会長ブログ(株式会社ヘッドウォータース代表取締役:篠田庸介)

January 2012

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

2009年05月28日 15:31

不沈船たれ

photo以前から、企業が傾く要因は、経営環境などの外部要因ではなく、内部崩壊だと書いてきた。不安が組織内に広がり、内部崩壊へと向かうパターンがある。不安から不満や批判が生まれ組織は内から崩れ去る。

経営者も不安に苛まれるとバランス感覚を欠く。平時であれば的確に下せた経営判断に切れが無くなる。結果、リーダー自ら不必要な不安や不信を誘引し、組織は最悪の方向へと向かう。

私のビジネス人生の中で、組織の内部から繁栄も衰退も経験した。この項では、経営の厳しさについて書く様に見せかけて、実は不況下における希望について書きたい。

組織は表面的に見ると極めて脆い。僅かな不信や不安で、瞬時に志気が減退する。しかし、その脆さと同時に、芯の部分にしなやかな強さも持っている。特に社歴がある組織は強い。何のマネージメントや教育を施した訳ではなく、長い年月が自然とロイヤリティーや文化を育んでいる。メンバー達がその会社に長い時間を使ったという事実は、思っているより重い。

私が25歳くらいの時だろうか。当時は社長ではなく、一営業管理職だった。急成長を続けた自社が、戦略及び人事の失敗によって売り上げが1/10程度まで瞬時に下落した。完全に経営陣のミスなのだが、現場のリーダーだった私は自分の事と感じ、事業の建て直しに奮闘した。

体制変更が失敗したその月から全社員の給与が止まった。今思えば業績が好調な時に社内留保をほとんどしていない事自体が信じ難い。その後の一年間は、正に無給、無休で働いた。給与も交通費も出ないので、すぐに僅かな貯金は底をついた。出口の見えない、厳しい時間が続いた。

メンバー達は自社に愛情や誇りを持っていたので、無休でも愚痴一つこぼさず業務に当たった。未来への不安も心の憶測に沈め、ひたすら目の前にある業務に没頭した。やがて、一人二人と脱落者は出たが、一時的には売上も最盛期の1/3くらいまでには持ち直した。

不況の影響ではなく、勝手に自ら転けたのだが、それでも会社は生き延び、倒産するまでにはかなりの時間がかかった。今の私の経営的な技能があれば、間違いなく潰さずに再起させられた。今思えば、再起に必要な時間を生き延びるだけのしぶとさは有った。ただし、経営陣の未熟さ故に、その時間が有効に使われる事は無かった。

売り上げが1/10に減っても生き残ることは可能だ。生き残る道はある。生き残る方法は残されている。しかし、絶望に支配された人間には、その道が見えない。

苦しくなると、当事者は二つの逃げ道を用意する。

一つは、「あきらめ」と言う逃げ道だ。早期にあきらめに逃げ込めば、心の負荷が減る。開き直って努力を放棄すれば、まわりに迷惑がかかるだろうが自分の心理的負担は減るのだ。倒れゆく組織から一目散に逃げるのはこの種の人間だ。

photoもう一つは、「楽観」と言う逃げ道だ。何とかなると言う根拠の無い他力本願によって、自らの努力を放棄する。このタイプの経営者は案外多い。ギリギリまで何とかなると自分に言い聞かせ、本人もその気になってしまう。「僕はついているから・・・」と言うセリフを間違って使い、現実から逃避するのだ。本当のポジティブさとは、リスクを真っ正面から受け止め、その回避の為に全身全霊を込めて動く事を言う。現実から逃げる中で吐かれる前向きな発言は、ネガティブ以外の何ものでもない。

逃げずに正面から問題解決に当たれるなら、組織は案外しぶとい。しかも、経営者のみではなく、全メンバーが逃げないとしたら、その組織が倒れる事はない。

多くの経営者、多くのビジネスパーソンには、希望を持って欲しい。あなたが所属する組織は、そう簡単には倒れない。倒れる原因があるとしたら、現実からの逃避が生み出す自壊のみだ。

不安や難題から逃げず、組織の再建にひたすら注力すればよい。この市況を越えた時にかつてない成長を実現する為に、組織を強靱に作り上げる機会を我々は得ているのだ。

最近多くのエンジニアが弊社へ応募して来る。その数は毎月二百名にも達する。すでに所属している会社が倒れているなら仕方がないが、まだ微塵でも希望があるなら、自社を離れず立て直す事を説いている。その行為が本人のビジネス上のキャリアも生むし、リーダーとしての人格も育む。

二十年の間に何度も経営危機を経験した。その中で、私は組織の本質的な強さを確信している。しぶとくしなやかな強さを実感している。だから、事業を営む中で不安は一切無い。恐れるべきは、自らが腐る事だけだ。

ギリギリまで決して諦めてはいけない。投げ出してはいけない。不安な事から目を背けてはいけない。楽観してはいけない。悲観してもいけない。

現実を直視し、リスクに対して正面から相対するのだ。ファインプレーもいらない。自分達の英知を絞り、対策を立て行動に移せばよい。悩んでいる暇は無い。ひたすら問題解決に向けて動くのだ。状況を正しく理解するのだ。

リーダーがこの様なスタンスで動けば、組織は決して倒壊しない。ビジネスパーソンならこの真実を理解し、自組織の繁栄を目指して欲しい。

2009年05月27日 11:22

態度を変えず

photo今回は告知をさせて頂く。

私が主催する勉強会の開催を決定した。定員40名のところ現在20名程度が参加を表明している。これは十年以上前から無償で取り組んでいるものなので、料金は一切いらない。二次的な営業もかけない。その代わり完全にボランティアなので、面談により参加者は選ばせて頂く。参加前に弊社の取締役が面談を行い、承認されないと参加は認められない。

私自身が、経営の前線に立ち、実戦の中で掴んだ真理の様なものを伝えられればと思っている。業種職種も問わない。今までに、エンジニアから弁護士、医者、営業マン、戦略系コンサルタント、経営者まで幅広い方々に参加して頂いたが、良いリアクションを得ている。

日程。

第一回 6/14(日)   13:00~15:00頃
第二回 6/21(日)   11:00~13:00頃 
第三回 6/28(日)   11:00~13:00頃
第四回 7/12(日)   13:00~15:00頃
場所: HWSサテライトオフィス

今までお会いした事のないブログをお読みの方から応募も毎回ある。そんな出会いも楽しみなので、興味がある方はご感想メールから連絡を頂ければ幸いである。

話しは変わる。

2010年入社組の採用活動も終盤だ。独自の基準で採用を行っているので、応募者は千名に届くとは思うが、内定者は13名となっている。もう2名程度は増員したいので、最後の会社説明会を6/3に行う。

photo無理に増員する気が無いので、HWSの採用基準に合致する人がいれば採るというスタンスだ。いなければ、この13名で打ち切る。未来の方向性が定まらない人、就職活動で悩んでいる人がいたら、気軽に参加して欲しい。会社説明会は一種の啓蒙活動だと思っている。HWSへの入社云々は別にして、若い方々に何かを与えられればと思う。

HWSでは、不況でも好況でも、採用活動を続ける。我々の存在価値は、今を乗り越える事ではない。未来に成すべき事があり、その為にはより強い組織を作り上げなければならない。規模も質も、現在のままでは壮大なミッションは達成されない。

人間、市況によって自身の態度を変えない方が良い。

今日の朝礼で疋田取締役の話しを借りたい。

中途採用を未だに活発に展開しているHWSなので、本年度の媒体選定コンペには何社もの業者に名乗りを上げて頂いた。様々な提案を頂き、有難い限りだ。

二年も前なら、就職媒体の営業マンは高飛車なものだった。「別にあなたの会社が広告を出さなくても、他に沢山いますから」と言った態度だ。値切る様なお金の無い会社は広告を出すなと言った態度だった。

市況は逆転し、採用の為に広告を出す企業は激減した。広告の金額は下がり、値段を下げても競合が多く営業が難しくなった。今度は企業側が「営業したければ、もっと安い金額を持ってこい」と言わんばかりの横柄な態度に出たりする。

photo市況によって態度を変えては駄目だ。人間としての底が知れる。良い時期も悪い時期も長くは続かない。その度に態度を変えていては、結局自分自身が卑屈になる。市況が良い時に、未来の変化に備え謙虚でいられれば、市況が悪くなった時には未来の変化を信じ、卑屈にならなくても済む。平常な心でビジネスに向かえば良い。

よって、多くの企業からコンペに参加して頂いているが、今回のご縁の有無は別として、弊社が厳しい時にはご助力をお願いしますと言う態度で臨んでいるらしい。これは正しい。

疋田取締役の話を借りれば、この様な内容だ。

市況や相手方の会社の規模で態度が変わる人間は多い。相手の肩書きで態度が変わる人間もいる。逆に、経験も豊かで社会的に立場のある経営者でも、常に謙虚な態度で相手に臨む方もいる。外部状況によって態度が変わる人間を心底信用する訳にはいかない。良好な関係を築いていても、状況が変われば態度を変えるはずだ。単純に人間として尊敬出来ない。

立場や状況は変わる。優秀な経営者でも引退する時は来るし、市況によって業績も高下する。そのたびに態度を変えたり、卑屈になったり威張ったりしていては、無駄に疲れるだけだ。自分の中に確固たる価値を作り、市況や立場によってコロコロ態度を変えない人間でいたい。

HWSは最強の組織を作り上げる。その為には、外部と比べ自分を確認するのではなく、自ら志向する姿への挑戦を続けなければならない。

2009年05月25日 15:53

組織第一主義

社員総会にて先日、ある会社を訪問したら、「うちは株主を一切無視して、従業員と顧客の為に存在しているんです。株主軽視の会社なんです。」と言っていた。まあ、100%株主がその社長自身なので、滅私の中で事業に比重を置くという決意表明としては面白い。上場企業でこれを言ったら、社長のクビは飛ぶ。

「顧客第一主義」「従業員第一主義」「利益第一主義」

色々な標語が注目を集めてきた。「顧客第二主義、従業員第一主義」を掲げ、低迷する航空業界で唯一好成績を上げ続けているサウスウエスト航空は有名だ。

突き詰めて考えると、これらが目指す未来は一致する。

顧客第一主義を提唱する企業が、求めるのは当然顧客満足だが、膨大な顧客満足を得れば、結果的に会社の業績も伸びるし、安定も割高の所得も獲得出来る。従業員満足も企業満足も実現出来る。また従業員第一主義を推進すれば、メンバーの意欲は高まり、付加価値の高い仕事をする。その結果、顧客第一主義も実現される。

これらの標語が目指すのは、良性循環を作り上げることだ。顧客満足、従業員満足、株主満足は長期の視点で見れば一致する。刹那的にはどこかに恩恵が偏る事もあるが、偏った状態で企業の成長は持続出来ない。適正なバランスの中に全ての満足は落ち着くはずだし、経営者は共益な未来を目指さなければならない。

ただし、既にどちらかに偏った組織を矯正する為には、「○○第一主義」の標語は有効だ。企業の利益に意識が向きすぎて、クライアントや従業員を顧みない組織を正すには、「従業員第一主義」を掲げ、バランスを取るのが良い。

この前提を踏まえて、あえてHWSについて語るなら、「組織第一主義」だろう。

昨今では、「自分らしく生きる」「個性尊重」などの言葉が常識として喧伝されている。これを間違って理解すると危険だ。

先進国として豊かさを享受し続けて来た日本には、本当の意味での貧困は存在しないし、国民は最低限の医療を受けられる。餓死する友人もいないし、擦り傷からバイ菌が入って死亡する人間も少ない。しかし、いくつかの途上国では、深刻な飢餓や医療品の不足によって、ちょっとした事で人が亡くなる。

萱沼取締役の誕生日今の日本では「生きる」と言うテーマは希薄になっている。自己の努力、自己の鍛錬で生きる道を作らずとも、最低限の生存を保証する社会インフラが整備されている。誰かに生を保証された上で「自分らしさ」や「個性」を追えるのが現在の日本だ。しかし、この「自分らしさ」や「個性」は偽物だ。また、豊かさを保証する国力も、保証されたものではない。

現代社会で多くの国民が生存するには、自国内に世界を席巻する産業を持たなければならない。産業は個人の才覚で生まれるのではない。トヨタ、ソニー、松下などを見れば分かるように、「集団の力」「組織力」で生み出されたのだ。

資本主義世界の基本的な経済単位は企業だ。弁護士でも税理士でも、腕っこきのコンサルタントでも、個人の力で稼いでいる様に見えて、実は儲かった企業から手数料を取っているに過ぎない。組織戦で勝利した巨大組織が無い限りは、その下にぶら下がる優秀な個人が所得を得ることも無い。

日本の過去を見ると、「終身雇用」「年功序列」などに代表されるように組織の結束に重きを置いたマネージメントで成功している。自己の利も一時的には放棄し、組織の勝利に貢献した多くの先輩方の努力があり、戦後の繁栄を実現したのが日本だ。

その日本の強みを忘却した為に、我が国は近年の凋落をまねいてしまったのではないかとさえ感じる。「自分らしさ」や「個性」は素晴らしいが、これらを提唱する前提には自活がある。「生きる」を満たせて、初めて個性を謳う事が出来るのだ。

「自分らしく」を掲げれば、努力する事からも我慢することからも逃げられる風潮が近年は有ったのではないか。全ての人が都合良くこれらのキーワードを使った訳ではないが、誤った個に対する偏重が、日本の組織戦の強さを奪ったのではないか。

私自身、毎年採用活動で多くの大学生に会うが、個に偏った性行は年々増している。これに一石を投じ、世界で活躍できる人材、世界で戦える企業を創立する為に、あえてHWSでは「組織第一主義」を提唱する。

組織が勝たなければ、個人の収入も安定も獲得出来ない。四十代でも五十代でも転職を続けるなら、美味しそうな企業を転々とすれば良いが、現実的には高齢での転職は難しい。ならば今いる組織を勝たせ、成長させ、将来の安定や納得いく収入を得るしかないではないか。

どんなに資格を取って個人の価値を上げた気になっても、資格の有無で採否が決まるのは末端の作業員だけだ。中高齢者に期待されるリーダーとしての性能や、ビジネスパーソンとしての付加価値と資格は全く関係がない。資格は君達の未来を保証しない。ただし、若いときのステップとして使い道があるのは否定しない。

萱沼取締役の誕生日「自分らしく生きる」「ノンビリ生きる」「個性を伸ばして仕事にする」「好きな事を仕事にして生涯を過ごす」

これらの単語は全て、意識が自分に向いている。成熟したリーダーならば、これらを言う前に組織の勝利に全力を投じる。優秀な管理職、優秀な経営者なら、こんな事は頭に浮かばない。仲間達の幸せを願い、仲間達の幸せを実現する為に全ての労力を厭わず、滅私の中で仕事に当たるはずだ。ひたすら組織の勝利に邁進し、未来を自分達の力で創り上げるはずだ。

組織の勝利によって全ては手に入る。信頼できる仲間と共闘し、勝つことによって全てが手に入る。これが資本主義の黄金則ではないか。

若さにまかせて転職を繰り返している場合ではない。自分の性能が上がって喜んでいる場合ではない。上がった性能を使い、組織の勝利に貢献して初めて喜ぶのがビジネスパーソンだ。

ビジネス力とは、組織を勝たせる力だ。個性も自分らしさも組織を勝たせる武器として使うのだ。組織を勝たせる個性なら価値がある。

この時勢だからこそ、この風潮だからこそ、あえてHWSは「組織第一主義」の道を行く。組織の勝利の向こうに、「全メンバーの幸福」と「クライアントの幸福」を必ず実現する。

2009年05月20日 13:05

天の時

社内風景某専門誌で連載しているコーナーの入稿時期だったので、ブログの更新が滞ってしまった。オフショア開発の専門誌なのだが、HWSの取り組みなどを書かせて頂いている。SI業界において海外との連携モデルが波及する一助となればと思い筆を執った。

ビジネスの方も動きが少しずつ出ている。本業のSIはもちろんだが、弊社のプロダクトである社内連携システムへの問い合わせも数件ある。まだ発表前なので、クチコミからの打診のみだが、本格的に販売に入ればそれなりのユーザーは確保出来そうだ。

この「Growp」と命名されたシステムは、一年ちょっと前に希望者を募り開発がはじまった。社内ポータルの構想は数年前から持っていた。3年くらい前にも制作を試みたが、エンジニアから上がってきたものは叩き台にもなるレベルではなかった。時期尚早と思い、昨年まで構想は凍結したままだった。

「Growp」は社内のメンバーが自分達で使うために作ったので、使い勝手はかなり良い。必要であれば機能追加なども早期に出来る。せっかく作るシステムなので、他社様でも使って頂ければと考え、カスタマイズはしやすいように設計されている。製品としての完成度の高さは、大手のメーカーに一日の長があるだろうが、リアルタイムに現場の意見を反映し、現場で意見を言っている人間が直接作り込んでいく体制の「Growp」は、いずれあらゆる面で、既存の著名なパッケージ群が持つユーザビリティーを凌駕するだろう。現状でも、HWS内においては他社のグループウェアを使う気にはならない。

私自身、けっこうせっかちな性格だ。プライベートでも仕事でもついつい先を急いでしまう。だから、ビジネスの世界でビジョン達成に向けて全力で走るのに違和感はない。もっと早くもっと早くと、急ぐことは自然と身についた。

同時に私が二十年余りのビジネス人生において、理解した事がもう一つある。それは、焦らず時を待つと言う事だ。

この二つは一見相反するので、併せ持つのは難しい。

社内風景「Growp」の件も、もう少しせっかちに考えれば、無理にでも開発に取り組むことが三年前にも出来た。コストをかけ人員を投入しブラッシュアップを続ければ、それなりのプロダクトはもっと早く出来たかもしれない。しかし、その選択をせず、自発的なリーダーが社内に現れ開発をリードしてくれるのを待った。

世の中には、優先順位やステップ・バイ・ステップで積みあげなければならないことがある。

サッカーの試合で格好良くシュートを決めたければ、いきなり試合に出てシュートを決めにかかるよりも、何回もダッシュを重ね、筋トレもして、仲間とフォーメーションやシュート練習なども繰り返した方が最終的に近道だ。現実的でもある。

その修練が形になるのに半年かかるなら、半年間待たなければならない。一年かかるなら、一年間待たなければならない。己を鍛え、必要なステップを踏めばチャンスは自然と訪れる。

待つとは、動きを止める事ではない。動きは常に全速力だ。必要な要素が揃うのを待つのだが、動きを止めては手持ちのパーツは増えない。動きに動いた後に、新たな要素が一つずつ獲得出来るのだ。その新しいパーツを使って今まで実現できなかった事に取り組むのだ。

最速で何かを成し遂げるには、ダボハゼのごとく目の前の事に飛びついてはいけない。ゴールへの最短路を構想し、必要な事に全力で取り組むのだ。今行っている事が、一見ゴールと関係無くても、必要なら焦らず目前の課題に取り組むのだ。いずれ構想した通りの「時」が来る。シュートを打って良い時が来る。

HWSは創業の当初からビジョンを語り、人を採用してきた。ビジョンに共感する人間を採用してきた。そのスタンスは今も昔も変わらないが、設立当時はビジョンへの共感を正しく理解させていなかったかもしれない。

当初からHWSは、エンジニアがビジネスの世界を自由に動き、新たな組織、新たな収益構造を作る道を志向していた。それを都合良く受け取った一部のエンジニアは、社内でコストも意識せず自由に開発が出来ると考えた。これらの人間は、「今すぐに会社の保護下で好きに開発が出来ないならイメージと違います。」と言い退職した。

社内風景残ったメンバーはHWSの理想を理解し、それを都合良く使わずに「HWSの理想や良し。理想を実現する為に足りないものは自前で揃えるべし。」とばかりに、目前の業務に没頭し、収益や人材を増強するのに貢献した。日曜日にもスキルアップや後発の教育に当たった。その甲斐あって、HWSは現状の姿へと進歩するに至った。

理想の環境は誰かが与えてくれるのではなく、自分達の力を結集し作るしかない。その為には時間がかかる。その時間をかけることが、時に遠回りに感じるかもしれない。焦燥感を喚起するかもしれない。しかし、君達の理想通りの物を恵んでくれる企業など世の中に存在しない。「物流系の案件がやりたいんです」「Web系の開発がやりたいんです」一瞬だけ、君達の要望を満たす職場環境はあるだろう。しかし、それが続く訳でもないし、目の前の事に飛びつき続けた君達は組織人としての信頼を失う。個人の市場価値が急激に低下する時期に、未来への道を失う事になる。

やはり、長期に渡り自分の想いを実現するには、環境自体を作る側にまわるしかない。創り上げた環境が、結果的に理想との多少の差異があっても、自分が作った物なら愛着も湧くし納得も出来る。人から与えれた物では、小さな理想との乖離が大きな不満へとなってしまう。いずれにしろ人から与えられた物で、君達が幸せになることはない。

全速力で進むと言うこと。「天の時」を待つこと。

この二つを併せ持ち、ビジネスに当たることを多くの方には学んで欲しい。

雌伏の時間に、「地の利」と「人の和」を着々と固め、「天の時」を待つ鷹揚さを持ち、度量の大きなビジネスパーソンへと育って欲しい。

2009年05月14日 14:49

経営者セミナー

昨日は友人の依頼で、講師としてセミナーに参加させてい頂いた。テーマは下記の二つ。

・経営者が持つべきリーダーシップとは
・社員のリーダーシップを開発するための秘訣とは

photo現在の市況を受けて、組織をどう作れば良いのかと言う話しをさせて頂いた。出席者の大半は経営者で構成されていた。業種は様々だ。せっかく時間を頂くので、より現実的な質感のある話しをしようと考え、弊社の組織構築モデルを細部までお話しした。

HWS的には社内外においてノウハウを隠さない。それで他社も豊かになり、社会への貢献度が上がるなら本望だ。

よって、もしどこかで講演等して欲しい依頼があれば、気軽に相談して欲しい。事業の妨げにならない程度なら快諾したい。料金もいらない。これはあくまでも社会貢献の一貫だと位置づけている。

私自身、コンサルタントでも講師でも無いので、事業家として取り組んでいることを話すのみだ。あまり当たり障りの無い話しをしても無駄な時間になるので、HWSの持つ過激さも、そのまま伝えさせて頂いた。多少マイルドテイストにしたつもりではある。

HWSの取り組みが、全ての企業に有用だとは思っていない。あらゆる制度や戦略は、それに対する思い入れ無くしては機能しない。制度の完成度合いの問題ではない。

世の中には、経営を改善する多くのスキームやソリューションが溢れている。成功事例も数多く喧伝されている。若い頃は多くの事例を研究し、自組織に導入して試したものだ。上手く行った時も、効果が無かった時もある。

photo全ては自分側の問題であり、様々なモデルの善し悪しを語るのはナンセンスだ。どれも一長一短ある。能力主義も終身雇用も一長一短ある。厳しい研修も一長一短ある。一短に目をつぶり、一長に想いを込められるなら自組織においては良いモデルとなる。

いつ頃か、私自身は他社の事業モデルや組織体制に興味を持たなくなった。あまり目新しいものに出会うことが少なくなったのと、結局自社の競争力を上げるのは、自社の内側から湧き出てきたソリューションしかないと結論づいたからだ。

そのソリューションが陳腐であろうと、理論に破綻があろうと、自信と思い入れを持ち取り組めば、何らかの成果が出る。自社においては機能する何らかの効能が期待できるのだ。

私自身はあくまでも事業家として生きるしかない。相手に効能を渡す自信が無いので、料金を取ってコンサルテーション出来ないのだ。数少ない優秀なコンサルタントは、ヒントを与えクライアントが自立的に改革へ取り組めるように導く事も出来るのだろう。世の中に優秀なコンサルタントもいるので、コンサルタントという職業が成り立っているのだ。

ITの分野はコンサル業務を中心としたサービス業としての側面と、製造業としての側面を有している。知っている事を教えてあげるレベルでは、コンサルタントと言うに値しない。せいぜいトレーナーと呼ぶのがふさわしい。ITに無知な人間に、それなりのシステムを提案するのは、トレーナーとしての職分だ。ITを使い相手の経営を激変させてこそ、コンサルタントだ。クライアントの収益を明確に向上させてこそコンサルテーションなのだ。トレーナーとコンサルタントの付加価値には天と地ほど開きがある。

photo世間に多く存在するITトレーナーが、真にコンサルの分野に踏み込むには、経営を学ばなければならない。上手なオペレーションだけでは駄目だ。システム導入後に、有効に機能する為の思い入れを喚起するような指導力を持たなければ駄目だ。

30代までのSEに期待されているのは、せいぜいトレーナーとしての動きだ。しかし、40代、50代でも社会から必要とされる人材でいる為には、コンサルとしての手腕が必要となる。

老婆心ながら若いエンジニア達に警告を発したい。自らが進むべき道を、自らが極めんとする頂を、誤らず進んで欲しい。

2009年05月12日 14:28

動き続けよ

090512_a.jpg四月にHWS初の新卒者が入社して一ヶ月ちょっとになる。人間の成長の度合いは様々なので、既に差が開いて来ている。

HWSの新人研修は、技術の指導に半日を使う。残りの半日は営業研修となる。既に従事する開発が決まった新卒も数名いる。タイミング良く既に開発の現場に入ったメンバーは四月で研修は終了となる。

あるメンバーは本格的に研修が始まってから、現場が確定するまでの半月の間に、相当実績を上げている。技術研修も予定に合わせてこなし、その上で営業研修では連日電話営業にて、7本8本とアポイントを重ねていた。一日に換算すると15本のアポイントを取ったことになる。その他の日も数本ずつアポイントを取っていたので、フロックや勢いだけの成果ではあるまい。

彼女はその経験を持った上で、今はエンジニアとしてのスキルを極めるべく、現場の仕事に当たっている。勤怠も良く、努力も出来る。営業的な経験でも、多くのエンジニアが出せないレベルの成果を上げている。彼女に営業を指導する資格を持つエンジニアは日本中を探してもあまりいないだろう。

ビジネスの世界は平等に出来ている。時間を使い、労力を使い、成果を出せば成長も評価も相応に獲得出来る。平等な分だけシビアでもある。手を抜けば、その分だけおいてきぼりをくう。

私自身も各人の成果、各人の動きを見て、完全に区別して扱う。あるメンバーには任せられる事も、あるメンバーには心配で任せられなかったりする。期待出来る人間には多くの案件を依頼し、それが無理なメンバーにはそれなりの要求しかしない。差別ではない。本人が自らの行動と成果で作り出した区別だ。多くの依頼を受けたメンバーは経験と実績を積み、未来への扉を開ける。

大学までは、そこそこ勉強しておけば、いっせのせで一緒に次の学年に上がれたはずだ。入学の時に一緒にいた同級生達は同じ速度で進級し、一緒に卒業する。明確な差を実感しないまま、時間を過ごす。この延長線で仕事の世界を考えたら道を誤る。

大手企業なら、入社当初は学生時代の延長であるかのように、歩みを同じくするケースが多いだろう。しかし、即時成果を求め、即時地力で歩むことを求めるベンチャーにおいては、実績の差、成長の差は成果によって歴然と現れる。

090512_a.jpg先ほど営業の依光と話しをした。

基本的には各事業部のタスクではあるが、新卒15名の従事する案件と、近々に空く予定のメンバー数名のプロジェクトを決めなければならない。今のところ、中堅以上のメンバーで携わるプロジェクトが決定していない者はごく僅かだが、現在の市況もあるので楽観は出来ない。

「どうよ?営業の調子は?」的な質問をしたところ、「みんなが何かしら動いていれば何とかなりますよ。」とのこと。

なかなか言う。しかし、真理でもある。

HWSでは、新卒も何かしらの貢献を目指し、新規のアポイントも取る。四月の二週間だけで、新卒達は合計100本以上の新規のアポイントを取っている。

HWSではプロジェクトが終了したメンバーは待機などしない。電話営業を行い、関係のあったクライアント先をめぐり、社内の開発案件も探り、自分が次に取り組むプロジェクトを作りにかかる。誰一人待っている人間はいない。よって、待機とは呼べない。

企画書も書く。新規の客先に行ってHWSの事を打ち込みもする。

誰一人、立ち止まっている人間はいない。立ち止まっている事を許さない。営業だから開発だからではない。全員で攻撃し、全員で守るのだ。その流れの中で立ち止まることは許されない。

全員が何かを狙い、何かを成し遂げようと動いていれば、仕事は自然と生まれる。依光の言葉の中にはこの真理がある。仲間への信頼と、営業の真理が込められている。

このご時世でもあるので、同業者から開発案件を振ってくださいと言う依頼は多い。実際、人員の要求は現場から来るが、基本的には他社のメンバーを仲介して現場に送り込む事はしない。現実的に無理な話しだ。クライアント各社は、HWSの姿勢を買って人員増員を要求しているのだ。常に歩みを止めず、付加価値を生み出すHWSのメンバーに期待しているのだ。人員が単純に足りなくて、現場から要求が来るわけではない。動き続ける体質を持たないエンジニアが入り込む余地などHWSにはない。

話しを戻す。

090512_a.jpg一斉にみんなで成長することは出来ない。自分の頑張り通りに、同期の間でも差は開いていく。新卒も中堅社会人各位も、時には自分の成長に疑問を持つときもあるだろう。仲間の台頭に対し、喜びたい気持ちと同時に嫉妬心をお覚える時もあるだろう。

しかし、焦る必要はない。動いていれば何とかなる。自分を信じ、歩みを止めなければ、いずれ成果で追いつく。焦らず、全力で急げば良い。この境地で目前の命題に全力を投じれば良いのだ。

そうすれば市況に関係無く、仕事がいずれ生み出される。自社も自分も生きる道が見えるはずだ。ひたすら動き続け、次の一歩を常に作り続けようではないか。

2009年05月08日 17:23

先手

090508_a.jpg
クライスラーに続き、GMも破産法申請かという雰囲気になってきている。アメリカ政府の対応の是非については、専門家のコメントに任せる。ただし、一連の騒動を見ていて強く感じるのは、一旦後手に回ると回復は極めて困難だと言うとこだ。

後手とは、何か生じた後に対処して行く事を指す。モグラ叩きの様に顔を出した問題を、次々に対処し潰していっても根本的な問題は解決されない。一つの問題を片付ければ次の問題が勃発する。後手のサイクルとはそう言うものだ。

当事者は、「なんて運が悪いんだ」と嘆くが、実際は運の問題ではない。豊潤の時を、無為に過ごしたつけが回ってきただけだ。

リーマンショックを契機にGMの衰退は始まった訳ではない。批判を恐れずに言えば、アメリカの金融危機と今回のGMの件は全く別問題だ。GMは長い年月に渡り、アメリカの象徴的企業として君臨してきた。資金的にも、人的資源もアメリカでトップクラスであったはずだ。GMのメンバー達は、そのポジションを過信し、そのポジションに甘え、企業の基本的な強さを研ぎ澄ましていく行程を疎かにしていなかったと言えるだろうか。

結果、GMは後手に回ったのだ。無為の時間が競合相手に力を与えたのだ。問題が顕著化して来たときに対処しても、一つの綻びを埋めている間に、次の綻びが浮上する後手のサイクルに入るだけだ。

我々が歩みを進める業界も同じだ。昨年、一昨年の様に、ルーチンをこなしていけば売上が上積みされる状況を当然として、企業の個性や競争力を磨かなければ、市況が傾いたときに他社に抜きんでて業績を伸ばすことは出来ない。成長経済の中では、蛮勇により企業が伸びる事もあるだろう。しかし、市場が縮小する中でビジネスを作るには、際立つ個性が必要なのだ。他社が真似できない何かが必要なのだ。これは、一朝一夕に出来上がる物ではない。苦しくなったときに、モグラ叩き的に問題に対処し、自社の個性を作ろうとしても間に合うわけもなく、後手に回って右往左往する姿を社内外に見せるだけだ。

090508_b.jpg社員が辞めると言い始めてから、それに対処するのも後手だ。

景気が悪くなったから営業に力を入れたり、社員を切ったりするのも後手だ。

エンジニアが四十歳を前にして、そろそろ何かやらないと未来が危ないなと思い、動き始めるのも後手だ。

取引先の業績悪化を察知できず、破綻した後に裁判所に行ったり、回収の交渉に行くのも後手だ。支払いが一度遅れれば、基本的には美味しそうなクライアントでも、即時撤退をしなければ駄目だ。

後手に回ったら労多くして実は少ない。

事が起こってからの対処は全て後手であり、最終的に良い着地点を見いだすのは難しい。

先手の話しをする。

先手は未来を読んで取るのではない。市況の良さに溺れず、自らが目指す未来に果敢に挑戦し続けることによって取るのだ。

基本的に未来の事を読める人間などいない。大手のシンクタンクだろうが、有名なアナリストだろうが、未来を読むことは出来ない。可能性レベルのオプションを列挙することは出来るが、タイミングと選択肢の絞り込みが甘い予想など無価値だ。

だから、未来を読んで先手を取るというスタンスは理論上成立しない。未来を読むのではなく、本質に沿えば良いのだ。

例えば、成長をし続ける市場も国家もあり得ない。好景気が二十年も続くこともあり得ない。競争力がある産業を創造できなければ、その国家は枯れていく。これらは予想ではなく、物事の本質だ。本質だから、必ず現実の事として訪れる。

本質に沿って考えれば、好景気に気を緩ませる事など出来ないはずだ。

また、他社に抜きんでる個性は、問題の対処からは生まれない。主義主張を持ち、その主義主張を実現すべく、全力で事業に邁進するから、他社と違う姿を実現出来るのだ。時間をかけ、労力をかけて個性を生み出す事が出来るのだ。

090508_b.jpg繰り返す。

先手は未来を読んで取るのではない。そんなちょこざいな動きで先手が取れるなら、大企業が衰退する事はない。大手各社は、金をかけて人を注ぎ込んで正確な未来を予測しているはずだ。それが出来ないから今の市況があるのだ。

先手とはあくまでもクリエイティブかつ継続的な取り組みの先にある。右を見て左を見て、自らの個性を確認するのではない。ひたすら前を見た人間だけが、個性を確立し、先手を取ることが出来る。他者が真似の出来ない姿を創造出来るのだ。

最後に先手についても、もう一つだけ語りたい。

多くの企業、個人が先手を取るためには、一時期常識を越えたハードワークを受け入れなければならない。先手を打ち、未来に対する競争力を確保すると同時に、我々は今も生きなければならない。逆に言えば、今を生きる、今の収益を上げる仕事の上に、未来の為の仕事を乗せなければならない。

先手のサイクルを確立するまでは、通常の社会人の倍の仕事をやる覚悟があって、初めて先手が取れるのだ。

一旦先手のサイクルに入れば、仕事は面白いように回る。

社員の士気が落ちた後に、社員の士気を上げる為の制度を作ったり、イベントを開催しても、思ったほどの効果は得られない。嫌な感じのしらけた空気が流れるのが関の山だ。本来、企業がビジョンに向かって、一点の曇りもなく攻め続け、それぞれが役割を持ち戦っていれば志気が落ちる暇など無い。この状態があるなら、先手が取れているのだろう。

090508_b.jpg個人的な意見を言わせてもらえれば、一時期のハードワークなど大した苦境ではない。本当に苦しいのは、一生継続しなければならないビジネスにおいて、後手に回って無意味なストレスに苛まれることだ。対処に追われ、身にならない労を払い続けることだ。それが二十年も三十年も続くことだ。

先手は一朝一夕には取れない。即席に出来る事は「対処」であり、対処に追われることを後手と言うのだ。非常時は、誰でもそこそこは頑張る。先手を取るには、平常時に理性によって、自分を駆り立てなければならない。それが出来なければ、一生後手に回り、出口の無いストレスに苛まれるしかない。

若い君達は、いずれの選択も可能だ。先手を取って人生を制する事も、後手に回って後悔の念を抱え生きることも。

2009年05月07日 14:46

新人研修inベトナム

新人研修
昨年度の内定者研修にて、勝利したチームのベトナム研修が終了した。現地に出向中の若山社長と打ち合わせも出来たし、研修自体も成功裏に終わった。

私が生まれた頃は、1ドルが360円の固定相場であった。海外旅行などは新婚旅行で生涯一度行ければ良いほうだった。私が初めて海外へ行った頃も1ドルは300円近くしていたのではないかと思う。近年は日本の貨幣も強くなった。航空業界も自由競争の時代に入り、海外への渡航も驚くほど安く済む。

昨今では、大学時代に海外旅行へ一度や二度行く方が普通となってきた。社会人も長期の休みがあれば、気軽に海外へと渡航する。メディアも発達しているので、海外へ行っても大体予想通りの観光地がある。

二十年も前であれば、ちょっと海外に行って英語でコミュニケーションを取るだけでも刺激にはなった。私も社員の情操教育として海外旅行などに連れて行ったこともある。視野を広げさせ人格形成を、と言うわけだ。今考えると、短絡的だし効果は疑問だ。まあ、あの時代ならありかもしれない。

新人研修実際当時の社員旅行は、教育というよりは報奨と言う意味合いでメンバーに対して娯楽を提供していたように思う。遊びで海外へ行って得るものが無いとは言わないが、会社が教育費としてコストをかけるメリットは無い。

今回、メンバーをベトナムに連れて行ったのは、あくまでも研修だ。メンバーを成長させ、HWSの競争力を上げていく事のみを考え企画されている。真にメンバーの成長を実現する為には、研修の為にベトナムに行っても駄目だ。何かしらの成果を求めてベトナムで足掻くからこそ、成長を得ることが出来る。

エグゼクティブな層が将来の判断材料として視察などで海外へ行くのは価値があるが、性能を上げるための研修としての効果は視察では得られない。

今回参加したメンバーはベトナムに行く前から準備をし、現地の企業に対してHWSのプレゼンや、業務提携の提案などを行った。かなり過密なスケジュールだ。ベトナムの関連会社に対しては、先輩社員が日本で行っているモデルをベースに「テスト」についての教育も行った。システム開発の手順の中にある、日本とベトナム間の相違を埋め、開発の質を高めるのが目的だ。

新卒はHWS内で行われている社員研修についてプレゼンを行った。ベトナムのSIer各社も教育には力を入れているので、管理職たちには興味を持って頂いた。HWSの教育は日本でも特殊だと言うことは当然伝えておいた。社員達からしてみると、厳しすぎて遠慮したいところではあるだろうが・・・。

新卒も今回のベトナム研修中にかなりの成長があった。初回のプレゼンは関連会社内にて行ったが、自社のメンバーながらひどいものだった。相手の心理も勘案せず、ひたすら説明を続ける駄目なプレゼンの見本の様な内容だ。

新人研修まあ、経験のない新卒が海外に行って、ビジネスの場で初めてプレゼンを行うにしては、健闘した方だろう。世の中、一生彼らの様な経験をしないSEの方が多い。日本中のSE達と比べてプレゼンの出来が悪いわけではないだろうが、HWS的には基準からほど遠い。

次の日にはベトナム国内において業界最大手の企業への訪問予定があったので、このままではまずいという話になり、朝の四時までプレゼン内容をブラッシュアップしていたようだ。その成果もあり、次の日のプレゼンは未熟ながらもパンチの効いた内容となっていた。聞いている私は冷や汗ものだが、HWSらしく可も無く不可も無い内容ではなかった。

良い経験は人を作る。非日常的な経験が、彼らの感覚を飛躍的に成長させたのだろう。彼らはプレゼンの場において生涯忘れない記憶を得たはずだ。

観光で行く海外と、ビジネスで行く海外は全く違う。視察や観光でインドに行っても、インドが持っている本来の良さも悪さも体感できない。バックパッカーが謳うインドと、ビジネスマンが語るインドは全く違うのだ。どちらも真実なのだろうが、その国の未来を作る真実は、ビジネスサイドだろう。

ベトナムが現在迎えている社会的な状況も、ビジネスで関わらなければ感じられない。観光で他国に行けば、観光と言う側面からの現実は体感できる。しかし、それはその国の一部でしかない。観光の為に作られた一部でしかない。ベトナムの良さ、強さ、問題点はビジネスを介して継続的に関わらなければ見えてこない。

新人研修昨今では、多くの学生が海外に渡る。私の時代を考えればうらやましい限りだが、安直に海外に渡り、表面をなでて分かった気にならないことだ。「生きる」「その為に産業を作る」このテーマから逃れられる国家はない。産業を生み出す前線が、その国の「生きる」という事の前線なのだ。今を生きるという事であれば、世界中で各階層の人間が頑張っている。しかし、未来を生きるために産業を創る事は、各国のビジネス階層が受け持っている。

今を生きる為には、ODAなどの援助や、多くの観光客が落としていく外貨が必要だろう。しかし、未来を生きる為には確固たるパートナーシップの下に生まれるビジネスが必要なのだ。

我々にはビジネスパーソンとしての誇りがある。未来を担うビジネスパーソンとしての誇りがある。親善大使でも視察団でもない。ビジネスを創造するビジネスパーソンとしての気概を持ち、常に海外へと歩みを進める。国内でも事業に当たる。

今回の研修では、HWSのメンバーをその前線に置き、少しでもHWSが目指す未来を理解させられたなら、成功であろう。