も著しく、経営的な観点に立ち事業部の運営に当たっている。管理部門の責任者も相当優秀なので、昔なら私が自ら資料を作って分析に当たっていた経営情報を自己判断でまとめてくれる。私はその資料を目の前に置き、必要な決裁をしていけばよい。私一人では、無理なパフォーマンスが組織力によって実現されている。

企業経営とは一種の芸術の様なものだ。音楽家は自分の感情の吐露を譜面にぶつけるだろうし、絵描きなら表現したい自己の内面をキャンバスに表す。事業家は、組織のあり方、事業のあり方にその信念と哲学を込める。その完成には膨大な時間を要するので、気分的にはガウディの様な感じか。

私も含めた組織の全メンバーの努力を結集させ、他社の追随を一切許さないレベルの作品を創り上げるのだ。私にとっての企業経営は、金太郎飴のごとき工業製品ではなく、唯一無二の芸術品なのだ。

現在、極力決裁は私がしない仕組みを志向している。私が介在せずに、組織の文化にのっとり、現場で判断がされるような状態にしたい。内部統制やセキュリティーの問題あるので、当分は私の目の前をあらゆる決裁が通るだろうが、判断は極力私が行う前に済まされ、最終的なチェックを私が行う流れがいいだろう。

この方針で、社内に文化を波及させた結果、他社ではタスクオーバーになりそうな多くの要件が、全体に吸収され粛々と処理されている。

HWSという奇跡の芸術作品が、何十年という歳月を経て出来上がっていく為に、必要なステップを踏んでいる実感がある。

企業の競争力の根源は区別化だ。芸術品として自組織を作りこんでいく道は、企業の繁栄と安定の道ともなる。現在の市況の中で、ダイナミックに動くメンバー達の逞しい姿を目にする度に、HWSの独自性を感じる。

世間に出ると「いやー、やっぱり厳しいですか?」と言う切り口で会話が始まる。お互いにどれだけ苦しいかを確認し、安心しあう作業となる。市況の変化は感じるが、先日の事業部ごとの報告会でも、四月から始まる新規のプロジェクトに何人必要だという前向きな話が多かった。正直、現在でも人数が足りない。よって、四月移行もHWSに合致する人員は採用し続ける予定だ。油断をすれば一瞬で業績が下がるのはベンチャーの常だが、現状で言えば不況感はない。事業部の報告会もほとんど笑いに溢れている。

この状況を作っているのは、HWSの芸術性だ。言い換えればHWSの独自性だ。更に言えば、その風土を作り続けて来た全メンバーの誇りと努力によって、現状の強さは成立しているのだ。

ミャンマーから帰って、全事業部長が集まる経営会議もあり、月一の報告会や社員総会もあった。全てが建設的で、笑いと活気に溢れていた。なかなか脳天気なメンバーが集まっている。採用担当の萱沼取締役が日本最高峰の脳天気男なので、いたし方あるまい。

今年もよい年度末がむかえられそうだ。組織の全勢力をあげ、来期は更なる攻撃に出よう。

2009年03月11日 21:53

敬虔たる仏教の国へ

現在はミャンマーに向かう飛行機の中でこの項を書いている。暴動やサイクロンを乗り越えて、ミャンマーから撤退しなかった数少ない企業の一社に招待されての渡航となる。招待して頂いたのは、歴史も規模もある同業者なので、日本でも勉強させてもらっている。ミャンマーだけに関わらず、総合的にパートナーシップを組めればと幸いである。

中国、インド、ベトナムとビジネスを展開してきたので、相対的に自社のリソースの価値をはかるためにもミャンマーは見ておきたい。現況では当然ながらベトナムよりもコストは安い。ただし、業務経験の豊富なエンジニアはベトナム以上に少ないだろう。

民族性、カントリーリスク、インフラなど見なければならないことは多い。見るというよりは感じなければならない。事業において必要な要素に「思い入れ」がある。これを持てるかどうかは、理屈だけではなく感じなければ駄目だ。

他国とのパートナーシップを考えるときに、その国が良いか悪いかを述べるのはナンセンスだ。中国よりもベトナムが良いとか悪いとか、インドの方が良いとか悪いとか言うことを論じる意味が無い。それぞれ良さも悪さもある。絶対的に優れている国があれば、世界中から注目が集まりコストが上がる。先進国と同じ水準となる。性能や信頼が上がると同時にコストメリットは消え去る。

性能が上がればコストは上がる。連携が難しければコストは低いが、その他のロスやリスクが生じる。これは国内でパートナーシップを組む上でも同じだ。一定の期間は素晴らしい性能と高いパフォーマンスが共存するが、それも時限的な話だ。

ビジネスは常に競争と、需要と供給のバランスの中に存在している。仮に良い国民性の国があったとしても、そのリソースを他社も使えるのであれば、自社の競争優位とはならない。その国の存在によっての価値は生み出されない。

ただし、ミャンマーの様な国でビジネスの展開を狙うなら先行者としての利得を狙うことは可能だろう。ベトナムや中国では、今更このポジションは取れない。

国民性やコストの安さを狙って海外に出ても、それをテコに成果を生み出すのは容易くない。長い年月をかけて、新しい組織、新しいビジネスを作りこむ覚悟がいる。繰り返しになるが、国民性や人件費の安さはコンペティターにも同様に降り注ぐ。労力をかけて時間をかけて他者が真似出来ない何かを作らねばビジネスとはならない。

国民性やコスト水準も含めた国情は、あくまでも材料に過ぎない。良い材料を目の前にして、喜んでいるだけではプロの料理人は務まらない。その素材をどう仕上げるかに各人、各企業の「腕」が問われるのだ。その腕に自信が無ければ、海外に出ても他社から抜きん出ることは無理だ。中国に行こうがベトナムに行こうが同じだ。日本にいても同じだろう。

自分の腕に自負心を持ち、その腕を試しに海外には行くべきだ。その心意気のないまま、美味しそうな話に踊らされても、確実に期待はずれとなる。ベトナムは国民性が良いとか、中国はコストが安いとか、ある意味どうでも良い。それはそれで材料ではあるが、自社に競争力はもたらさない。その素材に思いを込め、情熱を傾け、手腕にものを言わせ競争力のあるビジネスへと作りこまなければならない。

ミャンマー人はベトナム以上に、気質的には日本人に合うと聞く。私自身、どの国の国民が優秀かどうかという話はあてにしていない。どの国に言っても人口の上位5%とかは優秀だろう。発展途上の国家であれば、その階層を確保できるので、結果的に「優秀な人材がいるね」とはなる。それは国の問題ではなくて、どの階層を見ているかの問題だ。

優秀かどうかは話す意味が無いが、国民性は国によってまったく違うと考えている。日本の強さの根源も国民性だと思うし、ベトナムと中国でも雰囲気の違いはある。しかし、それは優劣の違いではない、種類の違いだ。優劣は、その国民性をテコにして作り上げた競争力によって生じるのだ。言い換えれば、素材の料理の仕方によって生まれる。

今回は短い期間ではあるが、私のビジネスマンとしての感性を総動員して、ミャンマーの素材として価値を感じてくるつもりだ。HWSの海外戦略を進める戦略的な拠点になりうるのか、我々が料理をする意義があるのかを感じて来るつもりだ。また、ベトナムを中心とした、東南アジアの戦略的なブランチとして連携する未来があるかを見定めようと思う。

インドとの連携も、中国との合弁企業も、ベトナムの関連会社も一つの縁によって結ばれ始まった。縁があれは、ミャンマーともビジネスが開けるだろう。

何よりも、現在のHWSのメンバー達が、いずれ普通に全世界をパートナーとしてもマーケットとしても使えるように、未来へつながる道を作れれば幸いである。我々は、日本中のエンジニア達が他国のエンジニアと互角以上に連携をし、生き抜けるような未来を模索し、その指標となるべく自社およびメンバーを創り上げていくつもりだ。

ミャンマーの所感は帰国後に詳しく書く。請うご期待。

2009年03月09日 09:28

希望は内から訪れる


寒さもやわらぎ、春らしい日も増えてきた。今期に仕込んで来た事も多くあるし、来期には新しいメンバーも続々と入社するので、来期を迎えるのが楽しみだ。四月には新卒も入社する。2010年に入社予定の内定者も8名程度決まったので、四月初頭には必要な人数がそろうだろう。

現在、2010年入社の内定者をどの様に育てるかの方針と具体案が社内にて話し合われている。ベースとなる案は2009年に入社する新人達が作成している。自分達の体験を基に、適切なスタートダッシュが切れるように案を煮詰めている。内容を聞いてみると、相当ハードだ。2010年の新卒者は今一度HWSを選ぶ前に考え直した方が良いかも知れない。

来期の事を考えると自然とワクワクする。

今期の最大の収穫は現メンバーの成長だ。言い換えれば、組織の成熟だ。明らかに組織全体がに一つ上のステージへと上っている。

事業部長クラスの危機管理の意識もあがった。営業的な動きも一年前に比べるとはるかに早い。また、自チームの収益が落ち込めば、自ら現場に身を投じて収益を確保する動きも始動が早い。リスクに対しての感覚が鋭いのは、事業を統括するなら必須の能力だ。

メンバー達の発言や動きも、第一に組織の勝利を考えてのものが増えている。組織を勝たせることによって、自分の未来を作るというビジネスパーソンとしての基本が身についてきた証拠だ。時期リーダーを期待できるメンバーも各所に現れ始めた。

市況の悪さによって組織はかなり鍛えられた。利益や売り上げという明確な経営指標以上に、実感としては大きな財産を得た。エンジニアがベースであるはずのメンバー達の営業スキルも上がった。チームの壁を超えた連携も多く見られるようになった。先ずは、HWSの勝利のために最善の道を歩もうとほとんどのメンバーが思っている事が、行動を見れば分かる。

これでワクワクせずにいられるだろうか。これで、会社が伸びなければウソだ。

今期はもくろんでいた最大の利益までは達成できなかったが、財務的にクリアしたかったレベルの利益は十分出せた。これで、来期に入る上での憂いはほとんどない。

来期の市況を読んで憂いが無いと言っているのではない。日本の市況がどうなるかは、学者でも政治家でも官僚でも読むことは不可能だ。大企業の経営者が何十人ものアナリストを抱えて分析させても、読むことは出来ない。当然、一ベンチャー企業の社長である私が読むことは出来ない。読む必要もない。

どの様な市況になろうと、この組織であれば生き残れるという確信がある。これが、憂いの無いという理由だ。財務的には元々筋肉質だ。虚栄に使うコストも、誰かに媚びる為に使うコストも一切ない。常に質実剛健を是としている。管理部門の能力も某監査法人に所属している会計士からのお墨付きだ。

一年以上前からの繰り返しになって恐縮だが、我々は外にいる敵を恐れない。市況も、コンペティター大した問題ではない。我々が恐れなければならないのは、常に自らの腐敗だ。自らが内から崩れなければ、組織に終焉は訪れない。

読者の皆さんはもう一度、自分と自社を省みて欲しい。下記の項目が基本として押さえられていなければ、あなたも組織も腐敗への道を進んでいるはずだ。

(1)あなたの会社は社会に必要か

先ず、根本的な問題として、自社は社会に必要なのかを考えて欲しい。その会社は本当に社会に必要なのか。他の企業では代用が効かない何かを持っているのか。または目指しているのか。本質的に存在する必要性が無いのなら、消えても誰も困るまい。従業員も他社へ再就職をすればよいし、他で代用が効くならクライアントも困らないだろう。存在意義が明確に謳えない企業では、経営者もメンバーも粘りが出ない。存在儀意は自分達の生活や豊かさでは、ユーザーや外部のステークスホルダーの気持ちも動くまい。存続を目的としたあらゆる組織は腐敗する。組織は常に成し遂げるべき何かを持たねばならない。奇麗事やエクスキューズを抜きに自社の存在価値を考えて欲しい。それが無ければ、会社を売るなり、たたむなりするのも一つの選択だろう。

(2)あなたがその会社にいる理由は何か

会社に明確な存在価値があったとしても、自分がその会社にいる意味が無ければエネルギーは沸いてこないはずだ。他社でもいいけど、流れで今の会社にいるだけの状態で、本気になれるのかと聞きたい。HWSでは、そんな人間はいらない。存在を許さない。自分がこの組織にいる意味は何なのか、自分がこの組織に貢献できることは何なのか、この組織に貢献する強い意欲あるのかを問いたい。これが無い中で無為の時間を過ごしても、人生を浪費するだけだ。自分の精神も能力も腐るだけだ。

(3)あなたは組織の勝利を第一義としてしているか

社会に必要な企業であり、自分がその企業にいる意味も実感しているなら、先ずは自組織を勝たせることを第一義にすべきだ。頑張る必要がないことをやれとは言わない。頑張る必要がない会社を第一義に考えろとも言わない。しかし、今の会社が社会に必要だと言う思い入れがあり、そこに自分が存在する理由が明確にあなら、何としてもその組織を勝たせようとしなければ、そもそも理屈に合わないではないか。また、上級のビジネスパーソンになればなるほど、求められる能力は作業力ではなく、総合的に組織を勝利に導く力だ。個人の作業力を誇っているうちは素人だ。仲間と連携し、チームを率いて個人の作業力では実現できない成果を上げてこそビジネスパーソンだ。組織を勝利させることによって、生涯の安定もレバレッジの効いた報酬得られるのが実社会のルールだ。損得でも考えても組織の勝利を第一義として、それをステップに伸び上がるのが正しい。

(4)リスクや利益を意識しているか

経営者がこれらを感じるのは当然だ。しかし、細部まで血流がいきとどいている組織ならば、全メンバーがこれらを意識するはずだ。HWSでは、入社したての新卒者にもプロであることを要求する。給与をもらう以上は、プロだし成果を求められて当然だ。研修などで時間を使うのは当然ではない。新卒者が無駄に食んでいる給与もその他の研修費も、先輩達が体を張って稼いで来た大事な資本だ。新卒者なので、すぐに収益を上げられないのは良いが、それは当然ではなくいびつな状態だという認識が無くては成長への危機感も湧かない。企業によっても割合は違うが、一定数以上のメンバーがコストやリスクを考えずに言われた作業だけやっているようなら、その組織は必ず傾く。それはソニーだろうが、トヨタだろうが同じだ。一線を越えれば競争力を失い傾くはずだ。もう一度リスクやコストを全メンバーの腹に落とし込んで行く為には、今回の不況は結果的に全日本企業にとって良かったのではないかと思う。不況という冷水を浴びせられ、目を覚まし、正しい認識を組織が持つには良い時間であった。多くのサラリーマン、作業員達はリスクにも利益にも敏感ではない。この部分が甘くなれば、組織は必ず腐敗へと向かう。

これ以上書くと長いので、この項ではこのくらいで止める。

自組織が腐敗に向かっているかどうかの先行指標などいくらでもある。正しいスタンスを持つビジネスパーソンからみれば、すぐに分かるものばかりだ。

自社への不満を他企業に言って漏らす馬鹿な営業マンもいる。

組織のことよりも自分のスキルアップの事や収入の事しか考えられない幼稚な社会人も多い。そのスタンスで、許されるのは二十代三十代の子供内だけだ。肩書きだけではなく、本当の意味でのリーダーシップ求められる状況では、そんな子供の戯言は許されない。全メンバーの未来を背負って組織の勝利を第一義にしなければならない。

職場に活気がない、挨拶の声が小さい、飲み会に行くと上司や部下の悪口で盛り上がる。これらも腐敗の合図だ。自分の発言や行動によって、自分も組織も腐っていく。

世の中にある全てに通じるが、腐敗することや壊すことは簡単だ。情熱を無くし、意志を無くし、真剣さをなくしていけばよい。何もしなければ勝手に組織も人も腐っていく。

逆に何かをクリエイティブに作り上げ行く為には多大なるエネルギーが必要になる。強い組織を作るのも、素晴らしいビジネスモデルを作るの、膨大な情熱や労力が必要だ。しかも長い時間がかかる。

長い時間を通して膨大なエネルギーを発揮するためには、自己の成熟が必要だ。自分の価値観や、自己が考える正義を確立し、熟成された哲学から湧き出るエネルギーによってのみ持続的に事業に取り組めるのだ。

この不況は自社や自組織を省みる良い機会だ。ビジネスの世界の話なので、既に手遅れの企業も多くあるだろうが、それは未来への糧としてゼロからスタートすればよい。間に合うなら、腐敗に向かっているのに好況下では気がつかなかった組織や個人は、現状の己を認め、ここから再構築すればよい。

我々が恐れるべきものは常に内にある。不況も国際情勢も無視し、独自の道を進む強い組織を目指し、戦いの日々を重ねていこうではないか。

2009年03月06日 10:20

HWSが歩む道は

三月になって新入社員が三名増えた。現場で各メンバーが頑張っているので、クライアントからの評価も高く、空いている人員が一人もいなかった。全メンバーに担当プロジェクトがあり、仕事が充足しているのは、この市況下においてはありがたいことだ。来期に予定される大きめのプロジェクトを、どの編成で対応しようかとメンバー達が終業後にお集まってきて相談していた。極めて前向き。

当然、この様な状態を作るために、多くのメンバーが血を流し汗を流し、時間を使って来た過去がある。安直な空元気ではなく、実体があっての現況であることは言うまでもない。

そんな状態なので、当然人員の増強となる。最近の買い手市況により、中途採用の応募者は毎月100名を遙かに超える。最近では200名に手が届く勢いだ。弊社の人気というよりは、あくまでも市況の問題だろう。今がどうというよりも、HWSの未来に向けて、必要な人材なら不況も好況も関係なく採る。それでも、採用まで至るのは1/100くらいだ。

四月からは十五名の09年新卒者のHWS人生もスタートする。彼らも自分の配属する部署の希望を出して、自ら望んだ事業部に行く。まあ、戦力には当面ならないので一応第三希望まで出してもらって調整とはなる。一事業部に人が集中しては、コストをその事業部だけでは支えられない。

一年半以上前から新卒を採用するので、各事業部一人以上は受け入れる準備をしておくように通達した。新卒者の育成や、受け入れる体制などクライアントとも前もって調整しておくように指示したのだ。当然、現在の市況を予測しての話だ。

よって、この市況下で独立採算に近い評価制度を採っているHWSなのだが、事業部長達は喜んで新人を受け入れる。その新人を受け入れる為のコストや労力の負担を理解した上で喜んでHWSの未来のため、自チームの長期に渡る成長のためにも受け入れるのだ。

私も来月で四十一歳となる。IT系の社長では決して若い方ではない。財務的にも営業的にも多くの苦労を経験した。事業の立ち上げ期に資金が無く、管理部門を0人にしたので、経理から営業事務から全部一人でやったこともある。金が無いので汗を流すしかない。しかし、その経験により経理財務には一定の自信がついた。今のHWSの財務的な堅さは、その経験無しには実現していないだろう。

私にとってビジネスはギャンブルではない。ビジネスをどの様に捉えるかは、人それぞれでよい。私が経験が浅く若ければ、「一発新サービスを当ててやろう」と意気込むだろう。これはこれでバイタリティーもあり悪い話しではないが、私自身は渾身のサービスでも外れることがあるのを知っている。だから、市況に関わらず、商品やサービスの当たり外れで、業績を左右されないように、「組織力による勝利」を目指す。

組織には規律も必要だ。HWSとしては何が正しいかという文化も必要だ。組織の力が最大になるためには、会社の明確なビジョンも必要だし、信頼も必要だ。これらを時間をかけ組み上げて行く作業は決して容易ではない。しかし、不況に関係なく、規模に関係なく会社が存続し伸び続けるためには、組織の強さで勝つ道を選ぶしかない。

何かの商品が一発当たって儲けられればという幻想に多くの経営者は陥る。組織力の強化には即効性がない。また、終わりもない。どこかで楽隠居する様な未来は描けない。だから、多くの経営者は強い組織を目指しながらも、その道に踏み込めないのだ。自分のライフスタイルや人生設計まで変えなければ強い組織など実現できないからだ。

今の自分の範疇で、不況下でも生き残ろうと思えば、一発当てるしかない。その一発で稼いだ資金によって余生を過ごそうとするしかない。

それは幻想だし、ビジネスというよりギャンブルに近い。強い組織があり、それを基盤となる組織文化がある。その吐露として素晴らしいサービスも製品も自然と生まれるのだ。これはギャンブルではない。ビジネスであり、経営だ。その終わりなき道を覚悟して進むのが経営なのだ。

宝くじも当たることはある。商才のある経営者が、運にも恵まれ爆発的に何かのビジネスを「当てる」時があることも十分知っている。それは、才能のある人に任せよう。私が実現したいのは何かしらの当たる製品ではない。当たるサービスではない。日本に根付く新たな文化を実現したいのだ。日本発で他国に貢献しうる新しい文化をHWS発で波及させたいのだ。

この長い年月をかけた戦いが経営だ。

現在の不況なども、この観点から言えば大した問題ではない。いずれ空も晴れる。

我々はひたすら最強の組織を目指す。今は零細企業が大言を吐いてと笑われ様が、自らの正義を信じ、新しい文化の創立を目指す。その変革は気の利いた製品やサービスを当てることよって作られるのではない。一人一人のメンバーが現場で流す血と汗で道を作り、実現するのだ。

我々は奇をてらった道は歩まない。ひたすら王道を歩むのみだ。

不況下では目先の営業や資金繰りに目を奪われ、自分達は何者なのかを忘れてしまう経営者も多い。これでは本末転倒だ。意地でも生き残る事は必要だが、何のために自分達が生き残るか忘れては駄目だ。生き残る価値の無い会社ならサッサとたたんだ方が世のためだ。他社が真似できない未来を実現しなければベンチャー企業の価値などない。大手とその系列がいくつかあれば十分だ。

不況下だろうが、好況下だろうが自分の言を変えてはいけない。外部要因で変わる言は偽物だ。

頭をフル回転させ、泥臭く汗と血を流し、組織の力を結集し、王道を歩み続けよう。


2009年03月02日 10:44

「出来る事」で組み上げよ

先日古参のメンバーが、総会での事業部長のプレゼンや私のスピーチを観察して悟った事を朝礼で話していた。

基本だが、人を惹き付ける一番の要素は「声の大きさ」だというのが結論だ。

確かに、合同説明会などでHWSのブースには毎回多くの学生が集まってくる。有名企業群の中にあっても、その集客力は見劣りしない。盛り上がり具合はHWSの方が上なくらいだ。

学生達を惹き付けるのは話しの内容ではない。声の大きさや視覚的なインパクトだ。それをきっかけに話しをじっくり聞き込んでもらえれば、内容の勝負となる。どんなに素晴らしい内容があっても、聞いてもらえなければ意味がない。

090302_a.jpg多くの人が間違うのは、良い内容の話しをしようと思うこと。良い話しをすること自体は間違っていないが、スタンスとしては間違いだ。話しの内容にこだわっても、聞いてもらえなければ無駄な時間となる。人を惹き付け、「良い話し」を聞かせる努力を意識するのは話す人間の義務だ。

視覚や聴覚に訴えるインパクだけでは、最終的に何も残らないので、やはり意味がない。どちらも有って、初めて話す目的が達成される。ビジネスにおけるスピーチには、人を惹き付ける力と伝える内容の両面が求められる。この両面を満たすことは話す人間の義務だ。どちらも手を抜いてはいけない。「話しの内容はちゃんとしているから・・・」と言い訳し、人を惹き付ける努力を放棄するのは単なる逃げなのだ。

今回はスピーチのあり方について話したいのではない。

人を惹き付ける最大の要素が大きな声だとしたら、人を惹き付けるのは簡単な事ではないか。「出来るか出来ないか」という問題ではなく「やるかやらないか」という問題であろう。

090302_b.jpgある程度大きな声を出せない人間などいない。恥ずかしいとか、面倒くさいと言う理由で、その行為から逃げているだけだ。普段は蚊の泣くような声でしか話せない人間が、カラオケなどに行くと良い声で歌っている光景などもよく目にする。物理的に音声を大きくするポテンシャルはあるが、何らかの理由で「やっていない」のだ。

例えば、挨拶などもそうだ。

大きな声で、毎朝、毎晩挨拶するだけど人間の印象などがらりと変わる。「ありがとうございます」「申し訳ありません」を常にはっきりと言えるだけでも、筋の通った信頼できる人間だと映る。

朝も眠そうな顔をしてギリギリに出社するよりは、せめて15分前には会社に来て、準備をしたり、後から出社してくる社員に元気に挨拶をするだけで、自分への自信も変わる。評価も変わる。

これらは全て物理的に無理な事ではない。後10分早く起きることは難しくない。大きな声で挨拶をすることも難しくはない。だが、多くの社会人はどちらもやらない。

二十年間の短い期間ではあるが、ビジネスの世界を見て来て思うことがある。素晴らし企業文化や、素晴らしい業績のほとんどは「出来る事」を組み上げて作られている。いくつものファインプレーがなければ、個人の安定や企業の発展が実現出来ない訳ではない。

090302_c.jpg長いこと仕事をしていれば、時にはファインプレーもあるだろう。幸運もあるだろう。しかし、ほとんどは平凡な時間が流れている。この平凡な時間を制してこそ、企業の発展は実現し、他の企業群から抜きんでられる。

奇跡の起きない普段の時間に、「出来る事」を積み重ねて自己の価値を上げ、企業の強さを作るのだ。これが経営であり、ビジネスの世界のあり方だ。

HWSは誰でも可能な努力を一つ一つのパーツとして組み上げて行きたい。我々はIT業界の変革を標榜している。多くの同業者の見本として、源流として未来を示す存在になりたいと志向している。誰にでも可能な努力をパーツとして組み上げたHWSだからこそ、多くの同胞が「その気」になるのだろう。自分達もHWSの様に変貌する事が可能だと思ってもらえるのだろう。その意欲がIT業界のあり方を変えるのだろう。

特種な才能はいらない。長い時間の中でも曲がらず、苦境にも耐える強い意志があればよい。曲がらぬ意志が文化を熟成させ、誰も真似できぬ企業を成立させる。その意志によって、他者が真似できない努力を継続すればよい。誰にでも可能だが、誰もやらない努力を積みあげて行けば良いのだ。