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先週末は6社対抗のフットサル大会もあり、参加したメンバー達は未だに筋肉痛を抱えているようだ。サッカー好きが高じて、この時期はワールドカップネタが多いのはご容赦願いたい。四年に一度しかないので、くどいというご指摘はあえて聞き流す。
実際、ワールドカップを見ていて、得心する事は多い。サッカー選手もある種の技術職なので、SEの世界と重なる部分がある。
今回のワールドカップで最も個々の技術が高い国はと聞かれれば、ブラジルと即答する。これは私の好みもあるが、世界的に一致する見解だろう。タッチの柔らかさ、ダイレクトパスの連動性など、見ていても美しい。ボールを止める、ボールを蹴るというシンプルな動作に高いクオリティを感じる。
しかし、必ずしもコンスタントにブラジルが勝利を収める訳ではない。メッシやC・ロナウドなどの圧倒的なパフォーマーを要したチームも今は決勝トーナメントから消えている。
サッカーにおいて技術は強力なアドバンテージになるが、絶対ではない。そもそもサッカーとは技術力の高さを競う競技ではない。技術力も一つの要素ではあるが、走力、戦術なども含めた総合力を武器に自陣のゴールを死守し、相手のゴールに一本でも多くのシュートを叩き込む競技だ。技術力はそのための手段に過ぎない。
エンジニアの世界でも、この本質を理解している人間は少ないのではと思う。少しでも技術力を向上させたいというのは、サッカー選手の性なので当然である。それ自体は間違いではない。しかし、プロの世界では、内向きに向上した技術は評価されない。あくまでもチームの勝利を導く技術だけが、評価の対象となる。
私は、エンジニアはビジネス視点を持って日々の業務に当たれと訴え続けている。これに対して、「エンジニアは技術があって、なんぼでしょう。」と反論的な意見もかつては多く聞いた。このレベルでは、話しが全く噛み合わない。
サッカーに例えれば明白だ。「サッカーはチームの勝利目指さなければ駄目だ。」と言う主張に対して、「勝利を考えるより技術を上げなければ駄目でしょう。」と言われている様なものだ。個々が技術を限界まで上げるのは、プロとしては当然であり、力説するべき事ではない。プロなら、他者から抜きんでるべく技術の錬磨を徹底すべきだ。その上で、個人の技術を誇るのではなく、チームの勝利を仲間達と目指すべく戦略を理解し、自らの役割を担うのだ。
話しはちょっと変わる。
ワールドカップを見ていて楽しいのは、国毎のサッカー文化がプレーに強く出るところだ。クラブ選手権では、練習量や試合数を多くこなしたチーム同士の戦いなので、組織としての完成度が問われる。ワールドカップは期間限定であり、チームのメンバーが集まれる時間にも限界がある。組織の成熟度で比べれば、クラブチームは代表チームを物理的に凌駕して当然である。
各国の代表チームに期待しているのは、様々な戦術のベースとなる国毎のサッカー文化を主張してくれることだ。ブラジルのサッカーとはいかなるものか。スペインは、オランダは。同じサッカーではあるが、根底に流れる理念が違えば、同じサッカーをしていても違う表現となる。細かいパスを繋いで切り込んでいくのが美しいと思うか、大きなサイドチェンジでデフェンスを崩し、空中戦で競り勝って得点するが強いサッカーだと思うかは、その国が育て上げてきたサッカー文化による。
色々なバックボーンを持った選手を世界中から集めるクラブチームよりも、ワールドカップに出場している代表チームの方が、価値観を同じくしやすい。ベースとなる国毎の理念に対し、全員が強い共感をもって試合に臨める。自然と国毎のカラーが明確に出る。サッカーに対しての価値観がでる。そこがワールドカップの醍醐味であろう。
戦術の基礎には理念がある。技術の向かう先は、チームの勝利である。
こんな事を感じつつ残り僅かとなった四年に一度の祭典を楽しみたい。