開発導入実績
ロボットプラットフォーム
フィジカルAIを
「現場で動かす」ために
※本ビジュアルは Adobe Firefly を用いて作成したイメージであり、実在の風景・人物とは異なります
開発導入実績
ロボットプラットフォーム
フィジカルAIを
「現場で動かす」ために
※本ビジュアルは Adobe Firefly を用いて作成したイメージであり、実在の風景・人物とは異なります
リモートロボティクスとヘッドウォータースが挑んだ、
人とAIの新しい役割分担
ヘッドウォータースは、リモートロボティクスと約4年にわたり、リモートロボット操作基盤「Remolink」の開発・運用・社会実装に伴走してきた。人とロボットの協働プラットフォームを、構想段階から実運用フェーズまで両社で積み上げてきたパートナーシップは、フィジカルAI領域が本格化する市場のなかでも、際立ったバックボーンとなっている。
本プロジェクトはその延長線上として、「Remolink」とヘッドウォータースのAI技術を組み合わせ、「音声でAIに相談しながらロボットを動かす」フィジカルAIの実証環境を短期間で構築したものである。「AIが完全に自動で動く」のではなく、「人が判断し、AIが実行する」という運用モデルを具体化した取り組みであり、その成果はMicrosoft AI Tour Tokyo 2026でも紹介された。

リモートロボティクス株式会社(Remote Robotics Inc.)さま
川崎重工業株式会社とソニーグループ株式会社が50%ずつ出資し、2021年12月に営業を開始したリモートロボットプラットフォーム事業の合弁会社。
産業用ロボットで半世紀以上の実績を持つ川崎重工業と、センシング・画像処理・通信技術を強みとするソニーグループ。ロボティクスとAI・センシングという両社の中核技術を結集した、日本でも稀有な体制で「人とロボットの新しい働き方」の社会実装に取り組んでいる。
サービス
技術
※このページの内容は2026年7月時点の情報です
リモートロボティクス株式会社さまの課題
ロボット活用はオンプレミス前提の文化が根強く、クラウド連携への心理的・技術的ハードルが高い
製造現場では99%以上の高精度が求められ、生成AI単独では実運用レベルに到達しにくい
フィジカルAIへの関心は高まる一方、目的が曖昧なPoCに留まり実装まで進まないケースが多い
AIが正しく動いているかを人が安心して任せられる仕組みがまだ整っていない
完全自動化か完全手作業かの二者択一に陥りやすく、人とAIの最適な役割分担が難しい
解決アプローチ(プロセス)
「完全自動化」ではなく、人とAIが協働する運用モデルを設計
製造現場で求められる99%以上の精度を踏まえ、AIによる完全自動化を目指すのではなく、「人が判断し、AIが実行する」役割分担を前提に設計しました。人とロボット、人とAIが協働する第三の選択肢を提示し、現場で実践可能な運用モデルの確立を目指しました。
Azure AIを活用し、1週間で実証環境を構築
Microsoft AI Co-Innovation Lab KOBEの中でHWS Agent Campを活用し、短期間で実証開発を推進しました。AzureのAIサービスを組み合わせながら、構想段階からわずか1週間で動作するプロトタイプ環境を構築し、フィジカルAIの実現可能性を検証しました。
独自の「相談UI」でAIを安心して活用できる仕組みを構築
生成AIが判断に迷う場面では、人へ確認を求める「相談UI」を実装しました。AIにすべてを任せるのではなく、状況を共有しながら人が判断に関与できる仕組みを取り入れることで、現場で求められる信頼性と安心感の両立を図っています。
音声を起点とした直感的なロボット操作を実現
Speech-to-TextやVoice Live APIを活用し、音声によるロボット操作環境を構築しました。「開始」「投入」「排出」「再実行」などの一連の作業フローを自然な会話で指示できる仕組みにより、人とロボットの新しいインタラクションを実現しています。
クローズドループ設計と高速な試行錯誤で実用性を追求
取得・判断・実行・フィードバックを繰り返すクローズドループ型のアーキテクチャを採用しました。設計を固定化せず、短いサイクルで検証と改善を繰り返す開発スタイルにより、最新のAI技術を取り込みながら実用レベルまで迅速に磨き上げています。
お客様×担当者インタビュー
リモートロボティクス 渡邊様、横田様と、
ヘッドウォータースの小林に、4年にわたる関係性とプロジェクトの裏側を聞きました。
4年の取引、最初はAIではなかった
渡邊様:いえ、最初は本当にロボットの遠隔操作プラットフォームというところだけでした。AIの話が出てきたのは、ここ1〜2年です。この数年で、取り組みのテーマが大きく変わってきたと感じています。
渡邊様:実は、今回の取り組みは既存案件があったわけではないんです。これからの時代の流れを読み解き、ロボティクスプラットフォームの社会実装知見があったので、やってみよう!という感じで動き始めました。弊社のパーパスが「すべての人々が社会参加できるリモート社会の実現を目指し、新しいワークスタイルを提案する」というもので、人を中心に、リモート社会の実現を大事に取り組んできました。これまでは「人とロボットをどう組み合わせるか」という考え方だったのですが、そこに「一部はAIでもいいんじゃないか」という議論が出てきて。AIが入ったときに本当に人がいらなくなるのか、それとも役割が変わるのかを、まず自分たちで検証したかったんです。
人が遠隔から必要な判断や指示を担い、ロボットの自律動作と組み合わせる『人とロボットの役割分担』という第三の選択肢を提示できたことが、大きな意義だと考えています。
リモートロボティクス株式会社(Remote Robotics Inc.)
プロダクト開発部 部長
渡邊 一弘 様
きっかけは、マイクロソフトさんからの Microsoft AI Co-Innovation Lab KOBE(神戸ラボ)への誘い
渡邊様:きっかけは、マイクロソフトさんとヘッドウォータースさんから、ほぼ同じタイミングでお話をいただいたことでした。マイクロソフトさんからは神戸ラボで5日間のスプリントを通じてプロトタイプを作り上げるプログラムを、ヘッドウォータースさんからはMicrosoft AI Tourへの応募を、それぞれご紹介いただいて。両方の話が重なったことで、「これはやってみよう」と踏み切れたんです。
小林:神戸ラボでの3日間で、もう大枠ができていたんですよね。マイクロソフトさんからも要所要所で最新のポイントやTipsを共有いただきながら、我々の方で一気に実装を進めていく形で。短期間で形にできたのは、この密度の高い進め方があったからだと思います。
1週間でAIを組み込むという経験
渡邊様:個人的には、1週間というスパンでAI機能を組み込めるプラットフォームがあること自体が大きな発見でした。AzureのAIサービスを組み合わせて、短期間で「動く形」までもっていけたのは大きな学びです。
神戸のMicrosoft AI Co-Innovation Labで、ヘッドウォータースさんのハンズオン型プログラム「HWS Agent Camp」を活用しながら、共同で開発を進めました。ヘッドウォータースさんのエンジニアも現地に入って伴走してくれて、リモロボ側からは渡邊・横田が参加、小林さんはリモートも交えて対応するという体制で進められたのが、スピード感につながったと思います。
小林:リモートとオンサイトに分かれてはいたのですが、ちょっとした調整事項もテキストで気軽に飛ばし合える関係性ができていたので、そのスピード感のまま開発を進められたのが大きかったです。長くお付き合いさせていただいているからこその進め方だったと思います。
設計より実装。短いサイクルで作り直す
小林:神戸ラボのあとは、基本的にトライアンドエラーでした。最初はSpeech-to-Textを使ってみて、次にVoice Live APIを試して、というように。アーキテクチャをがっちり固めるよりも、まず手を動かして検証するスタイルです。ある日に作ったものが、翌日には別の構成になっている、ということもありました。ドキュメントを書く時間があれば、もう1つ作って試す、というスタンスで進めました。
横田様:モデルの選定と精度のところが、特に難しいポイントでした。精度が高いモデルは応答が遅く、製造現場の作業に使うには遅すぎる。一方で、リアルタイム性のあるモデルは精度が落ちる。このバランスをどう取るかが大きな課題でした。Voice Live APIもモデルによって実装方法が変わったり、日本語のドキュメントがほとんどなく、英語のドキュメントを読みながら検証を進めました。しかも、Voice Live APIは当時まだプレビュー段階で、そこから少し経って、ようやくGAになったかどうか、というタイミングでした。通常の検討フローでは、まず選択肢に上がらない技術だと思います。
小林:先端アーキテクチャを取り込むにあたっては、公式リファレンスを読み解きながら、AI駆動開発のスタイルで一気に検証と実装を進めました。生成AI自体を開発プロセスに組み込むことで、最新スタックでも短期間で「動く形」まで到達できる。この進め方は、ヘッドウォータースとしての強みでもあります。
生成AIの応答はまだ100%正しいわけではないという前提があります。製造業は99%以上の精度が求められる世界なので、そこにギャップがある。そのため、AIに『分からないところは相談してほしい』という発想が生まれました。
リモートロボティクス株式会社(Remote Robotics Inc.)
エンジニアリングマネージャー
横田 力哉 様
「相談UI」という発想は、こうして生まれた
横田様:「相談UI」というワーディングは、自分たちで考えたものです。背景としては、生成AIの応答はまだ100%正しいわけではない、という前提があります。製造業は99%以上の精度が求められる世界なので、そこにギャップがある。そのため、AIに「分からないところは相談してほしい」という発想が生まれました。AIが分からない部分を人に聞いて、アドバイスを試して、学習していく。その相談のインターフェースとして、Remolinkを位置付けようと考えたんです。
小林:チャット形式があったからこそ生成AIが広がった、という側面があるので、同じようなインターフェースの考え方を、フィジカルAIにも持ち込んだ形です。
渡邊様:相談するという体験には、安心感があります。製造現場でAIが動いているときに、「今こういう画面が見えていて、こういう状況です」と状況を共有しながら相談してくれる。そういうプラットフォームを目指しているという点で、Remolinkの方向性とも合っていました。
「フィジカルAI」という言葉は、後からついてきた
小林:フィジカルAIの本質は「クローズドループ」だと考えています。AIが情報を取得して、判断して、行動して、また情報を取得していく。このサイクルを回し続ける構造です。以前のAIは「出力したら終わり」というオープンなループでしたが、閉じたループの中で動き続けることが、フィジカルAIの本質だと感じています。今回のプロジェクトはまさにそれを体現していたのですが、当時はフィジカルAIという言葉自体をまだ使っていませんでした。
渡邊様:フィジカルAIという言葉は、後からついてきた、という感覚です。神戸ラボの時点では使っていませんでした。結果的に、自分たちが取り組んでいたテーマと言葉が一致したのは、本質を捉えていたからだと思っています。
AIに丸投げしないために。「Physical AI Harness」への共感
横田様:AIを組み込んだシステムがちゃんと動くのか、そして、それを人が安心して任せられるか。この「安心感」を担保する周辺の仕組みは、まだまだ必要だと考えています。ヘッドウォータースさんがマイクロソフトさんのイベントで紹介していた「AIハーネス(Physical AI Harness)」という概念も、AIに丸投げするのではなく、人がチェックする仕組みを置くという考え方で、我々の問題意識と非常に近いと感じました。
「100% か 0%」の二者択一を超える
渡邊様:製造業や物流の現場では、「100%自動化」か「100%人作業」かの二者択一になりやすい状況があります。人が遠隔から必要な判断や指示を担い、ロボットの自律動作と組み合わせる「人とロボットの役割分担」という第三の選択肢を提示できたことが、大きな意義だと考えています。専門的な操作スキルを前提にしなくても、判断を返すだけで現場オペレーションに参加できる。これは、現場参加のハードルを下げる意味でも重要なポイントです。
フィジカルAIの本質は『クローズドループ』だと考えています。AIが情報を取得して、判断して、行動して、また情報を取得していく。このサイクルを回し続ける構造です。
株式会社ヘッドウォータース
インテリジェント・テクノロジー事業本部 ソリューションテクノロジー部 ジュニア・エキスパート
小林 右京
今後の展開
渡邊様:RemolinkをベースにしたフィジカルAIソリューションとして、ビジネスにしっかりつなげていきたいと考えています。すでにフィジカルAIに関心を持っていただいている企業も出てきています。
小林:最初から完成形を作るというより、お客様と一緒に課題を見つけながら作っていく、という形になると思います。クラウド・AI・現場が交差するこの領域は、まだ正解がない領域です。リモロボさんと共に積み上げてきた4年の延長線上で、これからも実装の中で答えを作っていきたいと考えています。
成果(After / KPI)
フィジカルAIの実用化に向けた、人とAIの協働オペレーションモデルを確立
「相談UI」により、AIを現場運用へ組み込むための新しいインターフェースを実証
Azure AIとRemolinkを組み合わせ、短期間で実証環境を構築・検証
リモート操作・AI・ロボティクスを融合した次世代プラットフォームの可能性を確認
製造業・物流業における「人が判断し、AIとロボットが実行する」新たな働き方を提示
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