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日本の財政危機の深刻さは、周知のところだ。国民の預貯金残高が国債の発行額より多いので大丈夫だと言う意見もあるが、それも臨界点に近づいている。国家のバランスシートを見ると、案外資産があるじゃないかと言う意見もあるが、現金化出来ない資産は財政危機に際して役に立たない。皇居の土地に高値が付いたところで、これを諸外国に売って現金化を図るという選択はあるまい。つまり資産価値はあっても流動性はない財産で破綻は回避できないと言う事。この辺は会社経営と同じ。
近年の国家破産と言えばアルゼンチンを思い出す。昨日、アルゼンチンのデフォルトをアルゼンチン国内にて体験した方からお話を聴く機会があった。この話しは極めてリアルでもあり、今後の日本を占う上で参考にもなった。示唆に富んだ内容であった。
「今思えば」という事はよくある。アルゼンチンで言えば、もっと早くドル連動を放棄し、金融政策の裁量を取り戻せば打つ手があったのにと後世の人間は思う。しかし、アルゼンチンの優秀な官僚達は、デフォルトにいたる前に舵を切ることが出来なかった。
例え話しになるが、色々な資料を調べれば調べるほど、日本は何で勝てるはずもない太平洋戦争に突入したのかと思う。当時の日本人はなんて馬鹿だったのかと感じる。しかし、当時の人に話を聞くと「アメリカがあそこまで国家を挙げて臨戦態勢になるとは思わなかった。」と言う。
同じ様に、十年後に全て返還するからと、昭和五十年に初めての赤字国債を発行した日本が、様々な事由により現在の様な膨大な債務を背負うとは誰も予測出来なかったし、債務を無くす為の舵を切ることも出来なかった。
選挙に勝つために、民主党が国民に対して約束した社会保障案はいくつもある。それを実現する為の埋蔵金など無く、民主党政権になってからの国債発行額は、過去最大規模で増え続けている。間違い無く言えるのは、人口の減少が加速する日本において、この流れが数年続けば破綻は確実だと言う事だ。
破綻を避ける手段は簡単だ。歳出を減らし、歳入を増やすしかない。これを徹底する以外に道はない。歳入を増やす為の策はいくつもあるが、不確定要素も多く、「絶対に増える」と言う手はない。一方、歳出を減らす事は、物理的には簡単だ。優先順位を付け、予算をカットするだけだ。
これも会社経営と同じ。
先日、海外の赤字支社を次々と黒字された方と話したが、収益を伸ばす仕組みは色々と研究するにしろ、結局は勇気をもってコストを切り捨てて行くしかないと言っていた。
何かを変える為に必要なのは、難しい理論ではない。誰でも分かっている事を断行する勇気と行動力のみだ。この確信をアルゼンチン破綻の話しを聴きつつ得る事が出来た。
今の日本が財政的に立ち直る手は、私ごときでもいくつか思いつく。恐らく、ほとんどの政治家も、官僚も、いくつもの財政再建の手段を持っているだろう。
しかし、その手段を断行すれば、誰かが煮え湯を飲まねばならぬ。誰かに煮え湯を飲ませ、改革をオープンにフェアに断行すれば、日本の債務は消える。我々の次の世代に、言われ無き負担を継承する必要は無くなる。
政治家は万能ではない。彼らの仕事は一命を賭して、改革を断行する事であろう。それが出来て、初めてその存在が輝く。
同じ様に経営者も万能ではない。
右肩上がりの社会の中で、自分達の食い扶持をチョロチョロと稼いでいるだけなら、強いリーダーシップもいらない。しかし、激変する経済の中で強い組織を作り、新しい産業を生み出すには、いくつも危機を乗り越えるべく断固たる意志が必要となる。
びっくりする様な発想力もいらいない。学者レベルの経済知識もいらない。当たり前の真理を知り、勇気を振り絞り何かを断行することこそ、リーダーの本領であり、リーダーが輝く時なのだろう。