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Microsoft MDASH
AIエージェントによるコード脆弱性の探索・検証・実証

MDASHの意味、仕組み、成果の読み方、Microsoft製品との連携、提供条件までを、技術・開発・セキュリティ・経営・監査の視点から整理します。
活用に向けた準備と運用設計は、フォワードデプロイ(現場実装)で支援します。

01/概要

Microsoft MDASHとは:コードの脆弱性を探索・検証・実証するマルチエージェント型AIスキャナー

Microsoft MDASH(コードネーム)は、Microsoft Securityが開発した、ソースコードの脆弱性を発見し、悪用できるかを検証し、修正の手がかりまで示すAIシステムです。名前は Multi-model Agentic Scanning Harness(複数のAIモデルを使うエージェント型スキャニング・ハーネス)の頭文字からきています。Microsoftの Autonomous Code Security チームが開発し、100を超える専門AIエージェントが役割を分担して、コードを調べ、互いの指摘を討論し、実際に再現して確かめます。

Microsoft社内では、Windows、Hyper-V、Azure、IDシステムといった大規模で複雑なコードの監査に使われています。顧客向けには、Microsoft Defenderと連携するコードスキャナーとして、対象の組織にプレビュー提供されています。以下は、Microsoftが公開している一次情報です。

MDASHの要点
正式名称 Multi-model Agentic Scanning Harness(コードネーム MDASH)
提供元 Microsoft Security(Autonomous Code Security チーム)
仕組み 100超の専門AIエージェントと、複数のAIモデルによる5段階のパイプライン
入力と出力 ソースコードを入力し、検証・実証済みの指摘と修正ガイダンスを出力
動作 読み取り専用。修正の適用は、開発者が承認する別の工程
提供形態 Microsoft Defender連携のコードスキャナー(プレビュー)
同名の用語について 「MDASH」は、文部科学省の「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度」の通称としても使われています。本ページが扱うのは、Microsoft Securityのコードスキャナー「Microsoft MDASH」です。

02/注目される背景

AI脆弱性発見の実用化:コード量の増大と、守る側・攻める側の発見速度

ソフトウェアの脆弱性には、守る側が見つける時計と、攻撃者が見つける時計の2つが動いています。現代のコードは大規模で相互依存が強く、毎日変わります。一方でセキュリティレビューは節目の時点で行われるため、出荷からレビューまでの間にリスクが蓄積します。MicrosoftはMDASHを、この時間差を縮めるための仕組みとして位置付けています。

→ コード量の増大:製品は大規模で相互依存が強く、毎日更新される
→ レビューの時点依存:出荷からレビューまでの間に、未確認の変更が積み上がる
→ 深いバグの発見難度:複数ファイルにまたがる寿命管理や並行処理の不具合は、パターン照合では届かない
→ 誤検知のコスト:指摘にはオーナーとトリアージが必要で、ノイズは全員の負担になる
→ 発見から保護までの時間:見つけてから顧客が守られるまでの時間を、縮める必要がある
→ AI生成コードの増加:コードの量と変更の頻度が増え、人手のレビューだけでは追いつきにくい
節目のレビューとパターン照合が中心の運用
  • レビューの時点と出荷の時点にずれがある
  • 複数ファイルにまたがるバグは、人手でも見落としやすい
  • 専門家の工数が、監査できる範囲の上限になる
  • 指摘が増えると、トリアージが滞る
AIが深く・早く・広く調べる運用
  • 開発の流れの中で、継続して調べる
  • ファイルをまたぐ推論で、深いバグに届く
  • 人が監査できなかった範囲に、調査を広げる
  • 検証と実証を経た指摘だけを、担当者へ渡す

03/視点別の理解

経営・セキュリティ・開発・基盤管理・監査・AI推進、6つの立場から見たMDASH

MDASHは、立場によって見える論点が異なります。自分の役割に近い視点から読み始めてください。

経営・事業責任者

未発見リスクを調べる手段

自社コードに潜む未知の脆弱性を、人手の監査より広い範囲で調べる選択肢です。Microsoftは自社のWindows、Azure、IDシステムの監査に採用しています。費用は、Defender XDRのライセンスと、Foundryでの推論の消費量が論点になります。

セキュリティ(CISO・SOC)

優先度付けと露出の把握

指摘はDefenderで、脅威インテリジェンスや実行時のシグナルと並べて優先度を付けられます。実行環境の情報と照らして、実際に晒されているリスクを見極め、重大度(Critical・Important など)で分類します。

開発者

コードレビューの流れの中で受け取る

検証済みの指摘は、GitHubのコードスキャンアラートやAzure DevOpsの作業項目として届きます。Defender CLIで手元でも実行でき、修正案はGitHub Copilotと組み合わせて生成します。

IT・基盤管理

接続・認証・データの取り扱い

Foundryへの接続、Entraのアプリ登録、許可するドメイン、リージョンを準備します。ソースコードとスキャン結果は、顧客のDefender XDRテナント内で暗号化して保管されます。

監査・リスク管理

読み取り専用と記録

MDASHは環境を変更せず、修正は人が承認する別の工程です。CLIの登録、Foundry接続、スキャンの開始・取消・エクスポートなどの操作は監査ログに記録され、ソースコード自体は記録されません。

AI・DX推進

マルチエージェント設計の実例

役割分担、討論、実証という構成は、業務エージェントの設計にも通じます。モデルに依存せず、モデルの外側の仕組みで品質を担保する考え方を、実在のシステムで確認できます。

04/仕組み

MDASHのパイプライン:準備・探索・検証・統合・実証の5段階

コードを入力すると、検証され、実証された指摘を出力する構造化されたパイプラインです。1つのプロンプトに全てを任せず、段階ごとに専門のエージェントが役割を持ちます。

段階
処理の内容
身近なたとえ
Prepare(準備)
ソースを取り込み、言語に対応したインデックスを作ります。過去のコミットを解析して攻撃面と脅威モデルを描き、呼び出しグラフとコードの複雑さから、調べる優先順位を付けます。
建物の図面を読み、侵入されやすい扉や窓に印を付ける
Scan(探索)
インジェクション、メモリ安全性、認証バイパスなど、脆弱性の種類ごとの専門監査エージェントが、コードを調べます。仮説と証拠を添えた候補を出力します。
鍵、配管、電気など分野別の専門検査員が、同時に点検する
Validate(検証)
別の討論役エージェントが、各候補について、そこに到達できるか、悪用できるかを賛否に分かれて議論します。テイント解析と型解決も使い、誤検知を取り除きます。
検査員の指摘に対し、別の担当者が反証を試みる査読会
Dedupe(統合)
意味として同じ指摘を1件にまとめます。たとえば、同じ修正で直る指摘を1つのグループにします。
同じ原因による複数の不具合報告を、1つの案件に集約する
Prove(実証)
バグの種類が許す場合、脆弱性を引き起こす入力を実際に作り、実行して存在を確かめます。C/C++ではASan(メモリ不具合の検出機能)などを使います。
指摘どおりに扉が開くかを、実際に試して写真に残す

実効性を支える3つの設計

設計 1 多様なモデルの組み合わせ 探索には高性能モデル、大量の討論には軽量モデル、別系統のモデルを第三者の視点に置きます。モデル間の不一致も、信頼度を判断する材料にします。
設計 2 専門エージェントの分業 探す役、反論する役、実証する役は、考え方も道具も異なります。100を超えるエージェントは、過去のCVEと修正の分析をもとに作られ、独立して調べた結果が1つの報告にまとめられます。
設計 3 専門知識を足せる拡張性 カーネルの呼び出し規約、ロック不変条件、信頼境界など、モデルが単独では知らない領域の知識を、プラグインで加えられます。CodeQLなど既存の解析基盤も活用できます。

05/設計思想

「ハーネス」の意味:AIモデルは入力の1つ、モデルを取り巻く仕組みが製品

MDASHの「ハーネス(harness)」は、AIモデルを取り巻いて動かす仕組みのことです。Microsoftは、モデルは入力の1つであり、システムが製品だと説明しています。新しいモデルが登場しても、探索・検証・統合・実証の各段階は作り直さず、設定を変えて比較検証するだけで取り込めます。対象ごとの設定、プラグイン、較正といった投資も引き継がれます。

この考え方は、AIエージェントを業務で安定して動かすための「ハーネスエンジニアリング」と同じ構造です。当社は、Physical AI Harnessやコンテキストエンジニアリングで、モデル以外の環境設計を扱っています。MDASHの構成要素を、ハーネスの5要素に当てはめると、次のように整理できます。

ハーネスの要素
MDASHでの対応
コンテキスト管理
攻撃面・脅威モデルの作成、呼び出しグラフ、プラグインによる領域知識の注入
ルール
脆弱性の種類ごとに役割が決まった専門エージェントと、過去のCVE・修正の知識
ツール接続
Defender、GitHub、Azure DevOps、Foundry、Defender CLIとの連携
評価と検証
討論による検証、重複の統合、再現による実証、信頼度スコア
安全と制御
読み取り専用の動作、修正は開発者が承認、監査ログ、データの保管場所の指定
AIスキャナーを評価するときの問い Microsoftは、どのモデルを使っているかではなく、モデルと何をするのか、次のモデルが登場したときに何が残るのかを問うべきだと述べています。

06/具体例

MDASHが見つけた脆弱性の例:Windowsネットワーク基盤の2件

発表では、Windowsのネットワークと認証の領域で16件のCVEが、MDASHを使った調査で見つかったと報告されています。うち4件は、リモートからコードを実行できるCriticalでした。その中から、単一のモデルや単一ファイルの解析では見つけにくい2件を、専門用語を補いながら紹介します。

CVE-2026-33827 Critical

Windows TCP/IP:解放済みメモリの再利用(UAF)

WindowsのIPv4受信処理で、参照数で管理されているオブジェクトを手放した後に、同じオブジェクトを再び使っていました。認証なしで、細工したパケットを送るだけで到達できる経路にあります。

たとえ 返却した鍵で、まだ部屋を開けようとしている状態。

単一モデルで見落としやすい理由 解放と再利用が、条件分岐を挟んで離れており、1か所だけでは不審に見えません。同じ操作を正しい順序で行う別の箇所と見比べて、はじめて逸脱に気づけます。

CVE-2026-33824 Critical

Windows IKEv2:二重解放(ダブルフリー)

VPNなどで使われるIKEEXTサービスで、受信した情報をコピーする際、中身の参照先まで複製せず、同じ領域を2者が持ちました。終了時に2者が別々に解放し、高い権限で動くサービスの乗っ取りにつながります。

たとえ 同じ荷物を、2人が別々に廃棄手続きしてしまう状態。

単一モデルで見落としやすい理由 原因が6つのソースファイルにまたがっており、1ファイルの解析では見えません。同じコードベースの正しい処理との対比が、決め手になります。

6月のPatch Tuesdayでは、Hyper-V、Windowsカーネル、Active Directory Domain Services、HTTP.sys、リモートデスクトップクライアント、DNS・DHCPクライアントなど、より広い範囲の発見が報告されています。いずれも、公開前にMicrosoftが修正を提供しています。

07/成果の読み方

MDASHの評価結果:ベンチマーク・再現率・実発見の見方と注意点

公表されている数値は、測り方によって意味が異なります。それぞれが何を示し、何を示さないのかを並べて整理します。

評価
結果
示していること
読むときの注意
未公開ドライバでの検証
21件中21件を検出、誤検知0
AIの学習データに含まれない私的なコードで、意図的に埋めた脆弱性を見つけられた
意図的な21件の、1回の実行結果です
過去のMSRC事例の再発見
clfs.sys 96%(28件)、tcpip.sys 100%(7件)
5年分の、実際に悪用・修正が必要になった脆弱性を、どれだけ後追いで見つけられたか
過去事例の再現率であり、今後の発見率を保証しません
CyberGym(公開ベンチマーク)
初回 88.45%、改良版 約96.5%
実在する1,507件の脆弱性(188のOSS-Fuzzプロジェクト)を、再現できた割合。発表時は2位の83.1%を上回った
既知の脆弱性での評価です。実環境は曖昧さを含みます
Windowsでの実発見
5月に16件のCVE、うちCritical 4件
ネットワークと認証の領域で、修正が必要な脆弱性を実際に見つけた
発見後はMicrosoftが修正を提供し、Patch Tuesdayで公開されています

数値と条件は、Microsoft Security Blogの発表(2026年5月12日、6月17日)に基づきます。他の環境や自社コードでの結果を保証するものではありません。

08/他の手段との違い

静的解析・ファジング・手動レビュー・単一LLMとの違いと使い分け

Microsoftは、MDASHは静的解析や手動レビューを置き換えるものではなく、推論ベースの深い解析の層を追加するものと説明しています。シグネチャ(既知の型の一覧)に基づく仕組みではなく、過去のCVEと修正の知識を参考にしながら、AIがコードを推論して調べます。

手段
主にできること
MDASHとの関係
静的解析(SAST)
コードを実行せず、既知のパターンやルールに沿って網羅的に検査
置き換えず併用します。MDASHは、ファイルをまたぐ推論が必要な深いバグを補います。
ファジング
大量の入力を自動生成して、クラッシュを探索
MDASHの実証段階でも、入力の生成や探索の手法を使います。OSS-Fuzzとの統合も予定されています。
手動コードレビュー・ペネトレーションテスト
専門家の洞察で、設計や文脈を踏まえた深い調査
人が届きにくい範囲に調査を広げます。人による調査を拡張する位置付けです。
単一LLMによるコードレビュー
1つのモデルとプロンプトで、局所的にコードを確認
役割分担、討論、実証の段階を重ね、誤検知を抑えながら、ファイルをまたぐ問題に届きます。
SCA(依存部品の既知脆弱性検査)
利用しているライブラリに、既知の脆弱性がないかを検査
対象が異なります。MDASHは、自社のコードの中にある未知の問題を調べます。

09/製品との連携

Microsoft Defender・GitHub・Azure DevOps・Foundryとのつながり

MDASHは単独のスキャナーではなく、開発とセキュリティの既存の流れに接続する設計です。指摘は他のコード変更と同じ経路で、オーナーとプルリクエストと修正を伴う作業として届きます。

検知・優先度付け Microsoft Defender 指摘をDefenderポータルのAIコードスキャンのイニシアチブに集約し、脅威インテリジェンスや実行時のシグナルと並べて優先度を付けます。 Learn:結果の確認 →
開発の流れ GitHub Code Security 検証済みの指摘が、プルリクエスト上とリポジトリのセキュリティタブに、コードスキャンアラートとして表示されます。 Learn:セットアップ →
開発の流れ Azure DevOps 指摘をパイプラインの判断材料にしたり、修正の作業項目を起票したりできます。 Learn:セットアップ →
推論基盤 Microsoft Foundry スキャンで使うモデルを顧客がプロビジョニングし、モデルごとのトークン消費を確認できます。 Learn:Foundry連携 →
実行手段 Defender CLI 手元の端末やCI/CDから、スキャンを実行します。修正案の生成(defender fix)も、このCLIから行います。 Learn:Defender CLI →
修正支援 GitHub Copilot スキャン結果(SARIF)をもとに、ローカルのリポジトリへ修正案を生成します。適用の前に、開発者がレビューして承認します。 Learn:FAQ →

10/提供条件

対応言語・対象範囲・ライセンス・リージョン:公表されている条件

MDASHはプレビュー提供のため、条件は変更される場合があります。最新の内容はMicrosoft Learnで確認してください。

対応言語

言語別の専門エージェント Java、C/C++、C#、JavaScript / TypeScript、Python

汎用エージェント(品質は異なります) Objective-C / C++、Go、Kotlin、PHP、Ruby、Rust、Swift、Zig

言語は拡張子から自動判別されます。圧縮済みのJavaScriptは対象外です。

対象範囲と提供リージョン
  • 対象はソースコードです。コンパイル済みバイナリとJARファイルは非対応
  • リポジトリあたり約256MB、テナントあたり同時1スキャン(プレビュー時の目安)
  • リポジトリへの読み取りアクセスで実行でき、クラウド・オンプレミスのgitに対応
  • Azure商用クラウドの米国・EU・英国・豪州・インド・スイス・UAE(UAEはCLIスキャンのみ)
利用の前提
  • 対象のMicrosoft Defender XDRライセンスが必要で、Defenderポータルで有効化
  • 推論に使うモデルは、顧客がMicrosoft Foundryでプロビジョニング
  • Defender CLIはWindows・Mac・Linuxに対応
  • CI/CD連携には、Entraのアプリ登録によるサービス認証を使用
できないこと
  • 自前のモデルやエージェントの持ち込み(BYOA)
  • 環境の変更や、修正の自動適用(読み取り専用)
  • アーキテクチャの再設計など、コードレベルを超える修正提案
  • 決定的な処理時間を前提とした、ビルドの即時ブロック

11/運用設計

指摘を成果に変える運用設計:トリアージ・承認・修正・監査の流れ

スキャナーを導入しても、指摘の受け手と判断の流れが決まっていなければ、指摘は滞留します。MDASHの公表仕様から、運用で決めておくべき6つの論点を整理します。

論点 1 指摘の受け皿 リポジトリごとのオーナー、優先度の基準、対応期限を決めます。指摘には信頼度スコアと重大度が付きます。
論点 2 修正の承認 MDASHは読み取り専用で、修正案は提案にとどまります。修正の適用は、開発者のレビューとマージで行います。
論点 3 非同期のレビュー スキャンは長時間かかり、AIの分析は毎回同じ結果になるとは限りません。ビルドの即時ブロックより、非同期のセキュリティレビューに向きます。
論点 4 誤りの扱い 検証を経ても、見逃しや誤判定は残ります。人が最終判断する工程を、フローの中に置きます。
論点 5 データと監査 ソースコードは顧客のDefender XDRテナント内で暗号化して保管され、推論は指定したリージョンで行われます。操作は監査ログに残ります。
論点 6 費用の把握 推論はFoundry上のモデルを使うため、モデルごとのトークン消費を確認し、スキャンの範囲と頻度を調整します。

12/当社の支援内容

MDASH活用に向けた準備と運用設計:Foundry・Entra ID・AI駆動開発の整備

MDASHはMicrosoftが提供する製品で、利用にはMicrosoftの提供条件が適用されます。当社は、Microsoft Foundry、Microsoft Entra ID、GitHubを含むMicrosoft環境の導入実績をもとに、活用の前提となる周辺の整備と、指摘を扱う運用の設計をフォワードデプロイ(FDE)で支援します。

利用開始の前に確認したい

利用準備の診断

対象のリポジトリと言語、Defender XDRのライセンス、Foundryで使うモデル、リージョン、ネットワークの許可ドメインを棚卸しし、利用条件に照らして準備の抜けを洗い出します。

CI/CDと認証をつなぎたい

認証・開発基盤の連携

Entraのアプリ登録によるサービス認証、GitHubやAzure DevOpsとの連携、スキャンの実行契機を、組織の開発プロセスに合わせて設計します。

指摘を滞留させたくない

トリアージ・承認フローの設計

指摘の優先付け、人のレビュー点、修正の承認、記録の残し方を、ハーネスエンジニアリングの考え方で業務フローに組み込みます。

AI生成コードの検査を標準にしたい

AI駆動開発への組み込み

AIが生成するコードの増加に合わせ、検査と人のレビューを開発の標準プロセスに組み込みます。案件の知見は、標準へ還元します。

組み合わせるサービス AI駆動開発(SAIDDar)
まず小さく試したい

1〜2リポジトリでの検証

対象を絞り、指摘の取り扱いの流れまで含めて、短期間で試作・検証します。結果をもとに、範囲を広げる順序を決めます。

組み合わせるサービス HWS Agent Camp
現場に入って進めたい

フォワードデプロイ(FDE)

当社のエンジニアが顧客の現場に入り、準備から運用の定着まで、開発・セキュリティ・基盤の担当者と一緒に進めます。

組み合わせるサービス フォワードデプロイ(FDE)

13/活用シーン

製品開発・基幹システム・Web・AI生成コード・受託・移行での活用イメージと適性

対象にするコードの種類によって、見るべき観点が変わります。

01

製品開発・組み込み

対象のコード C/C++で書かれた、ネットワークスタック、ドライバ、ファームウェア

利用イメージ メモリ安全性の不具合など、深く悪用されやすい種類のバグを、出荷前に調べます。

02

基幹業務システム

対象のコード JavaやC#の、認証・認可、入力検証、外部連携の処理

利用イメージ 権限の迂回や入力の検証漏れなど、業務への影響が大きい箇所を優先して調べます。

03

Webサービス・API

対象のコード TypeScript、Pythonによるフロントエンド、バックエンド、API

利用イメージ インジェクションや認証バイパスなど、外部から狙われやすい種類を見ます。

04

AI生成コードの多い開発組織

対象のコード AIコーディング支援を使って増えた、変更量の多いリポジトリ

利用イメージ 検査と人のレビューを、プルリクエストの流れに組み込みます。

05

受託開発・SIの納品前確認

対象のコード 顧客へ納品する前のコードベース

利用イメージ 納品前の追加の確認として、深い解析を加えます。

06

レガシー移行・モダナイズ

対象のコード 移行前の既存コードと、移行後に生成されたコード

利用イメージ 移行の前後で、潜在する不具合を確認し、品質ゲートの材料にします。

MDASH活用の適性チェック

適合する顧客
  • 自社でソースコードをgit管理している
  • Microsoft Defender XDR、Azure、Foundryを利用中、または利用予定
  • C/C++、Java、C#、TypeScript、Pythonのコード資産が大きい
  • セキュリティ担当と開発担当が、指摘を一緒に扱える
  • AI生成コードの増加に、検査の仕組みを合わせたい
適合しにくい顧客
  • ソースコードがなく、バイナリだけを検査したい
  • ビルドのたびに、数分で合否を決めたい
  • 修正を全て自動で適用したい
  • Microsoft以外のモデルや独自エージェントを持ち込みたい

導入検討のDiscovery質問

→ 自社で管理しているソースコードは、どの言語・どのリポジトリに、どれくらいありますか。
→ Microsoft Defender XDR、Azure、Foundryは、すでに利用していますか。
→ セキュリティレビューは、いつ、誰が、どの範囲で行っていますか。
→ 指摘を受け取り、優先度を判断し、修正を承認する担当者は決まっていますか。
→ AI生成コードは、どの程度の割合で採用していますか。レビューの基準はありますか。
→ ソースコードの保管場所や、推論を行うリージョンに、制約はありますか。

14/用語集

MDASHの理解に役立つ用語集:脆弱性・セキュリティ・AIエージェントの基本用語

MDASH Multi-model Agentic Scanning Harnessの頭文字で、Microsoft Securityのコードスキャナーのコードネーム。
ハーネス(harness) AIモデルを取り巻き、役割分担・検証・安全制御を担う仕組み。もとは馬具を指す言葉。
エージェント型(Agentic) 目標に向けて、AIが自分で手順を組み、ツールを使いながら実行する方式。
脆弱性 ソフトウェアの欠陥のうち、攻撃に悪用されうるもの。
CVE 公開された脆弱性に付く、共通の識別番号。
ゼロデイ脆弱性 開発元が把握・修正する前の、未知の脆弱性。
Patch Tuesday Microsoftが月に一度、セキュリティ更新プログラムを公開する日。
MSRC Microsoft Security Response Center。Microsoftの脆弱性対応を担う組織。
UAF(Use-After-Free) 解放済みのメモリを、あとから使ってしまう不具合。
ダブルフリー 同じメモリを2回解放してしまう不具合。
RCE(リモートコード実行) 離れた場所から、対象の機器で任意のコードを動かせてしまう脆弱性。
PoC(概念実証) 脆弱性が実在することを示す、再現用の入力やコード。
静的解析(SAST) プログラムを実行せず、コードを読んで問題を探す検査。
ファジング 大量の入力を自動で与え、異常な挙動やクラッシュを探す手法。
再現率(Recall) 存在する問題のうち、どれだけを見つけられたかの割合。
CyberGym 実在する脆弱性1,507件の再現課題で、AIの能力を測る公開ベンチマーク。
SARIF 静的解析ツールの結果を表す標準のファイル形式。
Defender CLI Microsoft Defenderのコマンドラインツール。スキャンの実行や修正案の生成に使う。

15/はじめ方

スタートプラン:HWS Agent Campで、指摘の取り扱いフローを2日間で試作・検証

HWS Agent Campは、生成AIの活用・内製化を目指す企業向けに、専門エンジニアが伴走する2日間の集中ハッカソンです。通常3〜6ヶ月かかるAIエージェント開発を、約2週間の事前準備のうえで2日間に凝縮し、本格的なプロトタイプを構築します。MDASHのようなAIスキャナーを活用する第一歩として、スキャン結果の取り扱い(トリアージ・承認・修正依頼)を題材に、エージェントの試作と運用フローの設計を検証できます。

HWS Agent Camp
STEP 1事前準備(約2週間)対象のリポジトリ、言語、利用中のMicrosoft環境、指摘を受け取る担当者を明確にします。
STEP 22日間の集中開発顧客側のエンジニア・業務担当者と専門家が共同で、指摘の優先付けと承認の流れを試作します。
STEP 3検証・事業化検討プロトタイプを検証し、本格導入に向けたロードマップを策定します。

JRE MALL様(東日本旅客鉄道):ECモール運営の業務適用

ECモール運営の実業務を題材に、「データ取得→分析→提案」の流れをMicrosoft Foundry上でAIエージェントとして設計し、動作を検証しました。業務に組み込む際の設計観点、データ整備、構築・運用に必要な役割分担を整理しています。

事例を見る →

リモートロボティクス様:音声でロボットを遠隔操作

Microsoft AI Co-Innovation Lab KOBEで、音声コマンドによるロボット・カメラの遠隔操作プロトタイプを開発しました。音声認識からFunction Callingによるデバイス制御までの流れと、ロボティクス領域に求められる低遅延・高信頼のリアルタイム制御を検証しています。

事例を見る →

16/当社について

認定バッジ

Microsoft Azure の AI Platform/Agentic DevOps Specialization取得

ヘッドウォータースは「Microsoft Solutions Partner for Digital & App Innovation(Azure)」の認定に加え、上位資格である「AI Platform on Microsoft Azure」「Agentic DevOps with Microsoft Azure and GitHub」の2領域のSpecializationを取得しています。厳格な技術要件と導入実績を満たしたパートナーのみに付与される称号で、2領域の同時取得は国内でも限られています。

認定バッジ

Microsoft AI Innovation Partner of the Year 2024 受賞

「AI イノベーション パートナー オブ ザ イヤー アワード」は、マイクロソフト製品の活用によってAI分野で革新を起こしたパートナーに贈られるアワードとして2024年に新設され、ヘッドウォータースは同分野において最も優れた実績をあげたとの評価を受け、初代受賞パートナーとなりました。日本航空(JAL)様のSLM活用や大和証券様のAIオペレーター、JR西日本様の「Copilot for 駅員」など、エンタープライズ企業向けの大規模AIエージェント開発を数多く手がけてきた実績が評価の背景にあります。

17/関連ソリューション

AI駆動開発(SAIDDar)

AI駆動開発を、 組織標準にする。

AI駆動開発(SAIDDar). 案件の改善を標準・テンプレート・エージェント定義へ還元し、人のレビューと責任者の確認を前提に、AI駆動開発を組織標準へ進めます。

Microsoft Foundry(Azure AI Foundry)エージェント

Azure上のエージェント基盤で、 Agent Opsを回す。

Microsoft Foundry(Azure AI Foundry)エージェント. モデルの選定・評価・デプロイ・運用の基盤を設計・導入し、Agent Opsによる継続的な改善を支援します。

SyncLect Agentic Migration Harness

移行工程を、 HITL付きで自律実行する。

SyncLect Agentic Migration Harness. 自律型AIが解析・設計・コード・テスト生成を工程横断で実行し、判断点に専門人材のHITLと品質ゲートを置くマイグレーション基盤です。

HWS Agent Camp

最初の1業務を、 2日間で試作する。

HWS Agent Camp. 専門エンジニアが伴走する2日間の集中ハッカソン。約2週間の事前準備のうえで、AIエージェントの本格的なプロトタイプを構築します。

18/よくあるご質問

Q. Microsoft MDASHとは何ですか。 A. Microsoft Securityが開発した、ソースコードの脆弱性を探索・検証・実証するAIシステムです。100を超える専門AIエージェントが、複数のAIモデルを使って役割を分担し、Microsoft Defenderと連携するコードスキャナーとして提供されています。
Q. MDASHは何の略ですか。 A. Multi-model Agentic Scanning Harnessの頭文字です。なお、文部科学省の「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度」も通称がMDASHですが、別のものです。
Q. MDASHはAIモデルの名前ですか。 A. いいえ。特定のモデルではなく、複数のモデルとエージェントを組み合わせて動かす仕組み(ハーネス)です。新しいモデルが登場したときは、設定を変えて取り込めます。
Q. どのような脆弱性を見つけますか。 A. ファイルや関数をまたぐ推論が必要な、深いバグが中心です。解放済みメモリの再利用、二重解放、バッファオーバーフローなどのメモリ安全性の問題や、論理上の欠陥を対象とします。シグネチャに基づく仕組みではなく、ゼロデイ脆弱性の発見にもつながりうるとされています。
Q. 静的解析を置き換えますか。 A. 置き換えません。Microsoftは、静的解析や手動レビューを置き換えるものではなく、推論による深い解析の層を追加するものと説明しています。
Q. コードを自動で修正しますか。 A. 修正は自動で適用されません。MDASHは読み取り専用で、指摘と修正ガイダンスを出力します。Defender CLIとGitHub Copilotで修正案を生成できますが、開発者のレビューと承認が前提です。
Q. コンパイル済みのバイナリも調べられますか。 A. いいえ。対象はソースコードで、コンパイル済みバイナリとJARファイルには対応していません。
Q. どの言語に対応していますか。 A. 専門エージェントは、Java、C/C++、C#、JavaScript / TypeScript、Pythonに対応しています。Go、Rust、Kotlin、PHPなどは汎用エージェントが調べ、品質は異なります。
Q. どのAIモデルが使われますか。 A. 顧客がMicrosoft Foundryでプロビジョニングしたモデルが使われ、モデルごとのトークン消費を確認できます。モデルや独自エージェントの持ち込みはできません。
Q. CI/CDのビルドを止める判定に使えますか。 A. 向いていません。スキャンは長時間かかり、AIの分析は毎回同じ結果になるとは限らないため、非同期のセキュリティレビューでの利用が適しています。
Q. ソースコードはどこに保管されますか。 A. ソースコードとスキャン結果は、顧客のDefender XDRテナントと同じリージョンで、暗号化して保管されます。推論は、Foundryの接続時に指定したリージョンで行われます。ソースコードは監査ログには記録されません。
Q. いつから、どの契約で利用できますか。 A. 現在はプレビューで、対象のMicrosoft Defender XDRライセンスを持つ組織が、Defenderポータルで有効化して利用します。提供状況と条件はMicrosoft Learnで確認してください。
Q. 当社は何を支援できますか。 A. MDASHの利用条件の確認、Foundry・Entra ID・GitHub・Azure DevOpsを含む環境の準備、指摘のトリアージ・承認・記録の運用設計、AI生成コードを含む開発プロセスへの組み込みを支援します。MDASH自体の提供と利用条件は、Microsoftによります。
Q. 最初は何から始めればよいですか。 A. 対象にするリポジトリを1〜2件選び、利用条件と環境の準備状況の確認から始めます。短期間で、指摘を扱う流れまで試作して検証したい場合は、2日間のHWS Agent Campも利用できます。

Microsoft MDASHの活用に関するご相談

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