会長ブログ(株式会社ヘッドウォータース代表取締役:篠田庸介)

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2010年08月09日 13:25

喉元過ぎても・・・

昨年に比べれば、業界の市況はかなり良い。開発の手数が足りないと言う話しを各所から聞く。業界のデフレ化が止まっている訳ではないので、業績が著しく回復するのはまだ先だろうが、多くの経営者は元気を取り戻している様だ。

喉元過ぎれば熱さ忘れると昔から言われる。この二年の市況からエンジニアは何を学んだかが大事だ。今まで積み重ねてきた事の延長線上には、安定も繁栄も無い事を学べたのなら、結果的に価値ある時間を過ごせた事になる。

止まっていたプロジェクトも動きだし、優秀なSEほど日々の開発に忙殺されるはずだ。その中で次の一手が打てるかどうかで未来が変わる。当然、タスクが増えるので楽ではないが変革という単語は、その程度の負荷を覚悟しなければ吐ける言葉ではない。未来を変えることは、無理ではないが当然相応の代償が必要となる。

HWSの主張は微塵もぶれない。この程度の市況の上下、構造の変化はこの先二十年を考えれば何度も来るだろう。その度に悲観に明け暮れても、社会を呪っても幸せにはなれない。次回には、楽に苦況を乗りきるためにも、競争力のある姿に己を作り込む必要がある。

かつての途上国の台頭もあり、より日本の存在価値は何かと問われるようになった。今までと同じレベルの業務をしていては、他国のエンジニアと区別がつかない。区別が付かなければ、仕事を失うか途上国のエンジニア並に給与を下げるしかない。段階的にこの現実が突き付けられるだろう。

実際、ベトナムと日本のエンジニアの間には10倍近い給与差がある。ベトナムのエンジニアの給与は、経験を積み国力が上がると同時に上昇するだろうが、日本人のエンジニアの給与は付加価値を生めない限り下降の一途をたどる。下降という概念が間違いかもしれない。差が無い以上は、途上国での所得と比べて、日本人の所得も平均化されていくだろう。下降ではなく、適正な平均化がおとずれるのだ。

先日、HWSと同業界で創業し30年以上も経営されている大先輩が愚痴をもらしていた。今年になっても根本的に市況は良くなっていないと彼は言う。今まで仕事を流してくれていた大手ベンダー内に変化が起こっている。極力、大手ベンダーも自前で開発をするようになり、仕事が下まで流れてこない。大きな案件は、一度は必ずオフショアを検討する。それらを経て中小まで来る案件は厳しく、数も少ない。そう嘆いていた。

恐らく、過去の業態に留まれば、その事実を正面から受け止めるしかない。事実を知り、変化に挑戦できるなら、次の出口も生まれよう。

HWSも創業期に比べると多少は名前も売れてきたらしく、HWSの取り組みをフォローしてくれている経営者の方も増えている。市況に流されず、何かをやってくれるだろうという期待を感じる。

我々は業界の変革、エンジニアの革新を訴えここまで来た。これが微塵もぶれることはない。そして、少しは期待もされるようになってきた今、我々は期待に応えるべく仕掛けなければならない。期待されると言うことは、同時に影響力も持てるという事だ。この期待を背負ってこそ、HWSのミッションを全う出来る。

体質は永久にベンチャーで良い。しかし、いつまでも泡沫企業のままで世に大きな影響を与えられるはずもない。小さくまとまって、ちょっと黒字を出しつつ運営し続けては、HWSの名がすたると言うものだ。我々は商才も乏しく、凡たる人間の集まりだが、その我々が一線を突破してこそ世に変革の是非を示せるのだ。形は小さいが、小さいからこそアグレッシブに仕掛ける事も可能だ。

前述したが、日々の業務に忙殺されている中で次の一手を打つのは至難の業だ。しかし、それが至難でなければ誰でも先手を打てる訳で、「業界を改革するHWS」など必要ない。それぞれが次の一手を勝手に打てば良いだけだ。しかし、次の一手を打つのは忍耐と勇気の双方が揃わねば無理だ。

自分が歩んできた過去に、善し悪し無い。過去から何を学んだのか、その過去を踏み台としてどんな未来を描くのかに意味がある。何も学ばなければ、無為の時だったと言う事だし、何かが生み出せれば全ては正当化できる。

これはHWSの話しではない。日本中の全エンジニアに問われていることだ。厳しい市況から何を学んだのか問いたい。何を学び、未来をどう生きるかを問いたい。

HWSはエンジニアの次のステップは技術を使ったビジネスマンたることを提唱している。同時に、我々は組織戦において他国の同業他社に対して、優位性を見いだす道を歩む決意をした。これは一つのオプションに過ぎない。我々が正義と信じて進む一つの可能性である。

他のエンジニア達は、他の同業の企業群は、各々が正しいと思う変化に挑めばよい。忍耐と勇気を武器に、新たな道を踏破すればよい。正解は一つではなく、大事なのは自分が魂を込められる道を全力で歩むことだ。

これから大きな波は何度も来るだろうが、その度に輝きを増す企業を創りたい。苦況を喜びとし、前線で戦うタフな人材を育てたいものだ。