会長ブログ(株式会社ヘッドウォータース代表取締役:篠田庸介)

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2010年06月30日 19:28

交差

成熟市場の日本を尻目に、日系各社はアジアへの投資を進めている。製油所の建設や太陽発電など、数千億円規模の大がかりな投資も次々に決定されているようだ。

中小企業もアジアへの感心は高い。巨大な中国市場は当然として、市場としては未成熟だがベンチャーでも参入の余地が十分あるベトナムやカンボジアなども、頻繁に話題に上る。しかし、実際海外市場に進出しようと思っても、多くのベンチャー企業には数千億円の投資資金などなく、スモール・スタートを前提としても負担は大きい。

ただし、ビジネスにおいて時期を失すれば戦いは規模の世界へ流れてしまう。ベンチャーの優位性は言うまでもなく、そのチャレンジャースピリットが生み出す、攻撃性とスピードだ。市場自体が草創期ならば、この武器は圧倒的な力となるが、市場が成長し成熟期を迎えれば力を持つのは規模だ。本来ベンチャーが新興市場を攻めるなら、早すぎてもコストがかさむので難しいだろうが、遅くては話にならない。基本は前傾で攻めなければ勝機が見えない。

成長市場において、競合という概念は必要無い。市場は膨張の一途をたどる。増え続ける市場をそれぞれが切り取ればよい。切り取っても、切り取っても、また増えるのだから競合を意識するより、マーケットの動向を注視し、目の前にある領土を刈り取る事に専念すべきだ。

hws100701_a.jpg以前、日本版ITパークついて書いた。先日、国会議事堂内にてITパークについてのプレゼンを行い、いくつかの提言もした。このITパークは、日本企業のリソース確保を目的としているのではない。最終的にはITにおいて日系各社が他国のマーケットに進出する足がかりを創る事に意義がある。競合という概念を外し、日本のベンチャーやアジアの各企業の連合軍で市場を作り、その果実を分け合うイメージだ。

ベトナムで展開しているLTT社も、テンポラリーな利益を期待して運営しているのではない。そもそも、ベトナムの貨幣価値である程度成功しても本体に対するインパクは少ない。LTT社は、日本中の中小ベンチャーがアジアに進出する為のインフラとして作り込みたい。

HWSにおけるLTT社の存在意義は、日本市場で競争力を持つためのバックボーンではなく、グローバルマーケットで戦うための足がかりとしたい。よって、競合は考えず多くの中小企業が自由に使ってくれればよい。聖域無くあらゆる選択を考え運営して行く予定だ。

これからは、アジアの中だけでもマーケットもリソースも複雑に交差するだろう。

今朝方、人材系ビジネスに従事されている方と話す機会があった。一昨年のリーマンショック以来、多くの人材が職を離れ、未だに次のフィールドを得られていない。その中には今までの経験を新興国で活かしたいと考える方もいるようだ。多少なりともHWSに海外経験があると言うことで、その可能性を打診されたので、簡潔に私見を述べた。

hws100701_b.jpg海外に進出する企業は大なり小なりコストメリットを求めている。特にオフショア開発の世界では、優秀でコストの低い人材を確保し、日本マーケットの開発をこなすのが目的となる。普通に日本人の人件費を開発コストに乗せると、そのサービス自体に競争力が無くなる。国にもよるが、100名規模のSIerがあったとして、日本人の管理者をおける人数は1名が限界だ。それ以上になると経営は極めて厳しい。

よって、自分の経験を活かし海外で活躍したいなら、生活できるギリギリまで報酬を落とす覚悟が必要であろう。成果が上がれば今以上の収入も得るが、成果が無ければ現地で生活出来る最低生の収入で耐える覚悟がなければ、海外に出たいなどと言わない方が良い。条件を満たし海外に出たいなら、大手企業に残留し、辞令を得て赴任する道を志向すべきだ。

サラリーマンを長年続けて来た人が、市況が悪くなりリストラを行った先に、その報酬や待遇を維持し、発展的な仕事に取り組める場所などない。そんな場所が潤沢にあるなら、そもそも企業もレイオフなどしない。自社で利益が上がるような仕事を与え雇用を維持した方が、問題も少ない。

経験から培った技術は素晴らしい。しかし、仕事に対するスタンスを再構築しなければ、次の世界には進めない。事業家として長年過ごして来た私からすれば、生活出来る最低限の報酬があり、海外でチャレンジングなビジネスに取り組めるなら、全く過酷には感じない。逆に、なんて厚遇なのだろうと思ってします。まあ、サラリーマン的な観点からすれば、この面に関して私の基準が低いのは重々理解している。

現実問題として、この様に成果にコミットするというスタンスが取れるなら、経験を積んだ高齢の人材が、再度活躍する場は海外にも多く存在する。これからも増え続けるだろう。リソースが国を越えクロスしていくだろう。

日本で作られた化粧品や一部の食品は海外で人気なのだという。日本製品の品質、安全性は高い評価得ている。よって、日本から新興国に輸出される製品も十分ある。製品も国を越えて行き来する。

マーケットもリソースも交差する中で、自らの立ち位置を見失わず、過去にも囚われず、ビジネスを展開する力が、我々日本人には求められているのかもしれない。