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終身雇用という言葉がある。私の著書「生き残るSE」でも、これを目指したいと書いた。これは従来の終身雇用制度をなぞるという意味ではなく、成果主義をベースとして組織のパフォーマンスを最大化する為の新しい取り組みとして掲げている。
最近弊社のメンバーから「終身雇用という単語に違和感があります」と言う意見をもらう。HWSは一見トップダウン的な組織に見えるが、案外メンバーは私の言うことを聞かない。私の言葉が強いので、カリスマとして組織を統括しているではと思われがちだが実際は違うのだ。HWSのメンバーは、スイスイと自由に動いている。好きに言葉を吐く。
「終身雇用」という単語に違和感があるというよりも「雇用」の部分に違和感があるらしい。そう言われてみれば、私も強い違和感を持つ。既存に適切な言葉が無かったし、造語を作りすぎるのも主義に反するので「終身雇用」を主張してきたが、我々の取り組みはこの言葉が示すイメージではない。
本来、生涯を共にした方が組織の連携力は上がるはずだ。知識や経験も組織内に蓄積される。また、強い愛情を組織に持ち、それが生産性を向上させる。厳しい時代に粘りもでるし、攻守ともメリットは多い。
ただし、メンバーの意識が腐敗すれば、終身雇用を楯に仕事に手を抜き給料を上手く掠め取ろうという人間が増える。やってもやらなくても、給料は似たようなものだし首もきられない。やるだけ損だから、極力自分に負荷がかからないよう工夫する。昨今では、終身雇用がマイナスに働いた時のイメージの方が強いようだ。
これは「雇用される側」という受動的な意識がメンバーにあるからだ。最終的な責任は雇用主がとればいい、主張もしないが責任も取らないという楽な立場に自分を置くには、雇用という言葉は便利だ。雇用されるという言葉を上手く使う代わりに無くすものもある。自分のビジネスを自己責任で主体的に創る事は出来なくなる。
法律的な位置付けの問題ではない。意識の問題だ。
話を戻すが「終身雇用」という単語はHWS的に適切ではない。何か別の単語を探したい。まあ、「終身○○」的な単語が適切なのだろう。「生涯○○」というのもありだ。言葉は大事なので、適切な言葉を見つけたいものだ。
意味合いとしては、雇用ではなく同志が集うような姿がイメージできる二文字の単語が良い。同志が集い、生涯をかけて何かを成し遂げるようなイメージの単語を充てたい。それがHWSの本質に近いだろう。現実の社内の体制にもリンクするはずだ。
今日がHWSも年度末日である。今年度を振り返ると大変な事も多々あったが、結果的には多くのメンバーが成長に繋げた一年であったと思う。HWSが目指すのは、各人が自分の意志で縦横無尽に事業を展開する自由さと、規律ある強力な組織を同時に実現する姿だ。
組織化に注力し過ぎると、官僚的組織なり生産性が落ちる危険はある。逆に自由を強調し過ぎれば、連携力が落ちたりサービスの品質がばらつく可能性がある。
この二つを同時に実現するには、メンバー一人一人が意志を持つことだ。思考停止の中で組織作りに注力しては、作業効率が上がっても付加価値の高いサービスは生み出せない。各人が最強の組織とは何かを考え、そのイメージを持ち役割を演じるなら組織の一端を担うことに疑問もストレスも生まれないはずだ。
先日、グーグルの社長とお会いする機会があった。グーグルのエンジニア達のキャリアパスなどについて質問をした。グーグルとしてのスタンスを徹底し、各エンジニアの未来も創っていくというのが現状の答えなのだと感じた。
外から見るとグーグルは非常に自由で緩い社風に感じる。エンジニアのクリエイティビティを最大限に発揮させるために、作業的に追い込まない姿がある為だ。さらに事業スピードを最大化する為に、完全にフラットな組織を志向しているという。俗人的な管理工数を減らし、余計な決裁は仰がず報告などはクラウド上に上げていく。各メンバーは自由に自己判断で動ける。結果、事業スピードは素晴らしいがドキュメントに目を通したり、報告を書いたりする量が膨大に増え大変だとおっしゃっていた。ある意味、各々が自らを管理し、自由を失っているようにも見える。俗人的管理は減ったが、管理されていない訳ではない。
大事なのは、人から強制された管理なのか、その文化や制度に惚れ自ら進んで自らを管理しているかの違いなのだと思う。ハードワークもそうだ。誰かに強制的にやらされているのか、自分から自然にやっているのかによって、辛さも生産性も変わってくる。
誰かが管理するのでは、HWSが理想とする組織にはたどり着かない。グーグル的な自由さと、統率された鉄の組織を併せ持った姿を実現するには、構成する全メンバーが意志をもって進んで役割を背負わなければ駄目だ。この道は恐ろしく厳しいが、高みを目指さねばHWSの存在意義はない。
一人一人が意志持つ。一人一人が主義主張を持つ。その上で、自らHWSにおける役割を定め、組織の一部と化す。後に最強の組織を実現する。我々が進むこの道においては、大きく歩みを進める一年を過ごしてきたのだと思っている。