会長ブログ(株式会社ヘッドウォータース代表取締役:篠田庸介)

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2010年08月12日 15:43

気概

世間はお盆休みのせいか、新宿の街並みもやや閑散としている。その傍らで円は1ドル84円台に突入している。15年ぶりの高値との事だ。

昨日懇意にしている中国人経営者と話す機会があった。日本での生活も長く、日本を内外から観察出来るので、日本に対する論評は鋭い。日本の政治に対しても率直なご意見を持たれている。極論で言えば日本の法人税など0%で良いと言う。法人税を下げ、産業を強くし、その他の財政収入を増やせば良いと言う意見。一つの見識ではある。発想が極めて経営者的であり明確だ。対面や過去のしがらみに囚われず、実を取る為に必要な事を考えている。

日本の政治家から経営的なセンスを感じた事は、未だかつて無い。実を一直線に追い、あらゆる聖域を打破する強さを政治家に求めたいのだが、無理な要求なのだろう。日本国を経営しないのなら、税収を使うだけの団体が政府だ。コストセンター出身者のみで経営陣が構成された企業を想像して欲しい。とてもでは無いが、運命を預ける事は出来ない。

今の日本には打つ手が山ほど残っている。資金も技術も、社会的な信用も含めて、これだけの体力がある国なのだ。戦う為の武器はある。逆に嘆く部分の方が極めて少ない。リスクはどの国にも、どの時代にもある。どこにでもあるリスクを取り上げて、悲観する行為が本来はナンセンスだ。リスクや社会不安が無いとは言わないが、それは日常だ。常に我々の傍らにある。見ようとするかしないかの問題だ。

日本が頂点を過ぎて下降している様な論調をよく目にする。当然、その可能性もあるだろうが、逆に成熟してより強い経済を創る可能性もある。それを決めるのは我々だ。市況ではない。

国家レベルだと規模が大きすぎて、実感が湧かないかも知れない。自社に照らして合わせて考えれば良い。所詮、成功も衰退も人間の意志によって決めるしかない。自社が成熟の頂点にいるのか、草創期を駆け上がっているのか決めるのも他人ではなく当事者達だ。

ビジョンを持ち、成長を志向すれば、相応の動きをする。チャレンジもする。仕事量も増える。今が頂点だと思えば、余裕を持って維持を目指す。先にありきは人の感情であり、物事に対する態度である。

ただし、決められるのはあくまでも「当事者」だけだ。当事者であることを放棄した多くの社会人や国民は、他人の思惑で流されるしかない。自らの運命を自らで切り開く資格も無ければ、能力も無い。全てを自ら放棄したのだ。

現在世界中でエコの問題が叫ばれ、環境保全が重視されている。中国ですら、既に成長だけに注力をしている訳ではなく、環境基準を満たさない企業を閉鎖するなど、未来に向けての対策を打ち出している。

限られた資源を使い人類は生きなければならない。水、燃料、土地、あらゆる資源は有限だ。そして、人類は増え続けている。この時代において、もう一度日本が世界の先頭に立つ時が必ず来る。

狭い国土で作物を栽培する技術は、恐らく日本が世界で最も進んでいるだろう。大規模な農園運営のノウハウは日本に無いが、同じ土地からより高品質な穀物を大量に栽培する技術は世界でトップなのではないだろうか。

水の淡水化もしかり。太陽電池やハイブリッド車の製造などでも世界をリードしている。端的な技術が凄いというよりも、日本人の国民性に根付いた品質に対する要求の高さが、全ての製品を生み出しているのだ。この日本という東洋のガラパゴスにて、独自の進化をたどった日本人達が世界に対して貢献できることはまだあるはずだ。

戦後からバブルまでの50年間は、時流に乗っての繁栄だと規定したい。実力もあったが、基本は勢いだ。日本が進む次のステージは民度の向上をベースにした、成熟した強さだ。これは勢いではなく、地に足を着けた確かな強さである。

日本は頂点を過ぎた、斜陽の国家ではない。真の実力を育み頂点に向かう途中にある。そう信じて、これからの経営に当たりたい。人の育成に当たりたい。

決めるのは、他国でも市況でもない。我々プレーヤーが自らの意志と動きによって未来を定めるのだ。